山 行 記 録

【平成20年1月22日(火)/吾妻連峰 天元台〜西吾妻〜若女平〜白布温泉



若女平から仰ぐ西吾妻山



【メンバー】単独
【山行形態】テレマークスキーによる山行、冬山装備、日帰り
【山域】吾妻連峰
【山名と標高】西吾妻山2035m
【地形図 1/25000】天元台、吾妻山、白布温泉
【天候】晴れのち曇り
【参考タイム】
北望台10:00〜梵天岩11:30〜西吾妻小屋12:00〜若女平12:40-13:10〜強清水(ヤセ尾根)13:20〜若女平登山口14:00〜駐車場14:10

【概要】
 吾妻連峰は全体になだらかな山並みが多く、特に西吾妻一帯は地形的特徴に乏しいため、悪天候時には毎年のように遭難事故が絶えない山域でもある。しかし、雪崩の心配はあまりないことから、昔から山スキーによるツアーコースが数多く開拓されていて、手軽にスキーツアーを楽しむ人も多いのも事実である。その中でも若女平コースは、入山口と同じ白布温泉に戻れるので、マイカー族にはよく利用されている。山形県側から天元台ロープウェイとリフトを乗り継げば、もうそこは標高1830m地点。天候にさえ恵まれれば日本百名山の西吾妻山を登って、比較的短時間にスキーで下れるコースでもある。

 今日は私の住んでいる長井市が県内で一番の冷え込みとなり、玄関前の寒暖計も氷点下11度と厳しい朝を迎えた。おかげで自宅の水道管などが凍結してしまった。さすがに大寒だけのことはある。これぐらいに冷え込む時には山は晴れやすいものだ。今日はいつも悪天候のために先延ばしにしていた若女平を下ってみることにした。一番の懸念は積雪だろうが、もうスキー場でさえも240cmと問題はなさそうである。

 ゆっくりと自宅を出たにもかかわらず、第3リフトは全然動いてはいなかった。係員もこれから準備を始めるとのことで、リフトが動き出すまでにはまだ1時間ほどもかかるという。しょうがないので歩いて行くことに決めシールを貼っていると、山が目的ならばとなんとか上げてもらえることとなり一件落着。係員のこうした心遣いに、ついついホロっとなりそうである。おかげで30分以上はゆっくりできるわけで大いに感謝の言葉を述べながら乗せてもらった。

 シールは装着済みなのでリフトを降りればすぐに北望台からシール登高となる。昨日は快晴だったというので日曜日のトレースがあるだろうと思っていたら、意外にも結構な降雪があったらしく、僅かばかりの痕跡があるだけで、トレースはほとんど新雪に埋まっていた。膝ぐらいにスキーは沈むので、単独ではかなりのラッセルだったのだが、寒さが厳しいためだろう。雪は驚くほど軽くて歩くたびに粉が舞い上がるほどだった。パウダーというのはこういうものなのだな、などとあらためて思い直してみる。粉雪を蹴散らすようにしながらぐいぐいと登って行くと、ほどなくカモシカ展望台へ到着した。中大巓は多くの積雪に覆われており、樹氷は完璧にできあがっていた。普段はなんということもない中大巓も今日は青空に映えて、びっくりするほどの美しさだった。

 平地でも氷点下11度なのだから山頂付近の冷え込みは推して知るべしである。陽射しもでてきたのだが、まだ気温は氷点下10度と厳しい寒さが続いている。鼻の穴がピリピリと痛いほどだ。好天に恵まれた今日は大凹の鞍部から梵天岩も楽しいばかりのスノーハイキングだった。ラッセルに精を出していると汗が出そうになる。梵天岩を過ぎるとまもなく天狗神社へ着く。神社はほとんど氷詰め状態で、この付近の天候の厳しさを想像するだけで恐ろしくさえなる。左手の西吾妻山はうっすらとした霧に包まれているため、今日は割愛してツアーコースへと進むことにした。ビーコンをセットしてシールをはずす。神社からはなるべく高度を下げないようにしながら西吾妻小屋をめざす。そして平坦部を確認すればあとは滑走の開始となる。

 いつも滑って行く沢沿いのコースではなく、今回はなるべく尾根をはずさないようにする。どこを滑ってもパフパフのパウダーで、どこでも自由自在だからたまらない。急いで滑りたくないような快適パウダーがしばらく続いた。深雪、深雪、快適、快適、ターンをするたびに粉が舞い上がった。全く気持ちの良いツリーランで先日の二十日平を思い出すようだった。ツアーの標識をところどころで確認する。そして平坦地にでればもうそこは若女平である。ゆっくりと下ったつもりでも今日は早い早い。ダケカンバの樹林帯に入る手前でザックを下ろして昼食とする。振り返れば青空に西吾妻山がくっくりとしたスカイラインを見せている。

 昼食はいつものカレー味のカップ麺だが、いくらなんでもそろそろ飽きてきた。次回こそ別の種類にしようかなどと考える。食事が終われば最後の滑降へと進んで行く。天候は下り坂だったのか薄暗く、西の空にはすでに雪雲が広がっている。気がつくとチラホラと小雪が舞い始めていた。ダケカンバ帯も快適に滑走して行くと、その先の急斜面も今日は楽しいばかりだ。ほどなく強清水のヤセ尾根だったが、今日のヤセ尾根は私のへたくそなスキー技術でも難なく通過してゆけるから楽しい。あとはいつものように杉林の薄暗い林間を滑り、急斜面にでればほぼツアーの終了となる。植林地付近では、猿が至るところで遊んでいた。真赤な顔をこちらに向けて木の上からこちらを監視しているようだった。結局、最後までスキーを脱がずに白布温泉に降り立ったのは久しぶりであった。



中大巓


天狗神社


西吾妻小屋近く


若女平登山口


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