1年ぶりに酸ヶ湯温泉の駐車場へ来てみると、あまりの積雪の少なさに唖然とした。少ないと云うよりはほとんど雪がないのだ。例年ならば駐車場には除雪車も入り、酸ヶ湯温泉の係員までいるのだが、今年はまるで初夏のような風景を見ているようであった。酸ヶ湯温泉の急斜面にも雪はほとんど残ってはいない。これで本当に山スキーが楽しめるだろうか、という心配が先にたったというのが正直な感想であった。
八甲田ロープウェイに向かう前に雪上にテントを設営してからロープウェイへと向かった。八甲田ロープウェイもほとんど閑散としていた。コースの状況を聞いてみるとやはり積雪はかなり少ないようだった。それでもどのコースも雪はつながっているらしく、それならばとロープウェイに乗り込んだ。
田茂萢岳からは八甲田温泉コースへと滑り出す。雪が少ないとはいえ滑走するには十分のようだった。無風、快晴の中、平坦部分を歩いていると汗が噴き出してしまい、すぐに半袖一枚となる。この時期は真冬のように荒れることも多いことを考えれば今日は天国のような天候だった。八甲田温泉コースは何回も経験したことからカミさんも慣れたもので、なんの心配もなく楽しみながら下ってゆく。あらかじめバス時刻を確認しているので、今日はところどころで時間調整のための休憩をとりながら下った。
眼下に八甲田温泉が見えてくるとバス停もまもなくとなる。急斜面には雪がかろうじて残っているといった感じで、その少ない雪を拾いながらコースをつないで行く。ブナ林ではウグイスの鳴き声がどこからともなく聞こえた。初夏のような微風が林間を吹き渡り、温かい木漏れ日が頭上から降り注いでいた。ブナ林の中ではテントを張って一人優雅にキャンプを楽しんでいる人もいた。バス時刻を確認すると私達はそのまま一気に八甲田温泉へと下った。
下山後はいつものように八甲田温泉に浸った。遠路はるばると本州の最北端までやってきた山旅だったが、今日の雪の状態ではほとんど楽しめそうもなく、翌日はのんびりと「道の駅スタンプラリー」のドライブに徹しようかとカミさんと合意が整った。夕食まではまだまだ時間が残っており、一夜だけだがこれから愛犬と共にテント生活を楽しもうと思った。