山 行 記 録

【平成17年6月14日/朝日連峰 黒鴨〜頭殿山〜尖山



山頂から望む大朝日岳、小朝日岳


【メンバー】単独
【山行形態】夏山装備、日帰り
【山域】朝日連峰
【山名と標高】 頭殿山(とうどのさん)1203m、尖山(とんがりやま)901m
【天候】晴れ
【行程と参考コースタイム】
林道終点11:00(820m)〜尖山分岐11:20〜急坂直下11:45〜頭殿山12:25-13:00〜尖山分岐〜尖山14:25〜林道終点14:45
  
【概要】
大正や昭和初期において頭殿山は朝日鉱泉から大朝日岳へ至るためのメインコース上の山であった。今は大朝日岳の大展望台として、一部の登山者にしか省みられることはなくなったが、今回、このいにしえのピークである頭殿山を登るのは11年振りである。この山は標高差こそたいしたことは無いのだが、登山口までのアプローチがまず一苦労であった。
即身仏のある蔵高院からは悪路の連続といってもいいほどで、山登りよりはこの林道のほうがよほど大変である。駐車場には意外にも1台マイカーがあったが、登り始めるとまもなく単独の人が下ってくるところだった。ただでさえ寂しい山なのに、唯一の同行者がいなくなってしまい、少々がっかりであった。

杉林の木立を登りはじめると、ヒグラシの音が山中に大きく鳴り響いていた。間もなくすると鳥取場の標識が立つ尾根に出る。左手が作業道で右手は尖山へとの分岐点になっているところだ。尖山へは帰りに立ち寄ることにして、頭殿山への道を直進する。ここからはハイキングに相応しい平坦な登山道がしばらく続いた。落ち葉が降り積もった気持ちの良い山道であった。一時間近く歩くと頭殿山と書かれた標柱が道の傍らにあり、ここからは一転して急坂の連続となった。途中で見晴らしの良い所にでると爽やかな風が体を撫でて行く。山頂直下に水場らしきところがあったが、流れは細く、夏場には枯れてしまいそうな感じがした。山頂手前の小ピークからはひと登りで頭殿山の山頂へ到着した。山頂からは残雪の朝日連峰が至近距離でまさしく圧巻だ。この展望こそがこの頭殿山の最大の魅力であり、なぜ東北百名山にも入っていないのか不思議でさえある。以前訪れたときには眼下に「朝日鉱泉ナチュラリスト」の屋根が見えた覚えがあったが今日はよくわからない。定かな記憶はなくなっているようであった。しかし人知れずこんな大展望を楽しめるというのも地元の特権というものかもしれなかった。汗がしとどに流れてTシャツはびしょぬれであったが、山頂には爽やかな涼風が流れていた。それは天然のクーラーとでもいえそうなほどで、あまりの心地よさに登りの疲れを忘れてしまいそうであった。

山頂の西側は月山から障子ガ岳、以東岳、大朝日岳、御影森山といった朝日連峰の連なりが楽しめるが、一方では東側を見れば白鷹山や周辺の街並みが見おろせる絶好の展望台でもある。私は三角点に腰を下ろしてしばらく疲れた足を休めることにした。以前登ったときにも大朝日岳の異様な近さに驚いたが、今回もこの感動はかわらなかった。小朝日岳がずんぐりむっくりとした形なのが少し不満だったが、こんな違いが見えるのもここからの展望の楽しみというものだろうか。下りでは途中の尖山へ立ち寄ってみることにした。ここも頭殿山に劣らず360度の展望が楽しめるピークだったが、ここからは頭殿山の山頂と、その右手に小朝日岳の頭だけが見えるだけで、残念ながら朝日の主稜線は見ることができなかった。しかしレンゲツツジが咲き乱れるピークからは、白鷹山が一段と近くに迫り、ファミリーならばこの尖山までのハイキングでも十分に楽しめるのではないかとさえ思えるほとだった。


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