山 行 記 録

【平成18年8月26日(土)/あつみ温泉から摩耶山



摩耶山の山頂で



【日程】平成18年8月26日(土)
【メンバー】7名(渡辺、新野、伊藤孝、伊藤賢、清水、東海林、蒲生)
【山行形態】夏山装備、日帰り
【山域】朝日連峰
【山名と標高】摩耶山(まやさん)1020m
【天候】晴れ時々曇り
【温泉】あつみ温泉 共同浴場「上ノ湯」200円
【行程と参考コースタイム】
長井600=小国・関川(R113、R290、R7経由)温海町・越沢=越沢登山口着9:20

越沢登山口発9:30〜小浜ノ茶屋跡10:45〜弁財天滝10:00〜七ツ滝分岐〜摩耶山11:55-13:00〜避難小屋13:30〜追分13:50〜越沢登山口着14:50

越沢登山口15:00=あつみ温泉共同浴場「上ノ湯」入浴=(R7、R290、R113小国・関川(経由)=長井着19:00 
  
【概要】
 朝日連峰の北端にあって険しい頂稜をみせる摩耶山。この摩耶山はたかだか1000m程度の標高とはとても思えないほど、展望が抜群の山としても知られている山である。

 今回は私的な山の会の事業で、珍しくメンバーがほとんど参加となり、2台の車で荘内入りとなった。個人的には夏の暑い盛りである7月末に、湯ノ沢岳から金峯山までの縦走をしているが、今日の摩耶山も本来ならば8月に登る山ではない。できれば春の残雪期か秋の紅葉時期が最適で、まだ残暑も酷な今の時期には登りたくない山であった。そうはいっても、当会の事業日程は4月に決定するので、その頃に今の時期の暑さをなかなか想像できなくて、結局、季節を考えないような山行きとなってしまった。越沢コースは約2年ぶりに訪れるものの、細部の記憶はあやふやで、案内役としては少々心許ないのが何とも頼りない。

 越沢集落から林道を2kmほど入ると登山口に着く。車は地元ナンバーの軽自動車が1台だけであった。国道7号線を北上している時は30度を超す炎天下のドライブとなり、山での体調が心配されたが、登山口を歩き出すとほとんど樹林帯が続くので、割合に凌ぎやすい山道が続いた。それに婦女子ノ滝までは沢沿いのコースといってもよく、すぐ側を流れる沢音が涼感を誘った。

 最近の大雨で通行が困難にでもなったのだろうか。小浜ノ茶屋跡からは沢を高卷く箇所が新しく出来ていた。渓谷沿いの道が終わると、前方の薄暗さの中に婦女子ノ滝が見えてくる。ここはいつもながら深山幽谷といった雰囲気が漂っていて、誰しもその幽玄さには思わず佇んでしまうところだ。婦女子ノ滝も見事な瀑布だが、轟きをあげながら飛沫が飛ぶせいかなによりも涼しいのがいい。左手の滝は弁財天滝で婦女子ノ滝との間には垂直の鉄バシゴが設置されている。

 ここでは全員水を補給しながら一休みをとり、その後、一人一人慎重にハシゴを登って行く。といっても距離はいささかもないので、緊張するほどではないが、ハシゴを登り終えると休む暇もなくすぐに怒涛の急登となる。まるで祝瓶山の登りを髣髴させるような急坂の連続で、全身から汗がほとばしった。仙人ガ岩屋への分岐で小休止をとり、その後も急坂は続く。幸い、木立に日差しが遮られているのがせめてもの救いで、直射日光を浴びていればみんなバテているだろうと思われるほど、汗が流れ続ける。また西側からは薄雲が広がりつつあり、鳥海山の方角には厚い雲がかかって展望はなさそうだったが、それよりも今日は熱射病が心配でもあり、この曇り空が今日は特にありがたく感じた。登りが一段落し、少し水平道を歩くと最後の急坂となる。ここはそれぞれに疲れも出てくるところで、みんなマイペースで登って行く。

 ようやく登り着いた摩耶山には誰も登山者は見当たらなく、静かな山頂であった。風を期待していたがここでは全くの無風となり、ジリジリとした8月の日差しが頭上から降り注いだ。月山は半分ほど、雲に隠れていたものの、赤見道岳、障子ガ岳、以東岳といった朝日連峰の山並みがくっきりと見えている。西側を見れば日本海に淡島が浮かんでいた。

 全員が揃ったところで記念の写真を撮り、それからはおのおのザックから食材を取り出し、みんな思い思いに昼食を楽しむ時間だ。この時を待っていたかのように缶ビールをあけてさっそく喉を潤している人もいる。休憩を始めてまもなくすると薄雲が広がりだし、直射日光は遮られ、幾分過ごしやすい山頂となった。抜けるような青空と、刷毛で掃いたような白い雲が高い。ときどき吹く風はすでに秋の到来を告げているようだった。

 下山路はいつもの通り関川コースをとる。下るとすぐに「厩山(まやさん)の奥の宮」や「六体地蔵尊」などがあって歴史を感じさせるよいコースだった。避難小屋の水場では僅かながら伏流水がチョロチョロと流れ出ていた。この水は清水だけあって冷たく、全員ペットボトルに詰めながら、乾いた喉を潤した。

 避難小屋を過ぎると勾配は次第になだらかとなり、本道コースへの分岐点までは楽しい尾根歩きである。分岐からは右手に折れて、再び急坂の下りがしばらく続いた。雨上がりのためか登山道は滑りやすくて、私は何回か尻から転ぶ始末だった。

 小浜ノ茶屋跡まで下れば登山口まではいくらもないのでようやくホッとするところだ。小浜ノ茶屋跡では汗を拭いたりしながら一息をつき、しばしの小休止をとる。休んでいると初級者コースから七ツ滝コースを歩いてきたという夫婦連れが下ってきたが、今日の登山者はこの二人組と私達だけだったようである。楽しかったみんなとの山も終わりが近づいていた。私は下山後の温泉を楽しみに、ウノスの倉とカジ倉の断崖絶壁を眺めながら、のんびりと摩耶沢の渓谷道を下った。


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