山 行 記 録

【平成17年5月8日(日)/御池〜燧ヶ岳】



燧ヶ岳山頂の今野夫妻


【メンバー】3名(今野夫妻、蒲生)
【山行形態】テレマークスキーによる山行、春山装備、日帰り
【山域】尾瀬周辺
【山名と標高】燧ヶ岳2,346m
【天候】晴れ
【行程と参考コースタイム】
自宅3:30=御池7:10
御池7:20〜広沢田代8:10〜熊沢田代9:00〜燧ヶ岳10:00-11:00〜御池12:00
  
【概要】
2年ぶりの燧ヶ岳山スキー。今日の東北地方は高気圧に覆われるので好天が予想されている。上空は雲ひとつ見あたらない青空が広がっていた。はじめは三岩岳を考えていたのだが、登山口周辺には雪が全然見あたらず、これではかなりのアルバイトを強いられそうなので、とりあえず小豆温泉を通過して桧枝岐に向かった。計画の練り直しを考えながら桧枝岐村で小用をたしていると偶然にも「自然を滑る会」の今野夫妻と出会う。しばらくぶりの邂逅であったが、今野さんたちの予定は燧ヶ岳というので、考えた末に一緒に同行させてもらうことにした。今野夫妻には2年前も燧ヶ岳山頂で出会っており、奇遇というか偶然とは重なるものである。

つい先日まで車は
七入までしか入れなかったはずだが、夜間の通行止めはあるものの、今日は問題なく御池まで上がって行ける。午前7時の通行止め解除を待ってから御池の駐車場に入った。駐車場の周りは3m以上の雪壁となっていて、今年の雪の多さに今更ながら驚いた。御池から山頂までの標高差は約830m。東北の最高峰といっても、ラッセルの必要のない春山ではお気軽なワンディツアーだ。周りの登山者を見てものんびりとしたムードが漂っている。

駐車場からはさっそくスキーにシールを貼って歩き出す。樹林の間を抜けると最初の急斜面となる。雪面はまだ堅く締まっているので、今野夫妻はスキーアイゼンを装着した。坪足に切り替えて登って行く人も多いなか、私はなんとかシールにこだわりながら登るのだが、スキーアイゼンの効果は抜群で、たちまち二人からは100m近く離されてしまった。広沢田代からは再び急坂があるが、ここは左にトラバースしながら熊沢田代に出た。木道のある湿地帯も今は広大な大雪原である。この頃になると気温はどんどん上昇しており、雪面が柔らかくなりはじめていた。私は全身から汗が噴き出してしまい、半袖の下着一枚になった。

熊沢田代からはいよいよ燧ヶ岳が正面となる。雪原の向こう側に見えている越後の山々が美しい。山頂を見上げると早くも下ってくる人もいるようであった。樹林帯を抜けると大斜面が目前となり、山頂まではもうひと登りだ。ここの急坂はジグザグに数回切れば待望の山頂に着く。山頂からは大展望が広がっていた。会津駒ヶ岳の奥にはまだまだ多くの雪を抱いた飯豊連峰が白い山並みを見せている。右手には吾妻連峰や蔵王連峰も見えていたが、ここからの展望はやはり越後三山や浅草岳、守門岳など会越の山々が素晴らしく、その残雪の美しさには感激するばかりだ。スキーはテラスにデポして、さっそく目の前のピークを往復する。たった数メートルの違いなのにピークでは風が強く、思わず吹き飛ばされそうになる。祠のあるマナイタグラからは尾瀬沼の雪原が眼下であった。尾瀬ヶ原と至仏山もまだ多くの雪に覆われていた。最近、尾瀬にはご無沙汰していることもあり、久しぶりに眺める光景にしばらく見入った。展望を楽しんだ後はテラスにもどってしばらく大休止とする。この場所は不思議に風がないので休憩するには絶好の場所で、少しのビールに心地よくなった私は、日溜まりの中で思わず眠ってしまいそうであった。

1時間の休憩が終わればいよいよ滑降の開始だ。この山頂からの滑降のためにきつい登りに耐えてきたのだが、スキーで下れば今日の行程などは一瞬で終わってしまいそうである。一気に下ってゆくのが惜しいので、今回はお互いにビデオの撮影をしながら下ることにした。雪面はすでにシャーベット状態。どこまでも澄んだ青空のもと、残雪の山々を眺めながら広々とした斜面を滑って行くのは快適のひとことであった。仕切りになっているような樹林帯を下ればすぐに広々とした大雪原に出る。途中ではこれから登って行く何人もの人達と行き交った。山頂付近を滑降している間は、春の微風が心地良かったが、下るにしたがって暑さに耐えられなくなり、途中でジャケットを脱がなければならなかった。初夏を思わせるような陽射しが降り注ぎ、駐車場が近づく頃には、雪はすっかり腐りはじめてしまい、スキーはほとんど滑らなくなっていた。


山頂に集う人達
右奥は会津駒ヶ岳(中央奥には飯豊連峰も)



尾瀬沼(山頂から)


至仏山と尾瀬ヶ原(山頂から)


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