山 行 記 録

【平成20年4月20日(日)/姥沢〜月山〜弥陀ヶ原〜北月山荘



快晴の中、北月山荘をめざして



【メンバー】西川山岳会7名(柴田、山中、菊池、荒谷、大場、上野、蒲生)+ゲスト 朋友会3名+坂野(合計11名)
【山行形態】山スキーによる山行、春山装備、日帰り
【山域】出羽三山
【山名と標高】月山 1980m
【地形図】(2.5万)月山、立谷沢、(20万)仙台
【天候】快晴
【温泉】北月山荘 350円
【行程と参考コースタイム】
北月山荘=(車)=姥沢駐車場
 姥沢(リフト)リフト終点9:30〜牛首10:30〜月山頂上小屋11:30〜仏生小屋12:00-13:00〜月山八合目13:15-30〜983m峰14:00-30〜三角峰14:40〜鶴巻池15:00〜北月山荘15:20
  
【概要】
 北月山は数ある月山のツアーコースでもロングコースにはいる。月山山頂から庄内町(旧立川町)の北月山荘までは単純な標高差だけでも1665mある。またコース全体の距離も長く、登り3.5kmに対して滑走距離はなんと13kmにもなる。それもほとんど登り返しがないので、いわば鳥海山における鳥越川と双璧をなすコースでもある。

 1年ぶりの北月山となった今日は、早朝、北月山荘に集合した。この奥深い山里でもブナは新緑に染まり、桜も今が盛りであった。姥沢の駐車場では朋友会の飛び入りメンバー2名を拾って総勢10名でのツアー開始となる。今日は朝から快晴に恵まれ、気温もどんどんと上昇していた。金姥からながめるとすでに大勢の登山者やスキーヤーが斜面に張り付いているのが見えた。まるでGWのような混雑振りで、こんな様子は近年になかったような気がした。

 牛首までは快適なシール登高だった。しかし鍛冶小屋直下になると強風に雪面は堅く凍っていて、メンバーのほとんどがスキーアイゼンを着用することになった。不安な人は坪足で登った。私はシールしかないのでストックを頼りに強引に登って行く。力任せの登りだったが今日はシール登高の限界のような雪面だった。

 月山の山頂は強烈な風が舞っていた。北方をみれば雲ひとつない快晴の空に鳥海山の白い山頂部分が浮かんでいた。今日はこの鳥海山をめざして下るだけなので地図もコンパスも不要だった。ちょうど時間は昼時間だったが、風が冷たいので昼食は仏生小屋までくだることにした。この強風にはシールも飛ばされそうであった。

 山頂を後にすると、昨夜の雨が凍ったのか、表面はまるで洗濯板であった。不快極まりない雪面だったが、スキーだけは飛ぶように走った。その洗濯板のせいだろうか。途中で柴田氏のディアミールのビンディングが折れてしまうというアクシデントが発生する。ビンディングの使いすぎだろうとか、十分元をとったので歩け歩けなどという労りのない言葉が、メンバーから散々浴びせかけられる。しかし、当人はどこ吹く風といった様子で、仏生小屋での休憩中にブーツの先端を針金で直付けしてしまった。要するに片足はテレマークスタイルで滑降しようというわけである。さすがに百戦錬磨を戦ってきた猛者だけのことはあるなあと感心しながら眺めていた。柴田氏はそんなハンディなどものともせず、トップでパーティを引っ張ってゆくのだから舌を巻くばかりだった。

 一方、仏生小屋で昼食をとっていると、弥陀ヶ原から引き返してきたという坂野氏と出会った。坂野氏は「東北アルパイン山スキー日誌」というサイトを開設している方で全国区の山ヤさんである。聞いてみるとリフトを待たずに姥沢から登ってきたというのだから、さすがにこちらも桁違いの強者(つわもの)である。ここからは坂野氏も同行することになり、総勢11名となり、またまた楽しいメンバーが増えてしまった。

 仏生小屋からは雪面もすでにザラメ雪となって快適なスキー滑走となる。広大な弥陀ヶ原を滑る爽快さは北月山コースの面目躍如といったところだろう。今日は他のツアーもいて北月山は大賑わいだ。見上げるとめずらしく3羽のイヌワシがゆったりと上空を旋回していた。大空を優雅に飛ぶイヌワシを見ていると、まるで我々とは別世界に遊んでいるかのようであった。

 北月山コースは北に向かうばかりとはいえ、ルート取りは初めてでは結構難しい。尾根をひとつ間違えると決して北月山荘には向かわなくなるから要注意だ。それだけに地形は変化に富んでいるので、スキーで飛ばす快適さは月山でも随一のコースだ。今回はメンバーの足並みも揃っていることもあって早い早い。たちまち三角峰が近づいていた。983m峰ではいつものように最後の大休止となる。気温はすでに20度を軽く超えているのではないかと思えるほどの暑さにうんざりする。休んでいても汗が滲んでくるようであった。

 三角峰のすぐ先で雪が切れてしまったがいつものように鶴巻池側に下ればまだまだ雪は残っていた。残雪の多い斜面を少し下ればそこは鶴巻池のキャンプ場だった。キャンプ場の一角にはミズバショウが咲きはじめていて、すっかり春景色となっていたが、人の姿はまださっぱりで、ここにはようやく春が訪れたような雰囲気が漂っていた。

 鶴巻池からはさすがにスキーを担いだ。ここも4月初旬ならば北月山スキー場から北月山荘へと快適に滑り込めるところだが、この時期ではもうかなわない。舗装路の傍らで芽吹いたばかりのフキノトウを採りながら降りて行くと、北月山荘はまもなくだった。


弥陀ヶ原付近


北月山荘


ルートマップ

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