山 行 記 録

【平成20年2月3日(日)/天童高原〜面白山



三沢山山頂からは面白山が正面



【メンバー】2名 西川山岳会(柴田、蒲生)
【山行形態】日帰り
【山域】蔵王連峰
【山名と標高】面白山(おもしろやま)1264.4m m
【地形図】(2.5万)天童、関山峠(20万)仙台
【天候】曇り
【装備】山スキー(柴田)、テレマークスキー(蒲生)
【行程と参考コースタイム】
天童高原スキー場8:20〜牧場分岐9:00〜三沢山10:10〜面白山11:20-12:00〜三沢山12:30〜天童高原スキー場13:15

【概要】
 面白山は山形県と宮城県の県境、蔵王連峰の北端に位置している。山岳会の掲示板で面白山ツアーの参加を呼びかけたところ、結局呼びかけ人の二人しか集まらなかったため、今日はスキー隊長の柴田氏と二人だけの山行である。心配していた天候は南岸低気圧のため、高曇りではあるももの視界は良好で、スキー場の正面からは堂々たる面白山を仰ぎ見ることができた。

 誰もいない天童高原スキー場を二人で歩き出すと、夏道沿いには昨日のものと思われるトレースがたくさん残っていて、今日はラッセルの必要もないようだ。右手には面白山スキー場と南面白山が一望で、背後を振り返ると輝くような月山と村山葉山が美しい。雪面はサンクラスト状態で夜間の冷え込みが伺えるようだった。

 まもなく放牧場から林道との合流点に着く。ここからは夏道を離れて尾根に取り付いた。林間に入ると雪質は急に柔らかくなり、杉林からカラマツ林帯へ変わると林間が明るくなった。樹林帯を抜け出すと今度はブッシュが目立つようになってややうるさい。振り返ると月山や村山葉山、そして朝日連峰が輝いていた。そこには陽射しさえ降り注いでいるようであり、予報よりもずっと天候は良さそうであった。

 まもなくブッシュ帯が終われば三沢山の山頂だ。このあたりは無木立の斜面となり山スキーの醍醐味を味わえるところだ。甑岳のとなりには鳥海山が空に浮かんでいる。さらに右手には黒伏山から船形山への山並みと、背後には真っ白い新庄神室がひときわ鮮やかであった。この三沢山の山頂からは360度の大展望が広がっていた。しばらくすると単独行がいつのまにか登ってきているのに気付く。かんじきも持たずに坪足とは驚くばかりだが、面白山高原駅から登ってきたという山形市内の人であった。

 三沢山からはいったん鞍部まで下って山頂への登り返しだ。勾配は急に厳しくなり、トレースは直登していたが、私達はときどきジグを切りながら登った。樹林は少し混んでいるものの、スキーで滑れないことはないようだ。それにしても気温は高い。早朝は下界でも氷点下7度までひえこんだというのに、山に来てみるとそんな気配はいささかもなかった。嫌と云うほど汗が流れ、樹林帯では手袋さえ不要だ。喉が乾くと手当たり次第に雪を食べながら登った。

 やがて山頂部が近づくと景観が一変する。辺りは多くの積雪に覆われていて、そこには夏山のイメージはなかった。スキー場さえ見えなければ高山の様相さえ漂っていることに驚いた。左手の稜線に立つとそこはもう山頂の一角で正面には面白山の標識が見えている。面白山の山頂にはちょうど3時間で到着した。雲海はあいかわらず下界を覆っていて風もなく穏やかであったが、低気圧の影響は確実に近づいている。今まではっきりと見えていた大東岳や南面白山はガスに覆われはじめていた。天候が悪化する前に下りたいので、昼食は30分ほどで切り上げた。

 山頂からは面白山高原駅まで下って行くコースも含めて様々に取れるらしかった。しかし、ヤブ漕ぎになりそうだというので、今回は往路を忠実に戻ることにした。山頂直下の急斜面は立木も少なく一気に滑りたいところだったが、登り返しが大変そうなので途中から三沢山へと向きを変える。トラバースしてゆくとちょうど鞍部の上にでて、そこからは勢いをつけて三沢山へと登り返した。三沢山からはブッシュ帯となったが、危惧していたほどの滑りにくさはない。これは予想外としかいいようがないのだが、気温の高さもあってサンクラストしていた雪面も適度に柔らかくなっていたのが良かったようである。いわば隠れていたパウダーが復活したような状態であり、その深雪がターンを助けてくれるようであった。その後はカラマツ林、杉林と樹林を縫ってゆくのだが、ここも快適とさえいえるほどのツリーランである。林間は混み入っているのだが、下枝がないので気持ちよくスキー滑走を続けて行くことができたのである。

 放牧場からの合流点に着けば後は登山道を下るだけとなる。登山道は平坦だったが、ここは堅く凍ったままのトレースが残っていて、スキーはよく走った。瞬く間に天童高原スキー場の上部に飛び出してスキーツアーは終了となった。今回は雪が少ないにもかかわらず快適とさえいえるほどの深雪と、そして驚くほどの展望を随所に楽しむことができて、実に得をしたような一日であった。


鳥海山と甑岳(三沢山から)


山頂直下を滑降する柴田氏

コースマップ

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