山 行 記 録

【平成17年6月6日/朝日連峰 古寺鉱泉から大朝日岳



古寺山から中岳と西朝日岳


【メンバー】単独
【山域】朝日連峰
【山名と標高】古寺山1,501m、小朝日岳1647m、大朝日岳1870.3mm
【天候】晴れ
【行程と参考コースタイム】
古寺鉱泉7:00〜一服清水8:25〜古寺山9:35〜小朝日岳10:15〜大朝日小屋11:35〜大朝日岳11:50-12:50発
〜小朝日岳〜古寺山14:40〜古寺鉱泉17:00  
  
【概要】
朝日連峰をのんびりと歩きたくて古寺鉱泉に向かった。駐車場付近はすでに新緑が鮮やかですでに初夏の雰囲気が漂っていた。古寺川の清流が絶え間なく聞こえている。駐車場には軽乗用車が1台だけで登山者は見あたらない。尾根に上がりまもなくすると、その車の持ち主らしい登山者が一人早々と下ってきた。古寺山直下の雪渓が恐くて途中で引き返してきたらしかった。一服清水付近には残雪はほとんどななく、水は勢い良く流れていて、雪解け水は切れるような冷たさだった。登山道には早くもミツバオウレン、ショウジョウバカマ、イワカガミなどが咲く。ハナヌキ分岐を過ぎるとまもなく雪上の歩きとなったが、すでに雪は柔らかくてアイゼンもピッケルも必要がなかった。古寺山手前の急斜面を登ると一気に視界が開けて、振り返ると月山や鳥海山、さらに障子ガ岳など朝日の山々が見渡せるようになる。残雪もまだら模様となり、ずいぶんと雪融けが進んでいるよであった。古寺山付近ではタムシバ、ムラサキヤシオ、ムシカリ、ミネザクラが盛りだった。古寺山から小朝日岳間もほとんど雪渓歩きだ。気温が高かったが、稜線を吹く風が心地よく、いまさらながらこの時期の山歩きの楽しさに感激する。

小朝日岳には3時間ちょっとで到着した。のんびりと歩いてきたつもりだったが、ここまででもずいぶん疲れているのが少し気掛かりであった。しかしいつでも引き返すつもりで行けるところまで足を伸ばして見ることにする。大朝日岳から中岳、西朝日岳にかけての主稜はさすがに残雪が豊富で、まるで4月下旬か5月上旬のような感じさえするようであった。熊越を過ぎると樹林帯から抜けだして気持ちの良い稜線歩きとなる。この付近でシラネアオイがかなり咲いているのに気付いた。今年始めてみるシラネアオイであった。銀玉水からは急斜面の雪渓が目の前に立ちはだかっていたが、やはりアイゼンを出すほどではなかった。水場はもちろんまだまだぶ厚い雪の下であった。

大朝日小屋の入り口付近に雨具が干してあり、小屋に誰かいる様子だったが、中はのぞかずにそのまま山頂へと向かった。体調がいまひとつで今回はようやく山頂に登り着いたという気持ちであった。もちろん誰もいない静かな山頂であった。食欲もないので水だけ飲んでしばらく横になった。疲れていたのかいつのまにか1時間近く本格的に眠っていたようであった。時間さえ許せば何時間でも横になっていたい気分であったがそうもしていられない。山頂から下ると避難小屋の前には別のザックが二つ並んでいた。いつもならば小屋を覗いて一声かけてゆくのだが、今日はなぜか人と会うのが億劫で、そのまま小朝日岳へと向かった。熊越までの尾根道は短いけれど好きな区間だ。朝日の稜線が一望にでき、心が癒される山道とでもいうのだろうか。もう少しするとここはヒメサユリの群落で覆われるところでもある。別に急いでいるつもりではなかったが、熊越の途中で大きなザックを背負った単独の人に追いついた。その人は大鳥から縦走してきたという人で今日は鳥原小屋泊まりらしかった。

小朝日岳への登りはつらいものだった。いつもならばなんということもない登りなのに、今日のきつさはいったい何なのだろうとさえ自分の体が不安でしょうがなかった。登り着いてみると登山者が一人休んでいるところだった。よくよく聞いてみれば、今までも朝日で何度か出会っている鶴岡の佐藤さんであった。佐藤さんは古寺鉱泉から鳥原山経由でここまで登ってきたようであった。またまたここで出会うとは全く持って不思議な縁としかいいようがないなあ、と二人で笑いあった。私はかなり疲れていたこともあり、この小朝日岳の山頂でしばらく休んだ。

どうにか下れるほどに体調が戻ったところで小朝日岳を後にした。下りを前にしてこんなに不安になったことは今までになく、今日はそれほど気が弱くなっていたようであった。下りではコシアブラを少しばかり採りながらのんびりと下った。ハナヌキ分岐付近までくると先ほどの佐藤さんが下ってくるところであった。鳥原山へ引き返したものとばかり思っていただけにびっくりした。私の体調がよほど悪そうに見えたらしく、気になって追いかけてきてくれたようであった。のんびりと山菜などを採っていただけに私は申し訳ない気持ちで一杯になる。それからは佐藤さんに先に下ってもらい、私はさらにゆっくりと下ることにした。足腰の疲れは無かったのだが、気力が少しも漲ってこなくて、下りはとても長く感じられた。朝日連峰への最短コースだったはずなのにこんなに疲れたのは久しぶりであった。古寺鉱泉の駐車場にはちょうど午後5時に着いた。全身汗だらけになり、古寺川の清流で頭から水を被るとようやく生き返る思いがした。


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