山 行 記 録

【平成20年1月6日(日)/猫魔スキー場〜雄国山〜ラビスパ裏磐梯



雄国山直下、風雪の行軍



【メンバー】4名(柴田、山中、上野、蒲生)※西川山岳会
【山行形態】テレマークスキーによる山行、冬山装備、日帰り
【山域】裏磐梯
【山名と標高】雄国沼1089m、雄国山1,271.2m
【地形図】(2.5万)桧原湖、(20万)福島
【天候】風雪
【温泉】ラビスパ裏磐梯 500円
【参考タイム】
猫魔スキー場リフト終点10:10〜雄国沼休憩舎11:10-12:20〜雄国山13:00〜1102mピーク〜ラビスパ裏磐梯15:45
  
【概要】
 集合場所としていたラビスパ裏磐梯では青空も見えるほどの空模様だった。しかし、猫魔スキー場に向かうあたりから薄雲が広がりだし、駐車場に着く頃には文字通りの暗雲が垂れ込める。スキー場の中腹から上は分厚い雪雲に、全く見えなくなっていた。この空模様を見て、当初予定していた猫魔ヶ岳の登頂はあっさりと断念し、リフトトップからは雄国沼まで真っ直ぐに降りて行くだけの安直なルートに変更となった。

 リフト終点では風雪模様だった。期待していた天候に裏切られて最悪の出だしとはなったものの、ここからのコースは尾根上を下って左手の雄国沼に下るだけなのでほとんど不安はなかった。しかし、たぶんに気持ちが弛んでいたのだろう。最初の出だしが少しだけ右手にずれてしまったことから、予想外の展開となる。快適な深雪パウダーを喜びながら滑降してゆくと、気付いたときには本来のコースから大きくずれてしまっていたことに気付いた。そこからルートに戻るためには大トラバースとなったのだが、それがなかなか近づくことができない。まだ雪に埋まりきっていない大小様々な沢が次々に現れることも大きな原因だった。気づいてみれば高度はすでに200m以上も下ってしまい、そこから本来の尾根に戻るためにはシールで登り返すしかなくなっていた。

 比較的大きな沢を横断する付近からシールで登り返すことになったもののここからは猛ラッセルだった。30分程度急斜面を登り詰めると本来の尾根に戻ることができてようやく胸を撫で下ろした。見覚えのある斜面を降りて行けばそこは雄国沼の畔だ。しばらく湖畔をたどると1時間ほどで雄国沼休憩舎に到着する。今日のような悪天候では誰もくるはずもなく、最初は私達だけの貸し切りであった。昼食をのんびりと楽しみながら、最後は熱いコーヒーをみんなで分け合って体を温めた。下山にとりかかろうとする頃、雄子沢ルートを登ってきたスノーシューの3人組が小屋にやってきた。3人は小名浜山岳会の人達で柴田氏は知り合いだったらしく、しばらく山の話に花を咲かせていた。

 休憩舎を出るとまっすぐに雄国山への稜線をめざしてゆく。天候は相変わらず風雪が続いており、それはますます激しくなるばかりであった。みんな目出帽とゴーグルで万全の体勢だったが、汗が流れ始めるとゴーグルが曇った。稜線に出ると風はますます厳しさを増した。一方では湿っぽい雪のために、手袋や古びたアウターが次第に濡れ始めてもいた。

 雄国山の山頂も大荒れであった。こんな日には長居は無用である。山頂からはほぼ一直線のコースなのでそれほど不安なコースではない。しかし、積雪はまだまだ少なく、景観がいつもと微妙に違った。そして今日は気温が高くて雪が異様に重いのである。このコースは軽いパウダーならば少々の積雪でも快適に下ってゆけるのだが、今日の重い雪質ではスキーもほとんど走らず、快適な滑りとはほど遠い行動が続く。とくにトップでは一向にスキーは走らず、ラッセルの連続であった。GPSは持参していたのだが、今日はなんとなくずれているようで、あてにはならなかった。いつもの鞍部までのルートでさえもわからなくなり、しばらく4人で右往左往しながらポイントを探した。

 ようやく見覚えのあるコルに着いた時には、時間ばかりが過ぎていて、休憩もそこそこにシールでの登り返しとなる。1102mピークからは普段ならば緩斜面の滑降を楽しめるところだ。しかし今日の春を思わせるような重い雪ではそれも叶わない。次第にみぞれ模様となっているのも不安に拍車をかけるようだった。昨日は春山のような湯殿山だったのだが、今日はそのちょうど裏返しなのだろう。スキーはいくらも滑らずラッセルだけが延々と続いた。それでもラビスパは徐々に近づいていた。

 下るに従ってみぞれが激しく降り始めてきた。そして次第にブッシュが行く手を遮るようになる。山中さんと行動を共にしていた私は大きく右手にコースを逸れてしまい、気付いたときには密林のような急斜面に足を踏み入れていた。結局スキーでは身動きがとれなくなり、坪足でこの急斜面を凌いだ。ほかの二人とは無線で確認していたのだが、彼らは予定のコースを降りているようだった。私達は最後に国道へ出るしかなかった。辺りは目の前が見えないほど風雪が激しくなっていた。みぞれ混じりの雨模様に晒されていた私達はまるで濡れネズミのようだった。すでに薄暗くなった道路をとぼとぼと歩きながらラビスパに向かった。


GPS軌跡

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