山 行 記 録

【平成20年3月2日(日)/吾妻連峰 大沢下り】



クジラの大斜面で



【メンバー】西川山岳会(柴田、上野、菊池、荒谷、丹野、蒲生)、ゲスト(武田夫妻、大場、某氏@東京)
【山行形態】日帰り
【山域】吾妻連峰
【山名と標高】中大巓1,964m、東大顛
【地形図】(2.5万)天元台、(20万)福島
【天候】晴れ
【参考タイム】
天元台リフト終点(北望台)10:00〜中大巓〜人形石10:30〜明月荘12:00-13:00〜砂盛通過14:20〜大沢駅16:10
  
【概要】
 今年の大沢下りには結構苦労している。悪天候のため途中敗退、そして中止を余儀なくされ、「鷹山の湯」への集合も今回ですでに3週連続となる。今日は久しぶりに好天の予報がでているので幸いに天候の心配はなさそうだった。しかし、肝心の柴田氏が出発時間を過ぎても現れず気を揉んでいた。電話してみると寝坊したらしく、まだ自宅だとのこと。しかたがないので天元台で落ち合うことにして大沢駅に向かった。

 厳冬期の悪天候を嘆いているうちに季節だけはしっかりと移り変わっていた。このところの好天続きでだいぶ雪解けが進んでしまい、大沢集落は2週間前ほどの積雪はなくなっていた。幸い柴田氏とは米沢駅で合流することができ、一同、路線バスに乗り込んで天元台へと移動する。天元台スキー場は今日の好天に促されたと思われるスキーヤーで溢れていた。リフトに乗っていると早くも北望台から登り始めている山スキーの一団があり、今日はラッセルの必要もなさそうである。北望台でたまたま近くにいた単独の東京のテレマーカー氏を誘って登り始めた。昨夜から降り続いた積雪はかなりあって、軽い粉雪にスキーは深く沈んだ。

 今日は飛び入りのゲストも多く、総勢10名の大所帯でのツアーである。すでに先発パーティが登っているので楽々と人形石を通過する。好天に恵まれた今日はなんの障害もなく、ツアーの正否はやはり天候が一番だとあらためて納得する。稜線の遥か向こうにはめざす明月荘が見えるほど視界は良好で、2週間前のホワイトアウトに悪戦苦闘した痕跡などどこにも見当たらなかった。快適な東斜面を滑ってゆくと藤十郎の鞍部だ。前回ブロック雪崩を誘発した大雪庇は陰も形も見られなかった。ツアー標識が立っているところでは先発パーティが休んでいた。ここで先発隊を追い越してゆくと登山者は誰も見あたらなくなる。見上げるとまだ雲は多いものの、常に青空が見えていて、気持ちの良い雪原歩きが続いた。藤十郎を過ぎるとしばらく緩やかな斜面となって、楽々とスキーで下ってゆける。まるで動く歩道のようなもので、ただスキーに乗っているだけで明月荘が近づいてくるようだった。

 明月荘の入り口は堅い雪に閉ざされていた。ここ最近は登山者が立ち寄った形跡が全くないようだった。みんなザックからスコップを取り出し、しばらく入口の掘り出しに汗を流した。この作業に結構時間をとられてしまい、小屋に入ることができたのは、それから20分以上も経ってからだった。小屋で休んでいると追い越してきた団体が次々と入ってきて結構にぎやかな昼食時間となった。

 明月荘から大沢駅までは標高差1400m、距離にして12キロメートルという長大な滑降の始まりだ。シールは不要なのでザックの奥にしっかりとしまおう。推進滑降で進んでゆくとクジラの大斜面が広がっている。ここは置賜の山並みを一望できる展望台のようなところである。陽射しが次々とその山並みを照らしながら流れて行く。陽射しは暖かく、季節の移ろいを感じさせるばかりだ。ここにはすでに厳冬期の風景はなかった。柔らかい雪面をスイスイと縫ってゆけば、ほどなく忠チャン転ばしの上部に出る。先行グループは別ルートを下ったらしく、ここはまだ誰も滑った様子がなかった。無木立の広々としたバージンスノーが遥か下まで広がっている。ここが私たちだけの貸し切りだというのが信じられない。ここも積雪が豊富で快適そのものである。パフパフのパウダーをみんなで快哉をあげながら下った。粉雪を舞あげながらの滑降は今日が最後かもしれないと思いながら渋川の沢底に降り立った。

 渋川を横断しながら砂盛のコルまではトラバースとなる。シールを張れば楽に進めるところだが私達はシール無しで登った。汗がしたたかに流れて、途中でアウターを脱いだ。コルからは第2ステージの始まりだ。ここも忠チャンを凌ぐような積雪と雪質にみんな小踊りしながら下って行く。無木立の斜面が終われば快適なツリーランだ。樹林帯もスキーはよく走り、これ以上はないほどの快適さを味わう。リベンジの大沢下りは予想をはるかに越えた滑降の連続となった。途中で小休止をとってからもその心地良さは変わらなかった。途中から林道に出るのだが豊富な積雪はその林道の道形さえわからないほどで、危うく林道を通りすぎてしまいそうになる。林道にでれば楽しかったツアーも終盤で、牧場まで下ってゆくと大沢駅まではまもなくだ。途中で大沢スキー場に立ち寄ってみたが、ここ数日は誰も足を踏み入れた形跡はなく、無人のスキー場には異空間に迷い込んだような静寂さが漂っているだけだった。大沢スキー場からは大沢駅に滑り込んで今回のツアーは無事に終了となる。某氏@東京は上野氏が福島駅まで送ることになり、私は柴田氏を米沢駅まで送り届けてリベンジの大沢下りがようやく終わった。



弥兵衛平と東大巓


明月荘間近


入口が閉ざされていた明月荘


明月荘からのぞむ東大巓


忠チャンパウダー三昧


忠チャンパウダー三昧


忠チャンパウダー三昧


忠チャンパウダー三昧


忠チャンパウダー三昧


忠チャンパウダー三昧


忠チャンパウダー三昧


忠チャンパウダー三昧


牧場をゆく


無人だった大沢スキー場


コースマップ

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