山 行 記 録

【平成18年3月18日(土)/吾妻連峰 天元台〜明月荘〜大沢駅



置賜の山並みと飯豊連峰
人形石ふきんから


【メンバー】6名(柴田、蒲生、丹野、小林、斉藤、上野)
【山行形態】テレマークスキーによる山行、冬山装備、日帰り
【山域】吾妻連峰
【山名と標高】中大巓1,964m
【天候】晴れのち曇り
【行程と参考コースタイム】
天元台リフト終点10:00〜中大巓〜人形石〜明月荘11:45-12:30〜砂盛通過13:40〜大沢駅15:10

【概要】
 吾妻連峰の数あるツアーコースの中でも大沢下りは、総延長が20キロメートルにも及ぶというとっておきのツアーコースである。山形県側から天元台ロープウェイとリフトを乗り継げば、もうそこは標高1830m地点。その北望台からわずかに中大巓に登れば大雪原の弥兵衛平をのんびりと歩いて、明月荘の避難小屋からは快適な滑走を楽しみながら、最後は大沢駅の構内まで滑り込めるのである。春になればゲレンデスキーでも楽しめるコースでもある。

 今回は郡山在住の友人である小林さんの誘いで大沢下りに参加することになった。天候は終日快晴の予報がでていたが、やはり2000m級の山までくればそう単純ではなく、天元台湯本駅では烈風が吹き荒れていた。ロープウェイは強風に耐えるようにかなりの数の重石を急遽、積み込んだりしていた。今日の好天に大勢の山スキーヤーもみられたのだが、西吾妻山への往復か、若女平コースに向かった人が多いのか、北望台から人形石の方にはあまりトレースは見当たらなかった。

 私の体調は今ひとつの状態が続いていて、終始、メンバーの最後尾を追いかける形になった。強風が吹き荒れる人形石では5人が岩陰に風を避けるようにして待っていてくれた。ここではさっそくシールを外して滑走を楽しむところ。稜線はシュカブラで洗濯板のように波打っているが、東斜面にまわると雪は幾分柔らかくなる。それでも少しモナカ気味のため思わぬ所で足をとられたりした。鞍部からは再び雪原の歩きとなる。風は割合に穏やかになり、気分の良い稜線歩きが続く。振り返ると飯豊連峰が異様に白いので驚く。視界は良好で、不安は何もなかったが、上空には早くも薄雲が少しずつ増え始めていた。天候は下り坂とは聞いていたが意外とそれは早くやってくるのかも知れなかった。東大巓の手前のコルで、私と丹野さんはシール登行に切り替え、ほかのメンバーはそのまま緩斜面を登って行く。みんなたいした気力と体力だなあと感心するばかりであった

 無事に明月荘に到着すれば待ちに待った昼食のひとときとなる。途中、夫婦連れと思われる人が小屋に顔を見せたものの中には入ってくることはなく、明月荘は私達だけの貸切であった。ザックから早速缶ビールを取り出してみんなで乾杯する。ほとんど休憩もとらずにここまできたので、最初の一口がたまらなく美味しい。私は調子に乗って一本を全部飲んでしまったおかげで酔いが急激に回ってしまった。

 小一時間程の休憩を終えれば後は大沢駅に向かっての滑走の始まりだ。小屋をでると強風に煽られたが、すこし下ればまもなく穏やかになるはずだと、西風に向かってコースを北上する。クジラの大斜面を下れば、通常は渋川沿いに尾根を下って行くのだが、今回は誰からともなく別のコースをいってみようか、ということになり、渋川に沿って降りて行く。沢を下るに従ってまもなく前方には栂森が見えてくる。しかし、その栂森には登るつもりはないので、他のみんなは高度を落とさずに栂森からの下りのコースをめざしながら、トラバース気味に進んでゆく。しかし、私は登り返しがつらいので主に渋川の中を下った。視界があるのでどこを下っていってもそれほどの不安がないのが楽しい。何回も滑っているコースだけに、今日のように違ったコースをゆくのが妙に新鮮であった。途中でみんなと合流してからは、見覚えのある箇所が何度も出てきて、そのうちに昨年、栂森の山頂から怒涛のような深雪と猛吹雪の中をたどったコースを滑っていることに気付いた。

 柴田さんはあいかわらず制動もかけずに急斜面を飛ばして行ったが、私はモナカの雪面に何度も足をとられながら転び続け、そのたびに疲れが増していった。技術の未熟さを思わないではいられなかったが、体調が乗らないのも確かだった。制動する気力があまりなく、それよりも雪面に倒れ込んだほうが楽だったせいもあって、何回か雪の上で横になって休んだ。それでも砂盛をすぎて茂皮平を通過すれば、この長い大沢下りも終点が近い。放牧場を迂回して林道を快適に下って行くと、今日は我々の前に3名ほどの先行者によるトレースがあり、スキーがよく走ってくれた。風を切りながら早いスピードで下って行く快適さは爽快の一言である。いつのまにか厳冬期は過ぎ去り、頬に感じる風はすでに春の香りがしてくるようであった。大沢スキー場の分岐点で、みんなはスキー場の休憩所に寄って行くといい、私は体調が悪いこともあってここでみんなとは別れることにした。風邪をこじらせたのか、頭痛を少し感じていたものの、今年も快適な大沢下りを終えて、充実感と共に今年のひとつの仕事を終えたような安堵感をも感じていた。


明月荘


今回の変則ルート


inserted by FC2 system