山 行 記 録

【平成17年6月9日/蔵王連峰 坊平高原から中丸山】



ニホンカモシカが目の前に(スキー場のゲレンデで)


【メンバー】単独
【山行形態】夏山装備、日帰り
【山域】蔵王連峰
【山名と標高】 中丸山 1,562m
【天候】曇り時々晴れ
【行程と参考コースタイム】
坊平高原10:00-11:00〜仙人橋11:30〜中丸山12:30-13:00〜仙人橋14:00〜坊平高原14:50
  
【概要】
天候が良さそうだったので気晴らしに蔵王にでかけてみた。中丸山へは今年の3月、熊野岳から山スキーで下っている山である。蔵王高原ではすっかり新緑の装いに包まれて初夏の季節を迎えていた。誰もいないスキー場のゲレンデを登っているとワラビを見つけたため、しばらくの間山菜採りに時間を費やした。1時間も経つと山へ登ろうという気持ちも次第になくなりかけていたが、ふと気付くといつのまにかニホンカモシカがすぐ近くまで寄ってきていた。普段は警戒心が強い筈なのに、危害のない人間だと思われたのかなかなか離れようとはしなかったが、写真を何枚か撮っているうちにヤブの中に走り去っていった。

しばらく登るとまもなく中丸山への道標がある。ここはちょうど観音滝と仙人滝との分岐点になっているようであり、右への登山道を下ると仙人沢には大きな吊橋が架かっていた。仙人沢の対岸からは九十九折りの急坂が続いた。途中、仙人沢を眺める場所があり、見下ろすとところどころにはまだまだ多くの雪渓が残っていた。仙人沢の沢音とともにカナカナとヒグラシが喧しく山間に響きわたっていた。登山道はよく歩かれている道で、周りはミズナラとブナ林で鬱蒼としている。見上げると雲が厚く、雨が降る気配さえ漂っているのが気にかかる。陽射しは無かったが、蒸し暑くて汗が止めどなく流れた。次第にムシカリとともにヤシオツツジが目立ってくる。しかし飯豊や朝日で今が盛りのはずのタムシバが一本も見あたらないのが不思議だった。頭上が少しずつ明るくなり、まもなくすると小ピークで急に視界が広がった。登山道には木道が現れ、鞍部からひと登りするとそこが中丸山の山頂であった。木道の側には標柱が立ち、山頂の向こう側には熊野岳が雲に見え隠れしていた。中丸山は標高の割には展望がよく効く山頂であった。

いつのまにかTシャツが汗だらけになっていたが、稜線の涼しい風が流れると生き返る気持ちがした。体調さえよければ熊野岳から刈田岳を周回できるルートもとれるのだが今日はここで十分であった。山頂からは蔵王の山並みと坊平高原が広がっていた。仙人沢の向こう側は新緑の樹林に覆われていて、3月の時の大雪原の面影はどこにも無かった。私は誰も訪れない山頂で木道に腰掛けながら、静かな時間をしばらく過ごした。イワカガミが登山道に少しだけみられたが、高山植物はそれほど見あたらない、しかし、よくみるとマイヅルソウの若葉が道の両側を埋め尽くしており、まもなくすると可憐な花々が一斉に咲き出すようであった。下界は晴れているようであったが、熊野岳や刈田岳付近に居座っている厚い雲はいつまでたって動く気配はなかった。私は木道に横になったりしながら、30分ほど足を休めてから山頂を後にした。皮肉なもので、下るにしたがって上空を覆っていた雲がようやく切れはじめてくる。ゲレンデに飛びだしたときには蒸し返すような夏の陽射しが頭上から降り注いでいた。


中丸山の山頂(右奥は熊野岳)


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