山 行 記 録

【平成18年12月31日(日)/蔵王連峰 坊平高原〜刈田岳



刈田岳山頂



【日程】平成18年12月31日(日)
【メンバー】単独
【山行形態】テレマークスキーによる山行、冬山装備、日帰り
【山域】蔵王連峰
【山名と標高】刈田岳1,758m
【地形図 1/25000】蔵王山
【天候】曇り
【行程と参考コースタイム】
蔵王ライザスキー場(第2リフト終点)12:50〜刈田岳14:10〜お田ノ神避難小屋14:40-15:00〜駐車場15:25
  
【概要】
 大晦日の雑用を終えてのんびりとしていたら、曇り空だった天候が徐々に快復傾向を見せ始め、次第に青空が広っていた。そんな空模様をみて急遽、蔵王に向かったのだが、現実はそんなに甘くはなかった。ゲレンデは何とか晴れているものの、リフト終点から上は厚い雲に覆われていて、山頂付近は全く見えなかった。

 今日は最初の出だしで遭難者と遭遇したために、再びリフト終点を出発したときには午後も一時近くになっていた。しかし、天気予報によると今日の後半から天候は回復してくるはずだというので、それほど時間に対する心配はしていなかった。

 蔵王には三週間前、情けないことに慣れない寒さから途中で引き返していたが、今日は少々悪天候でも登っていこうという気力だけはあった。しかし、遭難者を救助しながら、今度は自分が遭難してもいられず、いつもよりも慎重に登って行く。三週間前とは違って、積雪量は格段に増しているために、障害と呼べるようなものはなさそうである。今日はルートを右寄りにとって登山リフトに直接向かった。蔵王名物の樹氷はというと、積雪は増したとはいえ、まだ半分ぐらいしか成長していない。今年はまだまだ雪不足のようである。登山リフトからは鉄塔下を登って行く。このルートを外さなければ何の不安もないのだが、風は激しさを増し、視界はほとんどなくなっていた。

 馬ノ背は下界の好天からは想像もできないほどの強風が吹き荒れていた。馬ノ背に立っている標柱を目安にして歩いて行くと濃霧の中に刈田岳のレストハウスが右手に見えてくる。山頂まではもうまもなくだった。

 刈田岳の山頂に立つと宮城県側は晴れているのか、幾分明るい感じがしたが、それでも視界の悪さと強風は変わりがなかった。なかなか蔵王の山頂で好天に恵まれることは少ないだけに、今日も展望はあきらめるしかないようだった。シュカブラの発達した雪面と、全体がエビのシッポに覆われた刈田神社を見ていると、蔵王の冬山での厳しさを伺わせた。ここでツェルトを張ろうかとよほど思ったのだが、あまりの悪天候に避難小屋まで下ってから昼食タイムをとることにした。シールをはがして滑降に移ると、馬ノ背の強風に体が押し戻されそうになり、ほとんど前に進まない。帽子を被っているからいいようなものの、素肌がもろに出ている顔面はたちまち凍傷にかかりそうなほどだった。リフト下までたどりつくと風は幾分穏やかになり、ようやく安心感が広がった。

 お田ノ神避難小屋には誰も入った様子がなかった。冬期入口になっている窓はガリガリに凍り付いていて、開けるまでが一苦労だった。今日遭遇した遭難者もこの小屋の中であればあれほどひどい凍傷にはかからずに澄んだと思うと、今更ながら避難小屋の有り難さが身に沁みてくるようだった。

 30分ほどの休憩を終えて小屋の外に出てみる。視界の悪さは相変わらずだったが、風はかなり治まっており、下山するには何の不安もなくなっていた。リフト終点からは手つかずのリフト下に出て深雪斜面を一気に滑ってゆく。しかし、半分も滑らないうちに、リフトの下は滑走禁止という、したたか大きなアナウンスがゲレンデ一帯に流されてしまい、私は逃げるようにしてゲレンデに戻った。


夏山登山リフト乗り場


お田ノ神避難小屋


inserted by FC2 system