山 行 記 録

【平成20年5月11日/湯ノ台から鳥海山



湯ノ台から鳥海山を仰ぐ



【メンバー】5名(柴田、菊池、阿部(兄)、神田、蒲生)
【山行形態】テレマークスキーによる山行、春山装備、日帰り
【山域】出羽山地
【山名と標高】鳥海山(行者岳2,152m)
【地形図】(2.5万)鳥海山、湯ノ台(20万)新庄
【天候】晴れ
【温泉】鳥海山荘500円
【行程と参考コースタイム】
大台野駐車場(路上)7:45〜マタフリ沢源頭9:50〜行者岳12:00-13:00〜駐車場(路上)14:20
  
【概要】
 今年の鳥海山通いも今回で6回目となった。連日の好天続きでどこも驚異的なスピードで雪解けが進んでいる。ここ湯ノ台口も心配していたが、大台野の放牧場へと続く道路にもすでに積雪はほとんどなくなっていた。結局車は宮様コースの入口まで難なく入ることが出来たのだが、見上げると宮様コースの尾根上には雪はほとんど見当たらなかった。唖然とするしかないような光景だった。これでは通常ルートは使えないのでしばらく道路を歩いてゆくしかなさそうだった。

 今日は久しぶりの復帰となった阿部さんを含めて総勢5名。阿部さんとは12月のグランデコ駐車場で骨折をして以来だから5カ月振りの再会だった。1年ぶりに訪れた湯ノ台口は朝からすっきりと晴れ渡り、天候も問題はなさそうだった。

 ジグザグに続く道路をしばらく登ると、途中から雪渓を登って行くことができた。シール登高になるとようやく本来の湯ノ台コースの感じがした。見渡せばブナ林は新緑に輝き、初夏の装いに包まれている。見上げる鳥海山にも残雪は少なく、まるで夏山の風景を眺めているようであった。それでも雪さえあれば山スキーは存分に楽しめるからよしとしようか。宮様コースは滑られなくとも距離的にはそれほど違いはない。登りで担いだところも下りでは雪を拾いながらスキーで滑ってこれそうだった。

 マタフリ沢源頭部付近で一休みをとり、そこからは急坂の連続となる。青空の一角には上空をゆったりと旋回するイヌワシがあった。番(つがい)なのか2羽のイヌワシが優雅に頭上で舞っているようだ。やがてイヌワシは上昇気流に乗りながら尾根の向こう側に消えていった。他の登山者はといえば単独の人を途中で追い越した程度で、今日は我々5人だけの貸し切りのようであった。広いソロバン尾根はハイマツのヤブで何カ所か寸断されているとはいえ、小さなスキー場にも引けをとらないほどのゲレンデが広がっている。その最初のヤブ漕ぎも数メートルだけで、ここは2、3日前までは雪が残っていたようである。そしてひと登りすると10数メートルほどのハイマツ帯の通過となる。ここまでは問題もなかったが、ここから七高山までのトラバースは容易ではなさそうだった。そのためもあって今回は外輪山の最高地点、行者岳への直登となった。気温は高く雪はすでにグサグサの腐れ雪となっていた。メンバーはクトーを装着し横滑りに備えた。私は何回もスリップしながら最後の急登に喘いだ。

 行者岳山頂到着はちょうど12時だった。風は全くなかったが外輪山に立つと冷たい風が吹いていた。始めはガスに隠れていた大物忌神社もほどなく姿を現した。GW前半にも下った千蛇谷は、その時とは比較にならないほど積雪がなくなっていた。展望をしっかりと楽しんだ後はお待ちかねの昼食だ。草付きに腰を下ろせば今日は穏やかな陽射しが降り注ぐ別天地となる。柴田さんは離れた場所に陣取り、ひとり無線を飛ばしている。広がりかけた薄雲はすでに眼下にぽっかりと浮かんでいる。緑一色の草原の中に赤い屋根の鳥海山荘が小さく見えた。その鳥海山荘からは1600m以上も高い地点に私達が立っているのである。それだけに今日は身震いするような高度感を楽しめるようだった。私達はしばし雲上の世界を味わっていた。

 山頂からは一気に下るのがもったいないほどの斜面が続いた。雪面もフラットなのでみんなビュンビュンと飛ばして行く。病み上がりの阿部さんは骨折をしてリハビリの最中だとは信じられないような滑降を楽しんでいる。片足など必要ないのではないか、などといった労りのこもったヤジが飛ぶ。途中のヤブでは柴田氏がヤブ漕ぎのニワカ講習会を行い、みんなの顰蹙をかっている。

 マタフリ沢の源頭を過ぎれば快適な滑降も終盤だ。滝の小屋の周辺にはすでに雪はなく、宮様コースも使えないので、今日は登ってきた雪渓をめざし、広い大斜面を一気に下ってゆくだけだった。ツリーランをしばらく楽しみ、道路に出ればツアーもほとんど終わりとなる。後は雪を拾いながらコースをつないでゆき、途中でタラの芽を採取したりしながらのんびりと駐車場へと向かった。結局、車の目の前までスキーで滑って行くことができて、積雪は少ないなりに5月の鳥海山を満喫した一日が終わった。


今年のコース軌跡と周辺マップ


鳥海山近づく


イヌワシが舞う


山頂でくつろぐ


山頂からの滑降


阿部さん、復調する


山頂からの滑降


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