山 行 記 録

【平成19年5月12日(土)/湯ノ台から鳥海山



七高山から滑降する



【日程】平成19年5月12日(土)
【メンバー】西川山岳会(柴田、上野、荒谷、蒲生)
【山行形態】テレマークスキーによる山行、春山装備、日帰り
【山域】出羽山地
【山名と標高】鳥海山(七高山2,230m)
【地形図】(2.5万)鳥海山、(20万)
【天候】晴れ
【温泉】鳥海山荘500円
【行程と参考コースタイム】
大台野駐車場(路上)7:00〜マタフリ沢源頭8:30-9:00〜七高山11:00-12:00〜駐車場(路上)13:40
  
【概要】
 今日は朝からどんよりとした曇り空が広がっていた。庄内地区にはいり広域農道を走っているときも鳥海山は雲の中で全く見えなかった。しかし、八幡町に入ると様相が一変する。雲ひとつ無い快晴の空に鳥海山は山頂付近までがすっきりと見えているのだ。やはり山は現地に来てみなければわからないものだとあらためて思った。それでも天候は午後から下り坂の予報がでているので安心はできず、早め早めの行動開始となる。

 車は宮様コースの入口まで入ることが出来た。車は他に1台もなく、今日の鳥海山は我々だけだろうと思っていたら、まもなく新潟ナンバーが1台だけやってきた。シールの装着を終えればさっそく斜面へと取り付いて行く。登り初めこそ少々のヤブに時間をとられたものの、二つ目の急坂を登り切ると、そこからはシール登行に何も支障がなくなった。すぐにでも手が届きそうな鳥海山は、山頂まではっきりと見えていたが、このコースは見た目よりはるかに長い。標準でも4時間コースなのでひたすら黙々としたシール登行が続いた。

 今日の私の体調はいまひとつで、最後尾をやっと追いかけて行くような具合だった。前日の飲み会が少したたっているのだろうかと思ったのだが、久しぶりに味わう本格的な登りのせいかも知れなかった。
マタフリ沢源頭部からはさらに急坂の連続となる。積雪は相変わらず多く、いつものヤブ漕ぎ箇所も今回は雪がつながっているので難なく七高山へと回り込んで行けそうだった。その分岐点で一休みをすればあとはひと登りという安心感に浸った。ここはすでに九合目といってもいい場所であり、残り30分ほどの急坂をひとがんばりすれば外輪山へと登り着く地点である。振り返ると雲がすでに低い位置に漂っていて、私達はいつのまにか雲の上に飛び出したようだった。真後ろには月山の山並みが見えるはずだったが、残念ながら雲に隠れて見えず、なんとか山の頂きだけがうっすらとわかるだけだった。

 ようやく外輪山の一角にたどり着くと、雪はすでにそこにはなく10日前に訪れたときとは風景がすっかり変わっていた。登り着いたところから七高山までは指呼の間しかない。そこからは坪足で七高山まで往復することにしたのだが、さすがに稜線だけあって風が強く、うっかりすると体毎吹っ飛ばされそうだった。防寒着や目出帽など持っているものを全て装着して稜線に立った。新山方向に目を向けると大物忌神社が眼下に見えた。半分はまだ雪に埋もれているがすでに屋根部分だけはでているようだった。七高山の山頂には祓川から登ってきた登山者が数人いるだけで、すでに先日のGWのような混雑振りはなかった。

 風の強さはなまはんかではないので、少し下った地点で一休みをとる。風は上空を卷いているようで四方八方から吹き付けてくるようだった。昼食を食べてもなかなか体は温まらず、軟水の進み具合もいまひとつのようだった。私はコーラを飲み干したが、その後は体がガタガタと震えだしてくる始末だった。結果的に風を避けたつもりが、ほとんど稜線とは変わらず、やはり少し下った方が良かったようである。

 それでも1時間の休憩を終えればそこからは楽しみな滑降が始まる。気温が低いおかげで、雪質は適度に保たれスキーはよく走った。自由奔放に下って行く快適さは、とても言葉では表現できそうにもなさそうだ。100mほど高度が下がると稜線の風はウソのようになくなり、今度は暑いくらいの気温に悩まされるほどだった。途中で防寒着を脱ぎ捨て、身軽になって滑って行く。滑っている間にも新潟ナンバーと出会うだろう思っていたら、なかなかやってくる気配はなく、今日の湯ノ台コースから山頂を踏んだのは我々だけだったようである。新潟ナンバーのものと思われるシュプールが途中から引き返す形で残っていた。

 一気に下ってしまうのがもったいないほどの斜面に、ときどき立ち止まりながら、そして休憩をはさみながらのんびりと下って行く。それでもスキーで下ると早いものだ。急斜面を滑り終え、
マタフリ沢源頭部からトラバースしてゆくと、たちまち滝の小屋に着いてしまった。

 滝の小屋からは大斜面をひと滑りすればゴールもまもなくとなる。登ってきたコースはヤブが混んでいるので今回は左手の沢沿いに未踏のコースを滑って行く。最後は細い木々が混み合う中を少し難儀しながら抜け出すとようやく道路に飛びだした。結局、スキーは一度もはずすことなく、密林のようなヤブを下ってきたことで、小さな満足感に浸った。山屋としての面目躍如たるものがあったということだろうか。そこは駐車地点から500mほど上部だったが、そこまでは積雪を利用しながら難なくスキーで下って行くことができそうだった。


ひたすら山頂をめざす


ようやく外輪山に到着


ソロバン尾根を滑降する


初春の鳥海山荘と鳥海山


雲海を背景に鳥海山から滑降する


筆者の滑り出しシーン(柴田氏撮影)


ソロバン尾根を滑る筆者(柴田氏撮影)

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