山 行 記 録

【平成20年2月2日(土)/坊平高原〜熊野岳〜地蔵岳〜蔵王ダム




稜線めざして樹氷原を歩く一行

【メンバー】6名 西川山岳会(柴田、上野、丹野、蒲生)+朋友会(神田、中野)
【山行形態】日帰り
【山域】蔵王連峰
【山名と標高】熊野岳1,841m 、地蔵岳1,736m
【地形図】(2.5万)笹谷峠、蔵王山(20万)仙台
【天候】晴れ
【装備】山スキー(私以外)、テレマークスキー(蒲生)
【行程と参考コースタイム】
自宅5:45=山形県庁7:00(集合)
ライザスキー場リフト終点9:15〜廃線リフト〜熊野岳10:50-11:30〜地蔵岳直下11:50〜1490m地点(昼食)12:30-13:00〜ロボット小屋(雨量計)(1045m)13:50-14:15〜鍋倉不動14:25〜林道14:50〜蔵王ダム15:30
  
【概要】
 今回のコースは坊平高原のライザスキー場を利用して熊野岳へ登り、山頂からは地蔵岳を経由して蔵王ダムへと下るスキーツアーである。坊平高原と蔵王温泉を結ぶ山越えコースもよく行われているツアーコースだが、蔵王ダムへとなると途中にツアー標識もなく、地形が入り組んでいることから、地形図を読む技術や的確なルートファインデングが必要となるために、蔵王温泉ルートに比較すればより上級者向けのツアーコースとなる。予報では高気圧に東北地方が覆われるとあって今日は天候の心配がほとんどない。今回は宮城県の朋友会メンバー2名を加えての6名パーティとなった。

 山形県庁前で合流後、下山口である蔵王ダムに車を1台デポする。蔵王ダムの管理所までは問題なく進むことはできたものの、今年は宝沢集落の少し先の不動沢林道入口付近で道路工事をしているので要注意だ。例によってライザスキー場からは第2リフト乗り場で登山計画書を提出し、リフトトップでシールを貼れば稜線に向かってさっそく歩き出しとなる。駐車場はガスに包まれてしまい視界がなかったものの、リフトを降りてからは目の覚めるような青空が広がっていた。どうやら雲の上に飛びだしたようであり、願ってもない山スキー日和だ。今日は私達だけの貸し切りなのか他に登山者は見あたらなかった。

 樹氷原では蔵王名物のモンスターが見事だった。吾妻連峰に比較すれば遥かに大きく見えたのだが、これは積雪の少なさによるものだろう。厳冬期の自然が織りなす目映いほどの光景にはただただ感激するばかりだ。廃線リフト小屋からはショートカットで熊野岳をめざした。この辺りから再びガスの中に入ってしまい、視界が少しずつ失われてゆく。それでも順調に高度を稼ぎ、リフト終点からは1時間30分ほどで熊野岳の避難小屋に到着した。昼食にはまだまだ早く、かといって急いで下ってもしょうがないので小屋の中に入って小休止をとることにした。

 熊野神社は巨大なシュカブラに覆われ、全体が氷詰めとなっていた。ツアーの安全祈願を終えればいざ滑降となる。熊野岳の山頂からは地蔵岳をめざしてゆくのだが、視界がないので稜線に立つボールを目安にしながら下ってゆく。この付近はシュカブラが大きく発達していてみんなダマシダマシで進んで行く。蔵王連峰における冬の厳しさが伺えるようだった。途中からトラバース気味に地蔵岳に向かうと、目前には熊野岳北面のパウダー斜面が現れる。ノントレースの雪面を見れば滑降あるのみである。そこからは思い思いに斜面に飛び込んでゆき、自由にシュプールを刻んで行く。適度な斜度と北斜面らしい柔らかな深雪は快適の一言であった。

 天候は下るほどに快復していった。まもなく視界が戻ると樹氷の間をスイスイとすり抜けながら下ってゆく。いくつかの尾根に乗ったところで少し遅い昼食とする。そこは風もなく穏やかで、今までも何回か休憩をとっている地点だった。少し南よりにルート修正をしながら滑って行くとまもなくブナの疎林帯に出た。ここは快適なツリーランが楽しめるところで、今日一番の楽しみともいえる地点でもある。いつ来ても期待を裏切られたことはない、とっておきの斜面といってもいい。自在に樹林を縫ってゆくと前方に雨量計がみえてくる。ここはコース上で最良の休憩ポイントでもある。目前には雁戸山が聳え、八方平の平坦地からは名号峰、そして熊野岳へと続くスカイラインが鮮やかだった。雨量計からは左手の葉ノ木沢沿いに尾根を下ってゆくと鍋倉不動だ。冬の鍋倉不動はひっそりと杉林の中に佇んでいて、ただ眺めているだけで自然と心が落ちついてくるようであった。鍋倉不動からはまもなくつづら折りの急斜面だ。いつもならば四苦八苦する箇所だが、今回はパウダーのおかげでいささかも危険な感じはしなかった。

 右手の尾根に移りトラバース気味に夏道に沿ってゆく。予想では木の枝などで滑りにはならないかもしれないと危惧していたのだが、新雪が降り積もった登山道は快適で、ショートターンさえできそうなほどである。こんなに快適な登山道の滑走は初めてであった。林道に飛び出すと今日のツアーもほとんど終了となる。ここからダム手前のトンネルまではしばらくシールを貼りなおして歩いて行く。蔵王ダムから振り返ると、下ってきたばかりの尾根の間から雁戸山がのぞいている。しかし山頂付近は雲に隠れて残念ながら見えなかった。管理所前でデポしていた車に乗り込み帰路に着く。朋友会の二人と上野氏とは県庁前で別れ、柴田氏と丹野氏と私の3人は車の回収にライザスキー場へと向かった。


氷詰めの熊野神社


蔵王ダム(名号峰)の登山口

コースマップ

inserted by FC2 system