山 行 記 録

【平成18年12月24日(日)/志津温泉〜姥ケ岳 ※リフト上駅まで



一瞬だけ青空がのぞいた姥沢駐車場付近



【日程】平成18年12月24日(日)
【メンバー】単独
【山行形態】テレマークスキーによる山行、冬山装備、日帰り
【山域】月山
【山名と標高】姥ケ岳 1,670m
【地形図 1/25000】月山
【天候】風雪
【行程と参考コースタイム】
志津9:30〜姥沢11:30〜リフト乗り場12:10-12:30〜リフト上駅13:20〜志津14:20
  
【概要】
 朝から小雨が降り続いていた。山は大荒れだろうと思ったが、昼頃から回復する天気予報なので、今日は月山に向かってみることにした。とりあえず、蔵王連峰、吾妻連峰と簡単な足慣らしをしてきたものの、期待したほどの積雪がなかったり、悪天候に阻まれたりと、満足の行く山行きはまださっぱりであった。

 志津温泉付近までくると道路も圧雪状態となり、両側には除雪された雪の堆積が目立ってくる。さすがに豪雪地帯だけあって、よその山とは比較にならないくらいの積雪である。どこでも登って行けそうな状態をみて、思わずうれしくなるほどだった。しかし、天候もまた下界とは比較にならないくらいにひどい状態で、駐車場で準備をしているときから、周りが見えないほどの風雪が音をたてて舞っていた。駐車場には車が7、8台あったが、人の姿が全然ないのもいまひとつ気持ちが盛り上がらない。トレースを見ると早出をしていったパーティは、山スキーだけではなく、スノーシューもかなり多いようであった。

 今日は自宅を出るのが遅くなった分だけ、他人のトレースを利用できるのがありがたい。いわゆるラッセルドロ・・というわけだが、お互い様であろうと割り切るしかない。ネーチャーセンターへの分岐点ではスノーシューの踏跡が左手に別れてゆき、林道へはスキーのトレースが伸びていた。追いついたらラッセル隊に加わるつもりで足早に進んでゆくが、少しも先行者に追い付くことはなかった。

 しばらく進むと、林道のトレースと電柱沿いに直登しているトレースの二手に別れていた。私は直登コースへと急斜面に取り付いたが、ここは結構難儀しながら登らなければならなかった。振り返ると濃霧が少し晴れて、うっすらと志津温泉街が見えた。まもなく晴れそうな空を見上げると期待感に胸がはずんだ。人の足跡だけを追ってゆくのもだんだんと飽きてきて、ときどきショートカットをしながら単独ラッセルを試みるものの、ワンピッチですぐに疲れてしまい、再び元のトレースに戻ったりした。この時期の単独ラッセルはなかなかつらいものがあることを、あらためて認識させられてしまった。今日は先行者のトレースがあったおかげで、ほとんど休むこともなく姥沢への直線コースまで登ってゆくことができたが、不思議とここまでは誰とも出会わなかった。

 前方に姥沢駐車場の建物が見えてくると、二人連れが下ってくるのが見えた。すれ違うときに声をかけてみると、二人は新潟からきた人たちで、悪天候なので駐車場から引き返してきたらしかったが、5〜6人ほどが姥ケ岳に向かっていったとのことであった。

 雪に半分埋もれた駐車場には人の気配もなく、強風が吹き荒れていた。それでもその強風に雲が流れ、わずかに晴れ間が広がった。ところが青空が見えたのはほんの一瞬だけで、期待もむなしくすぐに荒涼とした冬景色に戻った。姥沢まで続いていたトレースも、駐車場ではほとんど消えているので、はじめはみんな引き返したのだろうと思ったほどだった。しかし、民宿街を過ぎ、姥沢小屋に向かうと再びトレースが現れた。

 リフト下駅に着いたときには正午をすでに過ぎていたため、簡単に昼食を済ませてゆくことにした。ここまで3時間近く経っていたが、今日初めての小休止である。風を避けるために適当な場所を探そうとしても、風雪は四方八方から吹き付けてくるので、落ち着く場所はなかなかなかった。しょうがないので建物の陰でツェルトを広げ、上から被ったままで昼食の準備をした。カップラーメンのいつもの昼食だったが、温かい食べ物を腹に入れると、また登ろうとする元気が出てくるようだった。また休んでいる間に、上から滑り降りて来る人達も何人かいるようだった。

 そそくさとした昼食が終わるとリフト下を登り始める。せっかくのパウダー斜面も、少し前に下ってきた人達のシュプールで雪面は荒れてしまい、また登りのトレースはすっかり消えてしまっていた。鉄塔の半分を過ぎると森林限界となり、激しい風雪に晒されるようになった。その分だけラッセルの必要がなくなったが、風雪はさらに激しくなって体にぶつかってくる。その荒涼とした風景は厳冬期そのもので、鉄塔がなければとっくに引き返しただろうか。リフト乗り場からは約50分でリフト終点に登り着いた。しかし、今日の風雪と視界が10mもないホワイトアウトではとても姥ケ岳まで登る気にはなれなかった。

 リフト上駅からはシールをはがして急いで滑降に移ることにする。シールをはがしているわずかな間にも、濡れていた手袋はガリガリに凍り始めていた。雪面が荒れているため、リフト上部からは右手の樹林帯に入って行く。まだブッシュは出ているものの、深雪の斜面は快適だった。瞬く間にリフト乗り場を通過して姥沢駐車場まで来ると、前方に何人か歩いている人影が見えた。スキーに慣れていない人がいるのか、下るのに少し手間取っているらしかった。私は林道でその人達を追い越し、途中からは電柱コースに入ってゆく。まるでゲレンデのような電柱下の深雪は快適で、たちまち林道のトレースに合流した。そこからはそのトレースをなぞりながら滑って行き駐車場に戻った。志津温泉街ではさらに積雪があったのか、除雪機械がフル稼働しており、月山の山麓はすでに真冬の様相を呈していた。


配電線直下を直登する


風雪の姥沢


姥沢で出会った新潟のお二人


姥沢小屋


リフト下を下ってくるパーティ


ようやくリフト上駅に着く


姥ケ岳休憩所


リフト上駅



ルートマップ


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