山 行 記 録

【平成20年10月25日/朝日連峰 祝瓶山荘から前大玉山】



木地山ダムからのぞむ祝瓶山



【メンバー】単独
【山行形態】夏山装備、日帰り
【山域】朝日連峰
【山名と標高】前大玉山 1,319m
【地形図】(2.5万)羽前葉山、(20万)村上
【天候】曇り時々雨
【参考タイム】
祝瓶山荘6:00〜赤鼻尾根分岐7:40〜前大玉山9:00-30〜祝瓶山荘12:00

【概要】
 このところ朝日通いが続いている。大朝日岳を踏むわけでもない、ただのハイキング程度のものだが、それでも膝の調子は大分良くなっていて歩くのが結構楽しい。とくに祝瓶山荘までは自宅から20数キロしかなく、近い割合には十分すぎるほど私には楽しめる山域となっている。行き先が決まらない時にはありがたい登山口というわけである。思い出してみれば昨年も何回か訪れている。今回は大玉山から祝瓶山を眺めることと、さらに深まったであろう紅葉を楽しみとしようか。空模様は曇り空で午後からは少しづつ晴れる予報が出ている。快復基調の予報を信じて今日も出かけてみることにした。

 あいにく祝瓶山荘では小雨が降り続いていた。しょうがないので初めからカッパをきて歩き出す。時間が早いこともあって山荘には誰もいなかった。静かに降り続ける雨を味わいながら歩くのも乙なものだろうと気取ってみる。しかし気温が低いこともあって気持ちは正直盛り上がらない。桑住平を通過すると赤鼻尾根の分岐点だ。沢を横断して赤鼻尾根に取り付くとまばゆいほどのブナ林となる。この一週間で紅葉はかなり進んでいるようだった。やはり一日毎に秋は深まっているようである。空はどんよりとした雨雲が広がっていて、気分はいまひとつだったが、このブナ林に抱かれながらの登りは心を落ちつかせてくれた。

 稜線が近づくにつれてようやく雨は上がり始めた。しかし祝瓶山の山頂付近はあいにく厚い雲の中であった。人の気配が無い中で鈴の音だけが山間に響きわたった。急登に心地よい汗が流れやがて分岐点に到着した。祝瓶山は全体像を見せてはくれなかったが、稜線から下は南斜面にもかかわらず紅葉の盛りを迎えていた。10月もまもなく終わりを迎えつつある中で、山は最後の煌めきを放っているかのようであった。

 大玉山へはいったん水場への鞍部に下りて、そこからは結構な急坂の連続となる。そして登りついたところが前大玉山だった。大玉山の前衛峰と呼ぶべき山だが明瞭なピークでもあり、山頂には標高点を示すコンクリート柱が立っている。この前大玉山を訪れるのは何年振りなのだろう。記憶にないほどだから大分昔のことなのかもしれなかった。前方には大玉山のどっしりとした姿が目前である。振り返れば木地山ダムが朝の光を反射して鈍く輝き、枯沢のような明るい沢が遠方まで広がっている。この光景は見ていて飽きない風景であった。

 前大玉山から大玉山への縦走路は笹ヤブが両側から被さっていた。ヤブはそれほど深いものではなかったが、今日はこのヤブを無理にかきわけてまで進む気持ちはなかった。この前大玉山から祝瓶山を眺めることができただけで満足とすることにしよう。ほとんど水も飲まずに登ってきただけに喉がカラカラであった。腰を下ろしてしばらく晴れるのを待ってみることにした。しかし山頂を覆っている厚い雲は動く気配はなく、いつまでたっても居座ったままであった。ここでは祝瓶山の山頂が見えなければ楽しみも十全ではない。大朝日岳はもちろん雲に隠れたままであった。私は30分ほど休んでから山頂を後にした。


赤鼻尾根からの祝瓶山(山頂は雲の中)


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