山 行 記 録

【平成19年12月8日(土)/志津〜姥ケ岳】



ホワイトアウトの姥ケ岳山頂



【メンバー】単独
【山行形態】テレマークスキーによる山行、冬山装備、日帰り
【山域】月山
【山名と標高】姥ケ岳 1,669.7m
【地形図】(2.5万)月山、(20万)村上
【天候】曇り時々晴れ
【参考タイム】
志津8:20〜姥沢10:20〜リフト乗り場10:40〜リフト上駅11:30〜姥ケ岳11:50〜リフト下駅12:20-12:50(休憩)〜志津13:50

【概要】
 下界ではここ数日間雨が降り続いた。山ではきっと雪だろうと思いながらこの週末が楽しみであった。この時期、快適なパウダーを味わうためには一番乗りでラッセルをしなければならない。しかし、いつものことだが、結局自宅出発が遅くなってしまい、志津温泉を歩き出したのは8時半も近い時間になっていた。駐車場には県外ナンバーが2台で山形ナンバーは1台だけと意外と静かな志津の駐車場だったが、天候は曇り空で夕方までは崩れる心配もないのがありがたい。

 歩き出してみるとすでに数人分のラッセル跡が姥沢へと続いている。結構な積雪があるので六十里越との分岐付近からはシールをつけてゆく。ネィチャーセンターへの分岐点を過ぎると、左手から鉄塔沿いにトレースが伸びていた。積雪はちょうど靴高ぐらいだからトップは結構大変だったろうと思われた。後続としてはラッセルの必要もなく、少々の急坂ぐらいはスノーハイキングのようなものである。予想外に天候は良く、歩いていても実に楽しい。見上げると空の一角には青空も見えるほどだった。

 古川から来たというテレマーカー3人組を途中でパスすると、そこから先はスノーシューの踏跡となった。陽射しが強いだけに結構な汗が流れ続けた。今日はうっかりして水を忘れてきたために、何回も雪をとって食べる。口の中で雪が融けるまでは少しまどろっこしいが、結構雪はおいしい。高度が1000mを超えると姥沢もまもなくだ。西川町の街並みが眼下となり、朝日連峰の山並みが遠方に見えてくる。しかし、湯殿山や姥ケ岳は裾野付近しかみえず、これでは視界はないだろうと一抹の不安がよぎった。

 姥沢の駐車場を過ぎ、ペンション街を過ぎた辺りで2人組のスノーシューを追い越した。2人は仙台からの人達で、スノーボードをザックに載せている。月山は初めてだというので少しコースの説明をする。しかし、古川組といい、仙台組もそうだが遠方からよくここまでくるものだなあと感心することしきりだ。二人は早くも昼食の様子だったが、上に登るかどうかは未定らしかった。リフト乗り場を過ぎるとスキーのトレースが一人分だけとなる。リフト下を黙々と登っていると、早くもそのスキーヤーが下ってくるのが見えた。両足をきれいに揃えたみごとなウエーデルンである。はてどこかで見たような滑りだなあと眺めていたら、以前スキーツアーで同行したことのある山形の阿部さんであった。阿部さんは朝7時にでたというのだからずいぶんと早いものだ。ラッセルのお礼をいいながら少し立ち話する。上は視界がないとのことでリフト上駅から引き返してきたらしかった。しかし、誰も踏んでいないパウダーはトップでラッセルを続けてきたものだけに与えられるご褒美だろうと、阿部さんの滑走シーンを撮影しながらもうらやましくなってしまった。

 リフト下には結構な新雪があって、滑降を楽しみにしながらもしばらく急登に喘いだ。しかし潅木類はまだまだ埋まってはおらず、いくら厳冬期の様相に近いとはいえ、豪雪の月山にとっては積雪が全然足りない。ツリーランを楽しむにはまだまだ早いようであった。リフト直下をおよそ50分で上駅に到着した。この辺りではやはり視界がほとんどなくなっており、休憩小屋もうっすらとしかわからない。こんな天候では普段ならば往路をそのまま引き返すところだが、今日の風は意外と弱いので登るには支障なさそうだった。少しだけ稜線が見えるような状況をみて、姥ケ岳まで往復してくることにした。

 姥ケ岳までは高度差170mぐらいだから30分程度の登りである。しかし、少し登っただけでリフト小屋が全く見えなくなった。視界が全くないというのもつまらないものだ。斜度が緩んでくると平坦な姥ケ岳へと無事に着いたのだが、山頂ではリフト上駅とは比較にならないほど冷たい強風が吹き荒れていた。そこは木道がかすかにわかるぐらいの積雪しかなく、山頂付近の厳しい天候を物語るようだ。こんな山頂では長居はできなかった。

 姥ケ岳からはホワイトアウトのためシールを貼ったまま下ったが、視界がないというのは全く滑りにはならなかった。滑っているのか止まっているのかわからず、シールを付けていても何回か転んだ。途中から視界が戻ると、中腹付近でシールをはずしリフト上駅まで一気に下った。たった1時間足らずの間に天候はかなり悪化してきていた。予報では夕方以降崩れるはずだったが、当然ながら山ではずっと早い。リフト上駅には誰もいないと思ったらテレマーカー3名が一人ずつツェルトを被って雪壁の陰で休んでいた。そしてスノーシュー2人組がようやく登ってきたところだった。

 私は下で昼食を取ることにして早速滑走してゆく。当然ながらまだ阿部さん一人分のシュプールしかなく、雪面がまだ全然荒れていないのがうれしい。締まった積雪に30cm程度の新雪は、まるで厳冬期のようなパウダーだった。リフト乗り場まで下ると阿部さんがまだ残っていた。阿部さんは近くの斜面を利用して、シールを貼っては滑るという滑降の練習を一人黙々と続けていた。ここまで下ると風はなくなり、休憩するには絶好の場所であった。振り返ってみれば一度も休憩を取らずに姥ケ岳に登り、そして下ってきたのに気づいた。雪上に銀マットを敷き、しばらく阿部さんの練習風景を眺めながら昼食をとった。リフト直下ではますます天候が悪くなっていて、すでに視界はなくなりかけている。リフト上駅付近にいると思われる5人はまだ下りてくる様子がなかった。志津までは阿部さんと一緒に下ることにした。道路はトレースのおかげで快適だった。途中の鉄塔下も山スキーにとってはゲレンデのようなものである。ここではお互いに写真を撮りあいながら下った。



雪道は楽しい


姥沢のペンション街


登りで阿部さんと出会う(下は姥沢のリフト乗り場)


下りは一緒に(鉄塔下最終地点)


鉄塔下を滑る(阿部さん撮影)


鉄塔下を滑る(阿部さん撮影)


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