山 行 記 録

【平成20年12月7日/吾妻連峰 デコ平から西大巓



西大巓山頂と西吾妻



【メンバー】3名(上野、荒谷、蒲生)※西川山岳会
【山行形態】テレマークスキーによる山行、冬山装備、日帰り
【山域】吾妻連峰
【山名と標高】 西大巓1981m、
【地形図】(2.5万)吾妻山、(20万)福島
【天候】快晴
【参考タイム】
グランデコスキー場リフト終点930〜西大巓1050〜東面滑降〜西大巓直下(昼食)1150-1230〜リフト終点14:30〜グランデコスキー場15:10

【概要】
 昨日の東北地方は午後からかなりの大荒れとなり平地でも雪が降り続いた。自宅では朝方に30センチ程度の積雪があり、この状態から推測すると山ではかなりの降雪があったのではないか、という期待感でわくわくするようである。大峠付近までは降雪が続いていたが、トンネルを抜けると嘘のように晴れ渡り、上空は目の覚めるような青空が広がった。

 ラッキーなことにグランデコスキー場の駐車場は無料だった。ついでにリフト券も無料ならばなあと思ったがそれはなかった。しかし、まばゆいばかりの新雪と今日の好天をみれば、とてもそんな贅沢はいえないようであった。

 リフト終点からはスキー靴がすっぽりと埋まるくらいの積雪がある。先行者のトレースもあって今日はラッセルの必要もなさそうだった。しばらくブナ林の快適なシール登行が続いた。降り注ぐ日射しは強く途中でみんながジャケットを脱ぐ。それでもしだいに全身から汗が噴き出してくるようだった。

 西大巓の手前のピークを越すともうそこは山頂直下となる。右手には西吾妻山、その傍らには西吾妻小屋もはっきりと見えた。そのなだらかな山並みを眺めていると、気持ちまでが穏やかになってくるようだった。

 西大顛には約1時間30分で到着した。山頂の風はさすがに冷たさを感じたが、冬山の2000mを考えると今日は無風といっても良さそうである。見渡すと下界は一面の雲海に覆われていた。雲の上には吾妻連峰の山並みしか見えなかった。飯豊連峰や磐梯山は雲の中だったが雲海から上は雲ひとつ見当たらず、まさしく絶景が広がっていた。まるで宇宙の闇が透けてみえるかのような紺碧の空である。早朝からこんな天候になるとは予想もしなかっただけにこれはうれしい誤算であった。

 展望をひととおり楽しめばなにはともあれ一滑りするとしよう。東斜面にはまだ手つかずのバージンスノーが広がっているのだ。山頂付近での新たな降雪はおよそ膝くらいだろうか。ビーコンチェックを終えればあとは沢底をめざしてそれぞれが弾け飛んでいった。スピードに乗ると粉雪が一面に舞い上がった。浮遊感漂うこの感覚がたまらない。そして気づいたときにはもう沢底だった。見上げると一点の曇りもない青空とまぶしいほどの銀世界。今日のような天候に恵まれれば登り返しもほとんど苦にならなかった。

 再び沢底まで滑り込んだところで昼食休憩となった。風もないので今日はツェルトも不要である。穏やかな西大顛の東斜面でしばらく心地よい時間を過ごした。当初、二十日平も想定していたのだが、まだまだ積雪は少ないだろうとそれは早々にあきらめ、今日はこの東斜面のパウダーを心ゆくまで楽しむことにした。まもなくすると何人か西大顛へと登ってきたが、それでも今日は不思議なほど登山者が少ない。本格的なシーズンにはまだまだ早いのかもしれなかった。

 雪のコンディションは何もいうことがなかった。快晴の天候と、これ以上のパウダーはないだろうと思われるほどの積雪、雪質なのだから当然といえば当然なのだが、それもさすがに4回も繰り返せば疲れも出てくるようになる。いくら快適とはいってもそろそろ潮時だった。

 西大顛の山頂を4回踏んだ私達は大きな満足感に浸りながら山頂を後にした。山頂からは樹林帯でのツリーランも待っているのである。距離は短いながらも、羽布団のようなフカフカの新雪を下る楽しさは、無木立の斜面とは違ってこれもまた格別である。あまりに気持が高ぶっているだけに、こんな時は立木にぶつからないようにしなければ・・・そんなことを考えながら西大顛を下り始めた。


西大巓東斜面を滑る(1)


西大巓東斜面を滑る(2)


西大巓東斜面を滑る(3)


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