山 行 記 録

【平成18年12月10日(日)坊平高原〜刈田岳 ※お田ノ神避難小屋まで】



コース上にある句碑



【日程】平成18年12月10日(日)
【メンバー】単独
【山行形態】テレマークスキーによる山行、冬山装備、日帰り
【山域】蔵王連峰
【山名と標高】刈田岳1,758m ※お田ノ神避難小屋まで
【地形図 1/25000】蔵王
【天候】風雪
【行程と参考コースタイム】
駐車場10:30〜第2リフト終点11:40〜お田ノ神避難小屋12:20〜第2リフト終点12:30-12:50〜駐車場13:10
  
【概要】
 西高東低の冬型気圧配置となった日曜日、久しぶりに坊平高原へと出かけてみた。12月というのに下界は雨が降り続いていたが、山は間違いなく雪だろうと思うと天候はそれほど心配はしていなかった。エコーラインを上るに従って雨からみぞれ、みぞれから大粒の雪へと変わってゆく。しかし、気温は氷点下2度とかなり高いためなのか、ライザスキー場の駐車場はほとんど視界が効かないほどの濃霧に包まれていた。おかげで駐車場もがらがら状態で、これでは滑りにはならないと、大半の人たちがあきらめてスキー場から引き返していった。

 リフトは全て稼働していたのだが、こんな天候では山頂を踏むのも容易ではないだろうと思い、今日はリフトを使わずに駐車場から歩いてゆくことにした。考えてみればリフトが稼働している時期にリフトを利用しないというのは初めてだった。粉雪が舞う強風と濃霧の中、ゲレンデの左端を目指して登ってゆくと、音が雪に吸収されるのか、スキー場の音楽さえも聞こえてこなくなった。

 左手のゲレンデは人の姿が見あたらず、また圧雪車も入っていないようで、ここは下りでの滑りが楽しみだった。できればこのまま悪天候が続いてほしいとさえ思いながら登ってゆく。リフト終点まではちょうど一時間で到着した。上のリフトまで利用してくる人は数えるほどしかなく、今日の天候は最悪のような状態だった。

 リフト終点からは一部、笹ヤブがでているものの、シール登高にはそれほどの支障はなかった。しかし風はさらに激しさを増してゆく。トレースが一人分うっすらと残っていたが、それも途中で引き返していた。沢型がまだ残っていて、通過すると20センチ程度の表層が崩れていった。エコーラインらしいところを横切ってゆき、もう一段登ればお田ノ神避難小屋という地点までようやくこぎつける。登りはじめて、ほぼ2時間が経とうとしていた。

 そこは小屋までは残り100mもない地点だったが、振り返ると自分のラッセル跡が、強風のために次々と消えてゆくのを見て、突然、恐怖感のようなものに襲われた。ホワイトアウトのためかも知れなかったが、本格的な冬の嵐に出会って、情けないことに、私は不意に怯えてしまったようだった。常には小屋からであれば、どんなに荒れてもスキー場に戻れるという自信のようなものがあったのだが、こんなことは初めてだった。当初は小屋で昼食でもとりながらのんびりしようと考えてきたのだが、急いで戻ろうと決めた。はがしたシールをそそくさとザックに突っ込み、元の道を引き返してゆくと、すでに自分のトレースは雪で消されていた。

 厳冬期の気温に比べればそれほどの寒さではなかったのだが、今日の強風も加わって、濡れた手袋はガチガチに凍っていた。リフト終点近くまで戻ったところで、急いでツェルトを取り出し、中に潜り込む。ツェルトに入ると冷えたからだが少しずつ温まり、まもなくすると心も落ち着いてきたようだった。久しぶりに温かいカップラーメンを作っていると、徐々に平常心が戻ってくるのがわかった。このところ生温いような山登りが続いたからなのか、私の体はまだまだ冬山に適応していないような感じだった。

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