山 行 記 録

【平成19年11月25日(日)/坊平高原から刈田岳】



お釜に向かって初滑りする上野さん



【メンバー】2名(上野、蒲生)
【山行形態】テレマークスキーによる山行、冬山装備、日帰り
【山域】蔵王連峰
【山名と標高】刈田岳1,758m
【地形図】(2.5万)蔵王山、(20万)仙台
【天候】快晴
【参考タイム】
スキー場駐車地点8:20〜リフト終点9:30〜馬ノ背11:20〜11:30刈田岳(お釜往復)13:20〜刈田峠〜大駐車場14:20〜リフト終点14:40〜駐車地点15:00
  
【概要】
 まだ11月というのに、今年は例年にない早い降雪で、里までもがすっかり冬景色に一変してしまった。そして今日は願ってもない移動性高気圧に覆われる予報である。早くも山スキーの季節が訪れたようで、我々愛好者にとってはここ数年なかったような慶事が突然訪れたようである。はじめは月山の予定だったが、諸般の事情により来週までお預けすることになり、今日は上野さんと蔵王で初滑りを行うことにした。調べてみたら坊平高原のライザスキー場がまだ営業していないというのもいい。静寂な雪原を歩きながら、なおかつ手つかずのパウダーが楽しめるかも知れないからである。

 はやる気持ちを抑えながらパッキングを行うのだが、およそ半年ぶりのシール装着にも、どことなくもどかしさを感じながらの作業だ。ゲレンデではスキー場の関係者が数人作業をしているだけで静かなゲレンデである。今日は我々二人以外には誰もいる様子もなく、昨日のトレースが一人分残っているだけだった。

 一面の雪景色の中、久しぶりのシール登高に気分は高まる。朝方から氷点下の気温のために、氷のような雪面だったが、まもなく太陽が昇り始めると、アウターも羽織っていられなくなる。今日は気温がどんどん上昇してゆくようだった。人の姿のないゲレンデというのは、静かでとても気分がいいものだ。小鳥のさえずりさえ聞こえないものの、ほとんど春同然のようであった。蔵王名物の樹氷はまだ成長過程だったが、半分以上はすでにできつつあり、最近続いた風雪の厳しさを物語るようであった。リフト終点まではおよそ1時間強で着いた。頭上からは強烈ともいえるほどの陽射しが降り注ぎ、休んでいても汗が流れ続けた。日焼け止めクリームをたっぷりと塗りたくったのだが、半分以上は汗に流れてしまっていた。

 リフト終点からは昨日歩いたと思われるトレースが馬ノ背へと伸びていた。しかし、まだまだ積雪は少なく笹藪に少し難儀をしながら登ってゆく。結局お田ノ神避難小屋を経由するのはあきらめて夏道沿いに登り、途中からエコーラインを歩いて夏山リフトの大駐車場にでた。そこからは雪がしっかりと付いているリフト下を直登した。

 右手上に刈田神社が見えてくるとリフト下から離れて刈田岳まで直登するルートをとる。常に強風で吹き荒れる馬ノ背も今日はほとんど無風状態。こんな天候は年に1度あるかないかであろう。それほど今日の天候は異常とも言えるほどであった。馬ノ背まで登ればお釜が眼下に見えてくる。冬には氷結するお釜だが、この時期はまだエメラルドグリーンの湖面をしっかりと湛えていた。降雪が続いたとはいえ、まだまだ積雪が足りないようだ。今日は我々だけの山頂かと思ったら、澄川スキー場を登ってきたという宮城県の二人連れが早くも神社で休んでいた。

 山頂ではお互いに写真を取り合ったりしながらしばし至福の時間を過ごす。見渡す限りの大展望には感激するばかりだ。下界はまだ雲に覆われていて、吾妻連峰、飯豊連峰、朝日連峰、そして右端には月山が雲海から頭だけを出している。素晴らしい光景にただただ大満足である。

 刈田岳避難小屋からは刈田岳の東斜面を滑るのを楽しみにもしていたのだが、眼下にはほとんど積雪のない澄川スキー場が広がっていてがっかりした。宮城県側のスキー場開きにはまだまだ早いようである。こんな時ほど雪国のありがたさを思うことはなかった。刈田岳避難小屋では備え付けの石油ストーブがいつのまにか新調されていた。私たちはさっそくストーブに火をいれて、暖かい山小屋での休憩を楽しんだ。好天にもかかわらず4人だけの貸し切りというのが信じられないようだった。

 山頂からは熊野岳を往復する予定だったが、お釜へと広がっている斜面を見つけた上野さんに誘われて、さっそくこの斜面を滑ることにした。標高差はたいしたことはないが、手つかずのバージンスノーはみているだけでもワクワクするようだった。もうこれ以上は滑られない地点まで二人滑り込んでゆくと、あっと言うまに馬ノ背が遠ざかった。今日のような好天のときには登り返しのつらさは少しも感じられなかった。

 山頂に再び戻り、そこからはいつもと違ってエコーライン沿いに下ってみることにした。そして途中から少し笹薮の広がる斜面をショートカットしてゆき刈田峠へと降りて行く。この付近は薮スキーそのものである。まあ、こういったところも山スキーの醍醐味ではある。刈田峠からはエコーラインに沿ってルンルン気分で下るはずだったのだが、予想外に斜度がなくて、結局、大駐車場までは筋トレに終始してしまった。大駐車場からはほぼ夏道沿いに下ってゆきゲレンデトップに出た。

 陽はまだまだ高く、空には相変わらず雲ひとつ見あたらなかった。誰もいないゲレンデを滑るのは山で偶然見つけた斜面を滑る感覚に近いものがある。思い思いに下降してゆくとまもなくライザスキー場の駐車地点が近づいていた。久しぶりの初滑りはここ何年もないほどの好天に恵まれたが、足腰の筋肉や腰の周りは予想外に疲れを感じてしまった一日でもあった。


ちょっと不格好ですが・・・(上野氏撮影)

inserted by FC2 system