山 行 記 録

【平成20年3月8日(土)/吾妻連峰 天元台〜西吾妻〜若女平〜白布温泉】



若女平



【メンバー】単独
【山行形態】テレマークスキーによる山行、冬山装備、日帰り
【山域】吾妻連峰
【山名と標高】西吾妻山2035m
【地形図 1/25000】天元台、吾妻山、白布温泉
【天候】曇り時々晴れ
【参考タイム】
北望台9:30〜梵天岩〜西吾妻小屋10:45〜若女平11:30-12:00〜強清水(ヤセ尾根)12:08〜若女平登山口12:30〜駐車場12:40

【概要】
 朝起きてみると春のような陽射しが降り注いでいた。翌日予定している山行が少しハードなので、今日の計画はなかったのだが、朝の好天をみて気が変わった。そして足慣らし程度ならばと天元台へ向かった。しかし冬の天候だけはそうそう都合良くはゆかないものだ。白布温泉から眺めると上空には気味が悪いほど真っ黒い雪雲が居座り、吾妻の稜線は全く見えなかった。風も強くリフトに乗っているときでさえ止まりそうなほどであった。天気予報も山では当てにならないという見本のような日だった。

 第3リフトがようやく動き出したのをみて北望台に上がる。ゲレンデでは薄日が射すような天候も、北望台では全く雲の中に入ってしまい、視界はほとんどなくなってしまった。今日はお気軽な単独行のつもりだったが、悪天候の時ほど心細いものはない。こんな空模様では誰も山に入る人などいないだろうと思っていたら、スノーシューの二人組が私とほぼ同時に登り始める。聞いてみると写真撮影が目的の西吾妻小屋泊りらしく、群馬から来た人達らしかった。道理で大きなザックのサイドにはカメラ用の太い三脚をつけていた。二人組とはほぼ同時に登り始めたのだが、まもなくして私が先頭をあるくようになる。やはり深雪ではスキーのほうが早いのだ。

 靴程度の沈み込みであればラッセルというほどではなかったが、今日は視界がないのがつらい。カモシカ展望台に出ると厳しいほどの風と冷たさに体が晒され、このまま進むことさえも二の足を踏みたくなるようだった。しかしその反面だろう。気温が低いために雪は軽く、まるで雪の結晶が風に飛んで行くようだった。梵天岩への斜面を登り始めると少し周囲が明るくなったりしたが、それでもまだ視界は30〜50m程度しかない。予定していた西吾妻山や西大巓にはとても行き気にはなれず、今日は最短コースで若女平を下ろうと決めた。記憶をたよりにしながら天狗岩を過ぎて、まもなくすると突然濃霧の中からドーム型の西吾妻小屋が現れた。こんな天候の時には小屋の存在がありがたい。小屋は思ったほど雪に埋まってはおらず、このところの好天でだいぶ積雪が少なくなっていた。スノーシューの二人組は大分遅れているようで、小屋で待っていてもなかなか現れなかった。小屋には誰も立ち寄った形跡はなく、昼食にはまだ早いしで、さっさと小屋を後にすることにした。

 若女平は2ヶ月ほど前にも下っている。あの時はあまりの快適さに信じられない思いをしたものだが、今日もそれ以上の快適なパウダーだった。天候の悪さがかえって雪質を保ってくれたようで、吹けば飛ぶようなサラサラとした粉雪が降り積もっていた。これが見渡す限りバージンスノーなのだからたまらない。前回と同様に尾根コースをたどったが、波打つような大きなシュカブラはどこにも見当たらず、今日は右へ左へと自由自在に下って行けるのがうれしい。少々の登り返しは勢いもあって何の苦もなく滑って行けるのだ。前回ほどの快適なパウダーはもうないだろうとあの時には思ったものだが、なかなかどうしてどうしてである。まだまだ上には上があるものだ。今日は最上質のパウダーといってもよいようだった。このまま下ってしまうのがあまりにもったいないので時々立ち止まってはカメラを取り出して撮影を楽しんだ。そして若女平までくだったところで昼食をとることにする。この辺りまで下ってくるとようやく視界が戻ってきていた。しかし気温は相変わらず低いままだ。寒暖計をみてもまだ氷点下8度しかなかった。

 若女平からも快適なツリーランが続いた。ダケカンバ帯を過ぎるとブナの急斜面だ。ここも気持ちの良い樹林帯で、こんな斜面がずっと続いてくれたらと願わずにはいられない。強清水のヤセ尾根も一気に通過した。そして杉林を下るようになるとツアーコースも終盤だ。急斜面の植林地も今日は苦労もせずに滑ることができた。スカイバレーの入口には12時半に降り立った。こんなに短時間に終わった若女平もめずらしい。これもみな今日の雪質のおかげである。結局今回も最後までスキーを脱がずに白布温泉に降り立ったことになる。こんなに早く下りてきてしまい、悔しいような、惜しいような一日だったが、稜線はまだ薄黒い雲に覆われたままであった。



濃霧に包まれる西吾妻小屋


若女平上部付近の快適なパウダーラン


若女平に青空が顔を出す


強清水付近


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