山 行 記 録

【平成20年2月10日(日)/蔵王連峰 坊平〜熊野岳〜中丸山〜猿倉】



下部付近を滑る



【メンバー】西川山岳会(柴田、荒谷、上野、山中、蒲生)ゲスト(大滝、皆川、武田、大阪組2名)
【山行形態】テレマークスキーによる山行、冬山装備、日帰り
【山域】蔵王連峰
【山名と標高】熊野岳1841m、中丸山 1562m
【地形図 2.5万、20万】蔵王山、仙台
【天候】曇りのち晴れ
【参考タイム】
リフト終点9:10〜熊野岳避難小屋11:00-11:30〜コル12:30-13:40〜中丸山13:50〜1246m地点14:40〜猿倉駐車地点16:30(718m)
猿倉駐車地点=(車)=ライザスキー場駐車場
  
【概要】
 先週の蔵王ダムツアーに続いて再び蔵王連峰である。今回の中丸山ツアーは熊野岳から全く正反対側に下るもので、終点が蔵王ラインまでという結構なロングコースとなる。一般の人にはあまり知られていないこのツアーコースは、ルート集などにも掲載されていない、とっておきのコースでもある。

 集合は猿倉スキー場の駐車場で、すぐ近くが下山予定の蔵王ラインである。集まったのは西川山岳会から5名と「べにばな山の会」関係者3名の合計8名である。とりあえず蔵王ラインに車をデポしてからライザスキー場に向かう。駐車場は結構満杯だったが、天候はというとあいにくのガス模様のため、気持ちは何となく弾まない。しかし南岸低気圧が北上しているらしく、氷点下2度とこの時期の気温としては結構高いほうだ。先週と同様に関東地方では雪模様らしかったが、日本海側ではそれほど天候の崩れはなさそうだった。

 第2リフトを降りると南風が吹いていて、アウターを脱いでからリフトトップを歩き出す。このところの降雪で積雪がかなり増えていて、樹氷群も背丈がだいぶ低くなっている。ときどき薄日が差したりしたが、なかなか晴れることはなかった。ほとんど視界が無い中、廃線リフト小屋からはいつものようにショートカットしながら熊野岳へと登って行く。途中からトップを歩いていったが、ホワイトアウトの中では現在位置もよくわからず、結局馬ノ背の中間付近に出てしまった。何度も歩き慣れたコースなのに見えないというのは本当に恐いものだ。おかげで避難小屋まではいつもよりも余計に時間がかかってしまった。

 熊野岳の避難小屋では軽く休憩をとってから出発することになった。待っている間に晴れるだろうという目論見である。しかし蔵王の天候はなかなか我々の希望通りには変わってくれそうにもない。ときどき青空が透けて見えたりしたのだが、すっきりとガスが晴れることはなかった。

 先頭集団を率いて熊野神社でシールをはずしていると突然無線が鳴った。たったいま大阪の二人を拉致してきたという柴田氏からの連絡であった。拉致された二人は熊野岳をピストンする予定だったらしいのだが、柴田氏が強引になかば引き連れてきたものらしかった。こうして今日は10名のニワカパーティが出来上がった。

 慣れているコースとはいえ今日のようなホワイトアウトでは慎重にならざるを得ないのは事実だった。熊野岳からはしばらく計器行動が続いた。しかし皮肉なことに雪質はかなり良い。昨日からの降雪がかなりあって、通常では考えられないほどの積雪が稜線を覆っていた。中丸山直下のコルまではあまりに雪が多すぎて、トップはラッセルの連続であった。

 中丸山直下のコルまで下ったところでいつものように昼食兼大休止となる。ここは雪原が広がっていて、窪地のような場所のため風もなく格好の休憩地点となっている。それぞれ思い思いにくつろいでいると、ときどき青空が見えたりして視界が戻ったりした。見上げると中丸山の山頂まで見渡せるまでになり、こうなると現金なもので急に元気が出てくるようだった。この休んでいる時間を利用して、柴田氏が講師となりビーコンを使った探索訓練にしばらく時間を費やした。

 中丸山までは短い登りながらもシールを貼って山頂へむかった。中丸山の山頂からは晴れていれば360度の展望が楽しめるところだが、残念ながらまだすっきりとは晴れてくれない。山頂からは滑りやすいところまでおりてゆき、いよいよ猿倉に向けての滑降開始となる。始めは凹凸感がわからず、トップを滑ると何でもないところで転倒したりした。この付近はどうせ深雪なので転んでもたいしたことはない。そのうち視界が戻ると景観がいつもと違うのに気付いて、ルート修正をしながらコースに戻った。あまり勝手気ままに下ったために思わず沢に吸い寄せられたものらしかった。正規ルートに戻るとそこからは快適なツリーランとなる。ここでの滑りは前日の白太郎山を思い出すようだった。常には積雪の少なさに嘆いていた蔵王だが、昨日の降雪はかなりのものだったようである。そしていつもの1246m地点まで降りたところで再び大休止だ。なかなか短いようでこのコースは本当に長いのを実感する。

 1246m地点では陽射しも差すようになって青空が広がった。南には番城山が聳えていて見晴らしが結構楽しめるところだ。ここからはブッシュが少し目立ち始めるが滑走ができないほどではない。雪が豊富というのはこんなにありがたいものかとあらためて思う。昨年はあまりの少なさにここからの尾根は回避したのを思い出していた。前方に松林が見えてくるとそこからは登山道に降りて行く。登山道といっても地形図には無く道形がなんとかわかるだけである。あとはこの道沿いに滑って行けば蔵王ラインへと導かれる。

 ところどころに横たわる倒木やブッシュの間を滑ってゆく。最後は蔵王ラインへと滑り込んで中丸山ツアーの終了となる。いつもよりも上流側に滑り込んでしまったが、道路にも結構な積雪があって駐車地点までは快適に下って行くことができるから心配はなかった。ここまでの行程はおよそ7時間以上。以外とこのツアーコースは長いものだとあらためて知る瞬間でもある。蔵王連峰を目一杯に楽しんだ長い一日が終わろうとしていた。


リフトトップ


パウダーラン!


パウダーラン!


無事に蔵王ラインへ滑り込む



ルートマップ

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