山 行 記 録

平成18年11月25日(土)徳網山



山頂近くから朝日連峰を望む



【日程】平成18年11月25日(土)
【メンバー】2名(妻)
【山行形態】夏山装備、日帰り
【山域】朝日連峰周辺
【山名と標高】 徳網山(とくあみやま)787.5m
【地形図 1/25000】徳網
【天候】快晴
【行程と参考コースタイム】
徳網山登山口10:20〜徳網山(昼食)12:10-13:20〜徳網山登山口14:40

【概要】
 徳網山は山形県の西置賜郡小国町の北西部に位置し、五味沢地区のさらに奥の集落である、樋倉地区のすぐ裏手に聳える山である。すぐ近くにはオートキャンプ場や「白い森交流センターりふれ」の宿泊施設がある。この徳網山とはちょうど荒川をはさんで白太郎山や祝瓶山が対峙しており、以前から「知る人ぞ知る眺望の素晴らしい山」として地元の住民には密かに登られていた山だったが、昨年の9月、「徳網山歩道を守る会」の人たちによって、新たに徳網山への登山道が切り開かれたものである。この徳網山には妻とは昨年に続いて1年ぶりの再訪となった。

 今日の置賜地方は初めて氷点下の最低気温を記録した。マイナス4度という冷え込みのため、自宅の庭には一面、真っ白い霜が降りていたが、その反面、朝から雲ひとつない快晴の空が広がり、自宅の二階からは、新雪に覆われた飯豊山が眩しいほどに輝いているのが見えた。願ってもない山日和の空模様をみて、妻が久しぶりに徳網山に登りたいというので、めずらしく二人連れだって北小国へと向かった。

 こんな好天に誘われたのか、徳網山の駐車場はすでに満杯で、ずっと手前の道路の路肩に留めなければならなかった。この徳網山にはちょうど一ヶ月前、山の仲間と紅葉の時期にも登っているのだが、11月下旬の今日は、晩秋と言うよりもほとんど初冬という雰囲気に満ちていた。雑木林の葉はすっかり落ち尽くしていて、スカスカになった樹林からは、普段は見えない筈の尾根の向こう側や谷の反対側が見渡せるので実に新鮮な感動を覚えた。

 急ぐ山旅でもないので途中で何回も休憩をとりながら歩いて行く。尾根の両側のどちらを眺めても見晴らしが利くので、三回目の徳網山ではあったが、今までで一番楽しい気分でもあった。朝の眩しい陽光が林間に降り注いでいて、初冬とは思えないほど明るい雰囲気の山道が続く。実質的にも里山のような徳網山だが今日は特にその思いが強かった。

 最初の急坂を登るとまもなく前方に徳網山が見えるようになる。これもいつもよりずっと早い感じで、右手奥には冠雪した朝日連峰が目に飛び込んできた。徳網山の山頂は目の前に聳えているが、そこからはしばらく遠回りするように山頂が遠ざかって行く。落ち葉の降り積もった道はクッションがあって歩きやすく、僅かに残る紅葉を愛でながらの雑木林ハイキングはとっても気持ちのよいものだった。

 山頂へは1時間50分で到着した。途中で6名ほど下っていったものの、それでも山頂にはまだ20名近い登山者が休んでいて、こんなに混雑した徳網山の山頂を見るのは初めてだった。早めに下った人達のスペースがかろうじて残っていて、私達はそこを休憩場所に選んでザックをおろすことにした。

 正面には大朝日岳の稜線が輝いていて、眺めは良く、最高の気分である。しかし、すでに冠雪している筈の祝瓶山には、予想したほどには雪がないので意外な感じがした。米沢市や川西町あたりから眺める祝瓶山は、かなり前から雪に覆われているのを見ているだけに、それだけ西側からの風が強いということかも知れなかった。背後に見える飯豊連峰もすでに多くの雪に覆われていたが、日差しが強いだけに少し霞んで見えた。

 11月下旬にもなって今日のような好天はもう最後だろうと思うと、急いで下る気分にはなれなかった。小春日和の日差しが心地よくて、横になったりしながら、山頂では1時間以上も休んでいた。しかし、秋の日差しはつるべ落とし。そうそうのんびりしているわけにもゆかなかった。私達が山頂を下り始める頃にはほとんどの登山者が下ってしまい、残っているのは他には三名だけになっていた。

 下り始めても快晴の空は変わらず、雲ひとつない澄んだ青空が広がっていたが、午後も二時を過ぎると陽は西に傾き始めていた。徳網山の山頂が見えなくなる付近まで下ってくると、これから登って行く人がいるのを見て驚いた。これも里山のいいところなのかも知れなかったが、この時間ならば少し夕景の朝日連峰などが楽しめるのかも知れないと思うと、少しうらやましい気分でもある。ブナ林にはオレンジ色の日差しが斜めから差していて、落ち葉の広がる斜面にはブナの木の長い影が伸びていた。


小春日和の登山道を下る(背景は徳網山)

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