山 行 記 録

【平成20年12月13日/デコ平〜西大巓〜東斜面〜西吾妻小屋



西大巓の樹林帯を滑る



【メンバー】5名(上野、荒谷、神田、蒲生)西川山岳会+ゲスト1名
【山行形態】テレマークスキーによる山行、冬山装備、日帰り
【山域】吾妻連峰
【山名と標高】 西大巓1981m、
【地形図】(2.5万)吾妻山、(20万)福島
【天候】曇りのち晴れ
【参考タイム】
グランデコスキー場リフト終点9:10〜西大巓10:30〜東面滑降10:50〜西吾妻小屋(昼食)11:35-12:30〜西大巓13:10〜リフト終点14:30〜グランデコスキー場15:00

【概要】
 先週末までの積雪はこの1週間でたちまち消えてしまった。これにはがっかりだったが2000mの吾妻連峰ならばどうにかなるだろうと今週も裏磐梯に集合した。集合地点からは2台の車に分乗してグランデコへと向かった。雪の少なさに加えて今日はあいにくの曇り空。西大巓も西吾妻山も雲に隠れたままで全く見えなかった。先週の天候と雪のコンディションがあまりに良すぎたこともあってこの落差は大きい。パウダーなどは望めそうもなかったが、幸い今回は天童からの女性テレマーカーがゲストに加わり、いつもよりも華やいだ雰囲気が漂っていた。

 グランデコスキー場は早朝から多くのスキーヤーで溢れていた。ゴンドラとリフトを乗り継げばそこはすでに1600m地点。西大巓の山頂までは400mほどの軽い登りだが、今日の視界の悪さではみんなの表情も冴えないように見えた。それでも気温は意外に高いので最初からジャケットを脱いだ。樹林帯に入るとスキーのトレースがうっすらと残っていた。もしかしたら先週の我々のシュプールかもしれなかった。

 今日の悪天候ではほとんど登山者はみられない。他には二人連れが我々と前後しながら登っているだけであった。樹林帯を抜けると山頂直下の広々とした南斜面に出た。ここは吹きさらしになっていてほとんどアイスバーンであった。風は冷たく樹林の陰でジャケットを着た。そこからはひと登りで西大巓だった。悪天候をついて登ってきた山頂だったが、あいにく視界はほとんどなかった。それでも東斜面をひと滑りしようということになる。ガスの中を恐る恐る滑り出すと、雪面の凹凸がわからないこともあってみんな至るところで転ぶ転ぶ。よく怪我しないものだと思うほど転倒するものが続出した。それでも楽しいと思えるのはよほどの山スキーキチガイなのだろう。しかし前回のように登り返してまで再び滑ろうという気持ちにはなれなかった。東斜面からはトラバース気味に西吾妻小屋をめざした。

 西吾妻小屋まではシールを貼り直したが、皮肉なことにここは結構積雪が豊富であった。西大巓と西吾妻山に挟まれてちょうどよい風の通り道なのかも知れなかった。それでもオオシラビソは見上げるほどに高く、豪雪の吾妻連峰としてはさらに2〜3mも降り積もる必要があるようだった。当然ながら樹氷の完成にはまだほど遠いように見えた。

 西吾妻小屋には40分ほどで到着した。今日のように視界がない時や悪天候時にはありがたい避難小屋である。小屋に入ればまずは大休止だ。早速カップラーメンなどを食べながら冷え切った体を温めた。悪天候だからだろう。小屋には誰もやってくる気配はなかった。

 食事を終えると急速に寒さが募ってくるようであった。こんな日には長居は無用である。そそくさと後片づけを終えて小屋から出てみると、天候はさらに悪化するような兆しを見せ始めていた。そのために途中までは往路の踏跡をトレースしながら戻ることに専念する。西大巓の鞍部まではシールをはがしたが、鞍部からはふたたびシールを貼り直した。この付近は高みへ高みへと登れば間違いなく西大巓なので、視界が不良でもそれほどの不安はない。

 西大巓からの下降ルートはいろいろと計画はあったのだが、視界が悪い時にあまり動き回るのは禁物だろう、ということで往路を忠実に戻ることにした。ところが樹林帯の中間地点で一休みしていると、天候が急速に回復し始める。予報では下り坂の筈なのにと今回も嬉しいような誤算となったのである。そしてこの天候の回復は私達の気持ちまでをも晴れ晴れとさせてくれるようであった。

 うっすらと雪化粧したオオシラビソは陽光に煌めき、見上げれば抜けるような青い空。一瞬にして春山のような雰囲気となってしまい、太陽の有り難さが身に沁みるようであった。おかげでここからのツリーランは心地良い日だまりの中の滑走となり、それぞれが樹林帯を自在にそして快適に滑り回った。上野氏のビデオ撮影は急に忙しくなり、上野氏からは私達の不格好な被写体に対して、ああだこうだと様々な要求が指示される。沈みがちだった一日が、天候の好転によって楽しい山スキーへと一変したのだから、今更ながら天気の神様に感謝しないではいられなかった。
 


歩き始め


山頂直下


西吾妻小屋到着


西大巓山頂でパチリ


途中から快晴に


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コース概要


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