山 行 記 録

【平成19年9月17日(月)/上和田から豪士山



豪士山山頂



【メンバー】8名(新野、伊藤孝、伊藤賢、清水、東海林、田中、渡辺、蒲生)
【山行形態】夏山装備、日帰り
【山域】奥羽山脈南部(置賜東部)
【山名と標高】豪士山 (ごうしやま)1,022.4m
【地形図】(2.5万)駒ヶ岳、(20万)仙台
【天候】曇りのち晴れ
【温泉】米沢市「賜の湯」300円
【参考タイム】
本宮キャンプ場駐車場7:40〜登山口7:50〜水場9:30〜豪士峠9:45〜豪士山10:00-11:40〜ひかば越え分岐12:00〜ひかば越え登山口13:20〜登山口14:00

【概要】
 ガイドブックによれば豪士峠はその昔、高畠町上和田と福島市茂庭を結ぶ古い街道上の峠だったようである。高畠村は古くは屋代郷に属し、江戸時代において幕府の直轄領となったり、米沢藩の一時預り地となったりして時の権力に翻弄されたところだが、その屋代郷民にとって豪士峠は二井宿街道に対する間道として利用されていたらしく、またそれは米沢福島間の表街道である板谷峠に対する、いわば裏街道だったようでもある。この街道は福島県側から高畠町の亀岡文殊堂までの最短距離だったことから、昔は多くの参拝者に利用されていたらしいが、その昔日の面影も今はまったく見られず、街道があったことさえ知る人は稀である。

 今日は久しぶりの我が山の会の事業で、予定では旧朝日村の湯ノ沢岳だった。しかし庄内地方は朝から雨が降り止まないとわかり、今回の豪士山へと変更になったものである。幸いに置賜地方は薄雲の間から明るさも見えていて、天候の崩れはなさそうだった。豪士山は以前に2回ほど登っており、新鮮味には欠けるのだが、ここには様々なコース取りがとれるので、新しいルートを歩ければと思いながら高畠町に向かった。

 天候がいまひとつのためか、駐車場には1台も車はなかった。もっとも豪士山に登るにはまだまだ早い時間ということもあった。車は登山口まで行けるのだが、先日の台風9号による大雨のために、林道は深くえぐらていて、進むにはためらうほどの悪路になっていた。そのため300mほど手前の本宮キャンプ場に車を止め、今日はそこからの歩き出しとなった。

 登山口から沢を渡って尾根に取り付くと、そこからは意外と急勾配のために、たっぷりと汗を搾り取られるところだ。しばらく太い松やミズナラなどが目立つ沢沿いの尾根歩きが続いた。沢の流れは心地よいのだが、見上げても上空はぶ厚い雲に覆われていて、展望はほとんど期待できそうもないのが少し寂しい。やがて雲の中に入ってしまうと、じっとりとした湿気が充満し、鬱陶しさが募ってくる一方である。いつのまにか霧雨のようなものが静かに降り注いでいた。

 水場で休憩をとり、そこからはジグザグに急坂を登って豪士峠に登り着く。この辺りまで登ると雲から少し抜け出したのか、太陽がうっすらと薄雲に見え隠れするようになった。気のせいか空気もいくらか乾燥してきたようである。峠からはひと登りで豪士山に到着する。ここまでゆっくり登って2時間半。ハイキングコースとしては最適なこのコースも今日のように視界がないと何の楽しみもないが、一応山頂に登り切ったという達成感があって、それなりにうれしい。晴れていれば高畠町や米沢市が一望にできるのだが、無い物ねだりをいってもしょうがなかった。予定では駒ヶ岳への周回も考えていたのだが、ほとんど視界がない状況では諦めるしかないようである。昼時間には早かったが、かなり早めの昼食兼大休止となってしまった。運転に関係のない者は早々と缶ビールをあけていた。

 山頂では2時間近くも休んでいた。ときどき薄日が差す中、秋の爽やかさを感じながら予想外に長い時間が経っていた。山頂からはそのまま進んで下りてゆくと、広々とした草原の「ひかば越え」に降り立つ。そこからは中沢沿いに下るひかば越えコースへと下りて行く。メンバーの中に、このコースを3週間前に歩いた者がいて、その時は全く刈り払いがされていないために、かなりのヤブ漕ぎを強いられたらしかったが、今回はここの登山道を管理している、「豪士山の会」の方々によって、きれいに刈り払われている。3週間前はヤブの中に大きな石がいくつも隠れていたりして、かなり難儀をさせられたらしかったのだが、今日は歩くには何の支障もなく快適に下って行くことができたのは幸いであった。

 本沢コースは鬱蒼としたブナとミズナラなどの雑木林が続くところだが、清流が流れる沢沿いのコースでもあり、暑い真夏でも快適に登れそうなコースだった。しかし、登山道といっても沢を何回も横断しなければならず、流れも結構あるので大雨の後は要注意のコースである。

 1時間ほど下ると山道も明瞭になり、やがて林道の終点らしきところにでる。ここには「ひかば越え登山口」の標柱があり、あとは本宮キャンプ場の駐車場まで、林道をぶらぶらと歩きながら戻るだけのようだった。曇り空から次第に雨模様になるだろうという朝方の天気予報に反して、林道の上空にはいつのまにか爽やかな秋空が広がっていた。からっとした乾いた風が林道を吹き渡り、本格的な秋もすぐ目の前に近づいているのを感じながら、私達は駐車場へと向かった。


inserted by FC2 system