山 行 記 録

【平成18年10月28日(土)/聖山平〜ろうづめ平〜後烏帽子岳



ようやく後烏帽子岳に到着



【日程】平成18年10月28日(土)
【メンバー】2名(妻)
【山行形態】夏山装備、日帰り
【山域】蔵王連峰
【山名と標高】後烏帽子岳 1681m
【地形図 1/25000】遠刈田、蔵王山
【天候】晴れ
【行程と参考コースタイム】
聖山平登山口9:40〜澄川渡渉点9:50〜股窪10:30〜ろうづめ平11:20〜後烏帽子岳12:00-45〜ろうづめ平13:10〜澄川14:10〜聖山平登山口14:30
  
【概要】
 先週の小阿寺沢口からの後烏帽子岳に気をよくして、今週は聖山平からまた後烏帽子岳に登ることにした。聖山平はちょうど小阿寺沢口の反対側に位置する登山口で、距離はほとんど変わりはないものの、高度差は小阿寺沢口から比較すれば三分の一程度しかない。今回はハイキング気分でカミさんとの山行である。

 聖山平登山口はエコーラインの大黒天駐車場から5分ほど林道に入ったところにあった。登山口の標高はすでに1300mもあるので、あたり一帯はすべて葉を落ちつくしていて、青々として残っているのはクマザサとアオモリトドマツ等の針葉樹ぐらいである。紅葉は全く終わってしまい、もう晩秋の趣が色濃く残っているだけで、あとは降雪を待つだけのようだった。この時期ならば登山者はほとんどいないだろうと思っていたら、駐車場では15、6名ほどの団体が体操をしながら登る準備をしているところだった。車が見当たらなかったので尋ねてみると、今日の行程はえぼしスキー場への縦走らしく、マイクロバスはスキー場で待っているとのこと。この団体はアウトドアメーカーの「NORTH FACE」主催によるツアーのようであった。団体達はまもなく登山口へと向かっていった。

 今日は快晴の天気予報が出ていて、燦々とした小春日和の日差しが降り注いでいた。紅葉の楽しみはないとはいいながらも、こんな好天の日には何となくウキウキした高揚感がある。気温は低かったが、吹き抜ける秋の風は爽やかで、今日も登山日和となったようである。

 駐車場から少し林道を進むと標識のある登山口に着く。ここからは鬱蒼とした樹林帯に入ってゆくのだが、この時期は見通しがよいので、歩いていても周囲の展望があるから楽しい。コースはいったん沢に下って飛び石伝いに対岸へと渡り、登り返した地点からは再び大きく次の渡渉地点に下って行く。ここは澄川の源頭部で、渇水期にもかかわらず、大きな岩の間を豊富な水が流れる美しい渓谷であった。私たちはここで先の団体に追い付いたが、みんなはこの澄川の通過に時間をとられているようだった。ここにはワイヤーロープ一本と、広い川幅を渡るために短い橋板が4枚、岩盤の上に並べられていたが、この橋は先週末ですでにはずされていたらしく、団体達は今回通過するためにあらためて橋板を並べ直してくれていた。みんなは私達が渡り終えるまで橋の取り外しを待っていてくれて、私達はお礼を述べながら通過させてもらった。この橋はアルミ製のハシゴのようなものに板を張り付けただけの簡単なもので、水に流されないように片方がワイヤーで固定されている。聞いてみたらこのツアーのサポートには蔵王自然の家の職員があたっているようだった。

 澄川を渡り終えて目の前の急斜面を登ると平坦部が続くようになった。途中の展望台のようなところで団体を追い抜くと、そこからはずっと二人だけのハイキングとなった。川の渡渉はそれからも2ヶ所ほどあってなかなか高度が上がらない。ろうずめ平まではいくらも標高差はないのに距離は意外と長く感じた。それでも高度計をみると少しずつだが高度が上がっているようだった。途中、股窪の十字路を過ぎると右手に赤い屋根の蔵王山岳会の山小屋が見えてくる。ここからは屏風岳が小屋に覆い被さるようにも見えて、迫力のある光景が展開している。ろうずめ平はそこからまもなくだった。

 ろうずめ平からは右手に屏風岳が迫り、左手にはすっきりした三角形の後烏帽子岳が聳えていたが、夏場には樹林で遮られてあまり視界がないような場所のようである。ここから後烏帽子岳への標高差は200mもないので、山頂まではもうひとがんばりのようであった。

 後烏帽子岳に向かうと途中テン場のような所があって、縦走する人などもいるのだろうかとふと思ったりした。傾斜が増すとまもなくガレ場を歩くようになり、振り返るとろうずめ平や蔵王山岳会山小屋の赤い屋根などが眼下に小さく見えてくる。もう山頂部は目前で、見上げると頂上に立っている登山者の姿が見えた。追い越してきた団体達はというと、のんびりと歩いているのか姿は見えなかった。

 後烏帽子岳へ登り着くと、標識の近くで二人の登山者が休んでいるだけだったが、しばらくすると先ほどの団体が加わり、山頂は一気に賑やかさを増した。私達は岩場の一角に場所を確保して昼食のひとときを過ごした。先週とは違って風がなく、いたって過ごしやすい山頂だった。またえぼしスキー場側からは不思議と登山者は少なく、2、3人ほどしか登ってくる人はいなかった。

 山頂からは熊野岳や刈田岳が遠く右手にあって、目の前には壁のような屏風岳が聳えていた。さらに左に目をやると水引入道、馬ノ神岳、そしてその間からは不忘山がのぞいていて、ここでは南蔵王の大パノラマが広がっていた。屏風岳から雲が少し広がりだすと日差しがなくなったりしたが、天候が崩れそうな気配はなかった。

 山頂から下るとき、団体達はメーカーの横断幕を前にして記念写真を撮影するところだった。私たちは珍しいものを眺めるようにしてその撮影が終わるのを待っていた。山頂を後にするといままでの喧噪が嘘のように山の静けさが戻った。そして下るほどに薄雲が消えてゆき、空は青空に再び覆われ出していた。ろうずめ平を過ぎると傾斜もなくなるので、下山路はいたって快適だった。すでに先日までの紅葉の華やかな彩りはなく、冬を前にしたモノトーンの明るさが、かえって寂しさを感じさせるようでもあった。私たちは去り行く秋景色を惜しみながら、のんびりと聖山平に向かって下った。


登山口


最初の渡渉点


澄川渡渉点


広々としたろうずめ平


ろうずめ平から後烏帽子岳に向かう


屏風岳や不忘山を眺めながらの昼食


団体さんが記念撮影


後烏帽子岳から下る


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