山 行 記 録

【平成19年5月3日(木)〜5日(土)/八甲田山



八甲田温泉を眼下に、ぬくぬく気分で一休み



【日程】平成19年5月3日(木)〜5日(土)
【メンバー】2名(妻)
【山行形態】テレマークスキーによる山行、酸ヶ湯温泉駐車場に幕営(山行は日帰り)
【山域】北八甲田連峰
【山名と標高】田茂萢岳1,324m、大岳1,585m
【地形図】(2.5万)八甲田山、(20万)
【天候】(3日)晴れ、(4日)晴れ、(5日)晴れ
【温泉】深沢温泉 300円
【行程と参考コースタイム】
5月2日)長井15:00=(R348・山形蔵王IC=※途中SAにて仮眠:テント泊)=酸ヶ湯温泉(翌日7:30着)
(5月3日)(田茂萢岳〜八甲田温泉コース)ロープウェイ終点(田茂萢岳)10:50〜田代平バス停12:50
田代平バス停(バス)八甲田ロープウェイ(車)深沢温泉(車)酸ヶ湯温泉(テント泊)
(5月4日)(田茂萢岳〜箒場岱コース)ロープウェイ終点(田茂萢岳)10:50〜大岳ヒュッテ12:20〜箒場岱バス停13:40
 箒場岱バス停(バス)八甲田ロープウェイ(車)深沢温泉(車)酸ヶ湯温泉(テント泊)
(5月5日)(移動日)酸ヶ湯温泉900=R394=東北道(黒石IC・碇ヶ関IC)=R7・R105・R285(鷹巣町・五城目町)=R7=山形道(酒田みなとIC・湯殿山IC)R112・R287=長井2100

【概要】
(5月3日)
 GW後半は恒例となった、カミさんとの八甲田山である。愛犬がいるためにテント生活を楽しみながらの定着形山行というわけだ。こう書けば何となく格好はいいが、内容は骨休めみたいな山スキーである。幸いに天候も良さそうな予報が出ているので、GW後半はのんびりと八甲田の山スキーを楽しめそうであった。

 八甲田ロープウェイに向かう前に雪上にテントを設営する。酸ヶ湯温泉の駐車場は意外と空いていて、いささか拍子抜けのような格好だった。積雪は幾分少なめだが、例年どおりのようである。今日は風が強いために強風対策をしっかりととってからロープウェイへと向かった。

 八甲田ロープウェイはかなり混んでいて、しばらく乗り込むまで時間がかかった。さらに強風のためにロープウェイは減速運転を行っている。ロープウェイ終点につくとやはり山頂付近は強風とガスに包まれていた。いわゆるホワイトアウトのため、視界は全くない。単なる観光客は外へも出ることができずにそのままロープウェイで下山する人も続出しているようだった。私達はアウターを着込み完全武装で外に出てみると、予想していたよりも気温は高い。そのために厳冬期のような不安はほとんどなかった。まあ、少し下れば晴れるだろうと田茂萢岳から八甲田温泉コースへと滑り出した。

 八甲田温泉コースは何回も経験したことからカミさんも慣れたもので、なんの心配もなく楽しみながら下ってゆく。下るに連れてホワイトアウトから抜け出して視界が戻れば、いつものGWの八甲田山となる。しかし灌木が混んでくるようになると、急にカミさんはスピードダウンとなり、私が下で待っていることが多くなった。

 この八甲田温泉コースはコースが短いので、一気に下れば瞬く間に下山してしまいそうなので、途中で大休止をとることにする。滑っている時間はどこも変わりはないが、こうして八甲田温泉を見下ろしながらのんびりと休む時間はいつもよりも大切である。遠路はるばる東北の最北端までやってきて、旅情を感じるのはこうしたゆったりした時間だからだ。風はいつのまにか止んで、温かい日差しが頭上から降り注いでいた。

 休憩地点からは下るほどに風は穏やかなものになってゆき、気温がどんどんと上昇してきていた。ついにはアウターも手袋も必要がないくらいになっていた。ブナ林の平坦地まで下ると、ロープウェイ山頂駅の悪天候はウソのように晴れ渡り、ウグイスの鳴き声がどこからともなく聞こえている。ブナ林の中ではテントを張って一人優雅にキャンプを楽しんでいる人もいた。このブナ林でもう一休みして行こうかとも思ったのだが、バス時間が間に合いそうなのをみて、そのまま一気に八甲田温泉へと下った。下界では愛犬がいまかいまかと私達を待っているのだった。

