山 行 記 録

【平成20年9月13日/朝日連峰 天狗角力取山



障子ガ岳(粟畑から)



【メンバー】単独
【山行形態】夏山装備、日帰り
【山域】朝日連峰
【山名と標高】粟畑1,397m、天狗角力取山1,376m
【地形図】(2.5万)、(20万)
【天候】曇りのち雨
【温泉】西川町大井沢「湯ったり館」(300円)
【参考タイム】
南俣沢出合500〜雨量観測所〜粟畑900〜天狗角力取山920-1000〜粟畑1015〜南俣沢出合1345

【概要】
 せっかくの3連休というのにこの週末の天気予報は芳しくなさそうだった。特に今日は昼前後から雨が降出す予報がでている。それに足の具合も相変わらず思わしくなく、手軽なコースをということで久しぶりに天狗角力取山へと向かった。なるべくならば雨が降り出す昼頃までには下りたいところだ。それで夜暗いうちに自宅をでた。足の具合によっては障子ガ岳も回りたいと、気持ちだけは欲張っている。

 南沢出合を朝5時に歩き始めた。この時間帯ではまだ薄暗いのだが、それもまもなく夜が明けそうであった。登山口へ向かっているとたくさんのマイカーが駐車中だった。それも県外ナンバーが多いようだ。最初の急坂を登っていると周囲の山並みがわかるまでに明るくなりヘッドランプは不要となった。

 しばらくバカ平の緩やかな登りが続いた。竜ガ岳の北面をトラバースするようになると青空が広がるようになり、登高意欲がみなぎってくるようだった。なんだ、今日は秋晴れになるのではないか、とさえ一時は思ったほどだった。

 水場を2カ所通過するとようやく前方に粟畑や障子ガ岳が見えるようになる。見晴台のある雨量観測所はまもなくだった。このピークに立つと久しぶりに眺める光景が懐かしかった。ただ駐車場の賑わいに比べると一人の登山者にも出会わないのが不思議だった。雨量観測所からは整備された石段を登り、一気に高度を稼いで粟畑に到着した。粟畑からは以東岳の大きな山塊が出谷川をはさんでそびえたつ。

 この頃になると朝方の爽やかな青空はいつのまにか失われていた。登っている途中で眺めた小朝日岳から大朝日岳への稜線もまったくわからない。早くも置賜地方ではすでに雨が降出しているようだった。信じられないような天候の急変だった。

 今にも泣き出しそうな空を見上げて、障子ガ岳へと向かう気持ちはすでになくなっていた。最近は無理してまでがんばろうという意欲が湧かなくて情けないが、とりあえず天狗角力取山までは往復してくることにした。天狗小屋周辺でも人の気配はなかった。天狗角力取山ではオヤマリンドウやマツムシソウが咲いていて、朝日の山々では早くも秋の気配が漂っていた。

 天狗角力取山まで4時間20分。さすがに最近にはない時間を歩き続けて膝が少し痛み始めていた。無理はまだできないなあと感じるばかりだが、それでもここまで登ってこられたという達成感はうれしいものだった。休憩は見晴らしのよいウツボ峰の分岐付近でとることにした。ここからは全方位の展望が楽しめるところだ。天狗角力取山から二ツ石山を経て狐穴への尾根道が延々と続いている。この区間も最近は歩いていないなあとふと思う。そうこうしていると、しずしずと小雨が降出し始めていた。庄内方面はいつのまにか雨雲が一面に広がっている。雨は少しづつ大粒に変わりはじめていて降り止む気配もなさそうだった。私は30分ほどの休憩で天狗角力取山を下ることにした。

 粟畑へ登り返しているとなんとなく見覚えのある人達が下ってくるのが見えた。近づいてみればなんと柴田氏と上野氏、それに仙台の坂野さんも一緒であった。3人とも大きなザックを背負い、これから3日間の山行のようであった。3カ月ぶりの再会でもあった。こんなところで出会うとはお互いに予想もしなかっただけに、話しは弾み、天狗小屋でいっしょに休もうと誘われたが、当方は膝が痛むこともあって早めに下りたいのが本音。それに今日は日帰り装備しかザックになかった。後ろ髪を引かれる思いを抱きながら3人とは別れた。コースを良く確認しなかったのだが、このメンバーでは沢登りか釣りの山行のように思われた。

 粟畑を下り始めると、暑くはないにも拘わらず、汗が止まらない。痛む膝を庇いながらの歩きは、不快な脂汗がじっとりとわいてくるようだった。この頃になると結構本格的な雨模様となっていた。久しぶりの雨の山行となってしまったが、雨具さえ着てしまえば鬱陶しい気分も少し和らいだ。

 こんな天候でも少しずつ登る人はいるようだった。好天の3連休を期待したのだろうが、今日はほとんどの人たちが天狗小屋泊だろうと考えていると、今度はその天狗小屋の管理人である山田さんが登ってくるところに出会った。立ち話をしていると山田さんの相変わらずのマイペースぶりに、こちらまでがなんとなく癒されようである。知らず知らず足の痛みも忘れそうになるから不思議だった。今度ゆっくりと天狗小屋に登ってくるからといって別れた。

 南沢出合が近づくと雨も小降りとなったが、遠方の山々は全く見えなくなっていた。山では相変わらず雨が降り続いているのだろう。私は心配していた膝がなんとかもってくれて、そして無事に下ることができてようやく安心した気分に浸った。あとは汗だらけの体を温泉で流すだけであった。


粟畑からの以東岳


マツムシソウ(天狗角力取山)


オヤマリンドウ(天狗角力取山)


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