山 行 記 録

【平成21年2月5日/志津温泉〜湯殿山】



湯殿山が正面に



【メンバー】単独
【山行形態】山スキー、冬山装備、日帰り
【山域】月山
【山名と標高】 湯殿山 1500m
【地形図】(2.5万)月山、(20万)村上
【天候】晴れ(快晴)
【参考タイム】
 志津温泉7:00〜湯殿山10:10〜南斜面〜南東尾根〜志津温泉12:00

【概要】
 今日は午後から所用があるため短時間で楽しめるところをということで久しぶりに湯殿山に向かった。予報では高気圧に覆われるとあって朝から眩しい日射しが降り注いでいた。志津温泉駐車場には車が1台もないので今日は一人旅のようだ。いつものように六十里越街道から尾根に取り付くと幸いにも昨日のトレースが残っていた。スノーシューとスキーがそれぞれ一人づつ。しかしこれは湯殿山に向かっているものではなく、周辺の散策なのかあらぬ方角に向かっている。いわゆるネイチャーツアーのようなのでさっさとこのトレースとは決別した。といっても今日のラッセルはたいしたことはない。せいぜいくるぶし程度なので快適なシール登行だった。湯殿山へのコースはどこをとっても緩やかな起伏が続く。その平坦な地形も湯殿山が近づくにつれて勾配が少しずつきつくなって行く。

 しかし、きょうの湯殿山山麓のブナ林の美しさはどう表現したらいいのだろう。ほとんど夢をみているかのような光景が連続する。ブナの疎林帯と柔らかなバージンスノー。春のような日射しと澄みきった青空。静謐と温和。聞こえるのは風と小鳥のさえずりだけである。自然と気持ちが一点に収斂するようでもあった。無風快晴の空模様も標高が1200mを越えると急に風がでてくるようになる。振り返ると赤見堂岳が大きく聳えていた。朝日連峰はもちろんだが、遠くに蔵王連峰や吾妻連峰までが見渡せた。

 樹林の間からチラチラと見えていた姥ケ岳は、森林限界を越えると突然右手に大きく見えるようになる。そして待ちかねた湯殿山が前方に忽然と姿を現すのだ。この一点の染みもないような、全山真っ白といった風景にはただただ驚くばかりである。まさに空の青さと雪の白さだけの世界だった。カメラを取り出してしばらく撮影を楽しんだ。

 湯殿山山頂にはほぼ3時間で着いた。山頂からは正面の空に鳥海山が浮かんでいた。そして右手には品倉尾根と月山が連なっている。装束場から石跳川のコースも大量の積雪に埋まりどこを見渡しても雪、雪、雪である。湯殿山の山頂から装束場までの稜線は鋭いナイフリッジを見せている。姥ケ岳の西面は複雑な雪の文様が刻まれていて風の厳しさを物語るようである。厳冬期だけ味わうことができる極上の世界がここに展開している。

 まだ10時をちょっと過ぎたばかりなので、少し滑降を楽しんでから休憩をとることにした。まずは南斜面に飛び込むことにしようか。いつもは少し下ったあたりからドロップするのだが、今年は大量の積雪のおかげでどこからでもエントリーが可能である。今回は山頂から直接ドロップインが可能だった。雪質は適度に締まった堅めのパウダー。まさに山岳の一大ゲレンデでもある。スキーは快適に走りまたたくまに高度が下がって行く。途中から南東斜面へとトラバース。その途中にも広大な斜面がありここにも再び飛び込んで行く。まさしくどこでもドアだがあまり調子にのってはいけない。ブシ沼まで下ればその後が結構たいへんなので早々に南東尾根に戻った。そして適当な場所で昼食とコーヒータイムとした。

 南東斜面もスキーはよく走った。ブナの間隔が広いので自由自在なのである。豪雪の月山らしい風景が次々と現れる。この光景を楽しみながら滑降するのもバックカントリーの喜びであろう。今年の積雪の多さにはただ感謝するばかりだった。平坦部まで降りてしまえば滑降の楽しみは終わる。湯殿山を振り返ると南斜面には自分だけのシュプールがはっきりと刻まれているのが遠目にもわかった。後は自分のトレースをたどりながら林間のコースを下るだけであった。


姥ケ岳と湯殿山を仰ぐ


湯殿山が近づく


森林限界と湯殿山


赤見堂岳と以東岳を振り返る


湯殿山から鳥海山


宙に浮かぶ鳥海山(望遠)


品倉尾根(湯殿山山頂から)


山頂から南斜面にドロップイン


ブナ林もスキーはよく走る


すっかり春の景色です


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