 下山後は愛犬を拾って深沢温泉に向かった。ここは秘湯ともいえる温泉で、ちょっと見には掘っ立て小屋のようななんとなく裏寂しい雰囲気だが、中に入ってみると意外や意外、ちょっと人には教えたくないほどの掘り出しものであった。見た目だけでは判断はできないものだとあらためて反省した。貸し切りのような温泉は豊富で、それになによりも店の内部の雰囲気がよかった。入浴後は人の良さそうな地元の人と話をしながら、牛乳を飲み、薪ストーブにあたりながら、疲れた体をしばし休めることにした。



愛犬とのキャンプ生活は楽しい!

(5月4日)
 夜は一晩中風が強く、テントは揺れに揺れていた。愛犬はそのたびに起き出して、体を震えさせておびえていた。そんな様子を眺めていると可哀想になり、シュラフに潜り込ませてなんとか一晩を過ごした。夜が明けるとテントからは大岳の山頂付近が見えた。今日は昨日とは違って、視界も良さそうなので予定どおり、箒場岱コースを楽しむことにした。

 ロープウェイは強風のために普段の倍近くの時間をかけて運行していた。8時半頃から並んだが、結局山頂駅に到着したのは10時半で、2時間も無駄な時間をとられてしまった形となった。このためもあって、今日は赤倉岳コースをとらずにまっすぐに大岳ヒュッテをめざすコースに変更した。田茂萢岳山頂から下る時にはほとんど人は見あたらなかったが、沢底へと下りてゆくと、酸ヶ湯温泉から登ってくる人なども加わって、コース上には大勢の人達で溢れてくる。尾根をながめると坪足組や山スキーの人達が列をなして登ってゆくのが見えた。

 大岳ヒュッテが近づく辺りから雨雲が近づいて、一時空が暗くなったものの、幸いに雨が降り出すことはなかった。大岳ヒュッテからはいよいよ箒場岱コースへの滑降開始だ。滑り出しは特に急斜面もないので、カミさんはおおいに喜び、なだらかな斜面をゆったりと、そして気ままに山スキーを楽しんでいた。山並みの陰に入ったおかげで山頂付近の強風はいつのまにか治まり、いつもの春スキーの雰囲気に包まれた。

 まるで歩く歩道に乗っているかのようなスキーの連続にカミさんは笑顔が絶えないようだった。そしてブナ林を縫ってゆくと車の走る音がどんどんと大きくなってゆく。立木がいつもよりも混んでいたが、そこを抜け出すとまもなく箒場岱のバス停だった。

 下山後は今日も深沢温泉で入浴をすることにした。二人ともこの温泉がいたく気に入ってしまい、入浴後は再び薪ストーブのある売店で、地元の牛乳を飲んだりしながらのんびりとしたひとときを過ごした。ここは酸ヶ湯温泉とは対極にあるような温泉で、観光客がほとんど来ないような温泉だが、この温泉の良さを知っている地元の人は度々利用しているようだった。

 この夜は一晩中風が強く、そして夜半からは雨が降り出した。しかし、明日は移動日なのでいくら荒れ模様になっても心配はなかった。テントをたたく雨音が心地よく、疲れた体には子守歌のような気がした。


急斜面を滑り終えればしばらく平坦地のシール登行が続く(大岳ヒュッテに向かう)

(5月5日)
夜の雨も朝方には止んで再び朝の日差しが降り注いでいる。しかし、駐車場は濃霧に包まれていて、見上げても大岳は見えなかった。こんな天候にもかかわらず仙人岱ヒュッテをめざしてシール登行を始めている人達もめだった。私たちはのんびりと朝食をつくり、コーヒーなどを飲みながら、後かたづけを始めた。移動日なので、なにもあわてることもなかったが、テント撤収を済ませてしまえば、帰路はいつものように一般道を走り、「道の駅めぐり」を楽しみながら、のんびりと山形への自宅へと向かった。



2日間入浴した深沢温泉


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