山 行 記 録

【平成20年6月8日/古寺鉱泉から大朝日岳



ミネザクラと大朝日岳(小朝日岳から)



【メンバー】単独
【山行形態】夏山装備、日帰り
【山域】朝日連峰
【山名と標高】古寺山1,501m、小朝日岳1647m、大朝日岳1870.3mm
【地形図】(2.5万)朝日岳、(20万)村上
【天候】晴れ
【行程と参考コースタイム】
古寺鉱泉6:30〜一服清水〜古寺山8:15〜小朝日岳8:45〜大朝日岳10:00-11:00発〜小朝日岳12:00〜古寺山〜古寺鉱泉14:10 

【概要】
 山スキーのシーズンが先週で終わった。今日は久しぶりの登山靴による山登りだが、今年も古寺鉱泉から再開することにした。駐車場では古寺川が奔流となって大きな音をたてており、その渓谷を彩っている木々の新緑も鮮やかであった。駐車場には乗用車が結構溢れていて、これから日帰りで登り始めるひとも多いようだった。

 尾根に取り付くとブナの新緑というよりは瑞々しい初夏の深緑という雰囲気に溢れていた。タムシバはほとんど散りはじめていたものの、一方ではムラサキヤシオが盛りで、登るに従って蕾状態のムラサキヤシオが目立つようになってゆく。今日は夏日を思わせるような日差しだが、ブナ林の中は心地よい木漏れ日が降り注ぐ。適度な勾配の続く尾根道は森林浴を浴びているようで心が洗われるようだった。

 一服清水を過ぎるとまもなく雪の斜面が現れる。雪はちょうどハナヌキ峰分岐まで続いていて、冷え込んだ朝方などは要注意のトラバース区間だ。ハナヌキ峰分岐からはほとんど雪は見られないが、徐々に残雪がでてくると夏道と交互に繰り返すようになる。しかしこのところの暑さでかなり雪は少なくなっているようだった。途中で何人かの登山者を追い越しながら快調に登っていると、途中で帽子を落としたことに気付いてあわてた。幸い後続の人が枝にぶらさげてくれていたが、ここで15分程度の無駄な時間を使ってしまった。慣れない夏道ではいつもなにかしら失敗するのが我ながら情けない。

 前方に大きな雪壁が現れるとそこはもう古寺山への稜線だ。ここも豊富な雪渓の残る急斜面だが、雪面は柔らかく滑落する心配は特にない。稜線に上がると爽やかな初夏の風が吹いていた。ここから古寺山までは豊富な雪上歩きとなる。ここの快適さはこの時期ならではのもので、朝日連峰は残雪期の一番楽しい季節を迎えているようだった。

 古寺山からは小朝日岳や大朝日岳、そして西朝日岳へと続く残雪を抱いた山並みが素晴らしい。ミネザクラの向こう側には豊富な雪をまとった朝日の主稜線が映えて、その美しさにしばし感激する。

 小朝日岳で行動食をとり、熊越へと170mほど降りて行く。ここはいつももったいないほどの高度差を降りなければならずつらいところだ。最低鞍部に降り立つと登山道の周辺にはハクサンイチゲやシラネアオイなどが結構咲いていてしばし見とれる。麓では盛りを過ぎていたタムシバもここまで登ってくると勢いよく咲いているのが印象的だった。
 
 熊越から稜線に上がると大朝日岳は目前となる。稜線を吹く風はさらに爽やかさを増し、あらためて春山の快適さを思った。遠くからはカッコウの鳴き声が聞こえ、近くではウグイスが盛んに自慢の喉を披露している。春はまさしく様々な植物や動物達の命の躍動感を感じさせる季節だ。

 大朝日岳避難小屋まではなだらかな尾根歩きが続いた。銀玉水からはまだ分厚い積雪に覆われていた。水場を確かめると残念ながらまだ雪の下で、当分水は汲めそうもないようだった。銀玉水からは最後の急斜面をひと登りすれば大朝日岳の避難小屋に到着する。小屋の前にはミネザクラが一面だった。

 大朝日岳には登り始めてから3時間30分で到着した。山頂では5、6人の人が休憩中だった。登りでは盛んにブヨに悩まされたが、ここでは爽やかな風が吹き渡り、ブヨもここまでは登ってこないようだった。山頂からは見渡す限りの素晴らしい展望が広がっていた。特に3月に縦走した袖朝日岳が懐かしく、しばらくその時の縦走路を眺めていた。袖朝日岳周辺も残雪はわずかに残っているだけで季節の移ろいを感じさせた。

 ザックを下ろして休んでいると、日帰りの登山者が次々と登ってくる。狭い山頂も多くの登山者で溢れ出してくるようだった。あまり賑やかなのは得意ではないので1時間ほどの休憩で山頂を後にすることにした。下りでは周りの花々の写真を撮りながらのんびりと下った。先週までは山スキーに明け暮れていたが、こうして登山靴で下ると周りの風景がゆったりとした速度で流れるのが妙に新鮮に写った。古寺鉱泉まではどんなに急いでも3時間程度はかかるのがわかっている。この古寺鉱泉コースは登りも下りもほとんど時間の違いがないのが不思議だった。


朝の古寺鉱泉


ムラサキヤシオと大朝日岳(古寺山付近から)


ミネザクラが咲く大朝日岳避難小屋


祝瓶山(大朝日岳山頂から)


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