山 行 記 録

平成20年9月27日/黒鴨〜頭殿山



登山口



【メンバー】7名(新野、小松、伊藤孝、伊藤賢、清水、遠藤、蒲生)
【山行形態】夏山装備、日帰り
【山域】朝日連峰
【山名と標高】 頭殿山(とうどのさん)1203m、尖山(とんがりやま)901m
【地形図】(2.5万)荒砥、(20万)仙台
【天候】雨
【温泉】西置賜郡白鷹町「パレス松風」 300円
【参考タイム】
林道途中940〜登山口10:00(820m)〜尖山分岐10:15〜急坂直下10:45〜頭殿山11:00〜尖山分岐13:10〜尖山13:20〜登山口13:40〜林道駐車地点14:00

【概要】
 頭殿山は大正や昭和初期において、大朝日岳へ至るためのメインコースであった。今ではそんなことに思いを馳せる人は少ないのかも知れないが、大朝日岳の大展望台として地元の人には広く知られている。この山はハイキングとして楽しめるのだがアプローチに少し難がある。即身仏のある蔵高院から登山口までは悪路の連続といってもいいほどで、山登りよりはこの林道のほうがよほど大変なのだ。

 今日は山の会の山行で久しぶりにメンバーが集まった。しかし、前日からの雨は朝になっても降り止まず、相変わらず天候には恵まれないようだった。個人的には腰と膝の不安を抱えての山行きで、こんな時には天候ぐらいは味方してほしいものだと嘆くばかりである。友人の中には40数年前にこの頭殿山から大朝日岳を登った人がいる一方で、ほとんどの人はこの頭殿山が初めてのようであった。昼前後から雨が上がるだろうという予報を信じて頭殿山へ向かった。

 登山口までは案じていたとおりの悪路が続いた。四駆の私は問題なかったが、傾斜がきつい上につづら折れの深くえぐれたオフロードに清水車がついに途中で断念となる。しかし林道は残り半分ぐらいで、30分ほど歩けば登山口だった。

 普段でも登山者が少ないこの頭殿山である。雨の日に登っている人など当然ながら見あたらなかった。止まない雨をみて全員最初から雨具を着た。登山口から杉林を進むと鳥取場の標識が立つ分岐点に着く。左手が作業道で右手は尖山へ山道が伸びている。尖山へは帰りに立ち寄ることにして、頭殿山への道を直進した。平坦な登山道がしばらく続く。私はキノコを探しながらのんびりと最後尾をついていった。山腹の北面をトラバース気味にたどるようになると、まわりはカラマツ帯からブナ林へと変わってゆく。一時間近く歩くと頭殿山と書かれた標柱をようやく目にすることができる。14、5年前に歩いたときには朝日鉱泉を示す朽ちかけた標識が転がっていたことを思い出すところだ。ここからは一転して急坂の連続となった。

 時々晴れ間が見えることはあるのだが、西側からはすぐに薄雲が覆ってしまう。そして再び雨が降り出す始末で、今日はなかなか予報通りとはゆかなかった。山頂が近づく頃には風はますます強まり、気温も上がらないので寒さがいっそう身に沁みてきてしまった。山頂直下の水場を通過するとまもなく顕著な尾根に出て、実淵川源流部の深い渓谷が眼下となる。そして小ピークからはひと登りで頭殿山の山頂へ到着した。

 山頂には当然ながら誰もいなかった。正面に見えるはずの大朝日岳は残念ながら雲の中で、鳥原山がどうにかわかる程度の展望しかなかった。ガスが流れると白鷹町の集落が眼下にみえたのがせめてもの慰めだった。山頂でしばらく晴れるのを待っていると雨は突然白いものに変わる。なんと霰(あられ)が降ってきたようだった。道理で寒いわけである。高山では早くも雪が舞っているのかもしれなかったが、これでは休憩どころではないので、水場付近まで降りてから昼食をとることにした。

 復路は途中の尖山へ立ち寄った。ここにも三角点があって、頭殿山に劣らず展望が楽しめるピークだったが、今日は頭殿山の山頂もその右手に聳える小朝日岳も見ることができなかった。雨が上がりそうな気配が漂う中、白い闇を指さしては、存在するはずの山容をそれぞれ想像するしかなかった。

 鳥取場から登山口へはわずかな下りで降り立った。あとは途中に置いてきた車へと戻るだけである。この区間を歩くのは初めてだったが、林道を全て歩いてもたいした距離ではないので、頭殿山の登りだけでは物足りない人には黒鴨から歩くのも良いかも知れない。上空を見上げると少し明るさが戻っていた。しかし、雨が降り止むことはなく、ぱらつく雨を恨めしく眺めながら駐車地点へと戻った。


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