山 行 記 録

【平成17年5月3日(火)/祓川〜鳥海山】



祓川ヒュッテと鳥海山


【メンバー】単独
【山行形態】テレマークスキーによる山行、春山装備、日帰り
【山域】出羽山地
【山名と標高】鳥海山(七高山2,230m)
【天候】快晴
【行程と参考コースタイム】
長井3:30=(R287・R347・R13・R108)=秋田県矢島町祓川6:40
祓川駐車場7:15〜七ツ釜避難小屋付近通過8:20〜鳥海山(七高山)9:50-10:15〜祓川駐車場11:15

【概要】

1年ぶりに訪れた祓川登山口。きょうは雲ひとつない日本晴れで雨の心配は全くなかった。祓川の駐車場から見上げれば、青空をバックに、まだまだ豊富な雪を抱いた鳥海山の姿が美しい。この矢島口からは何回も登っているが、ここからみる鳥海山はまさに出羽富士の名に相応しく、その均整の取れた秀麗な容姿は見ていて飽きることがなかった。駐車場はすでに全国から訪れた人達でいっぱいで、スペースを探していると偶然にも山中氏と出会った。今年の冬は期せずしていろんな所で出会っているが、これも不思議な縁というものだろうか。山中氏は先月の29日を振り出しに様々なルートから鳥海山を登っていて、その鳥海山巡りも今日で5日目だという。昨日もこの祓川コースを登ったのだが、アイスバーンのため途中で断念したらしく、今日はそのリベンジも兼ね、幕営道具を担いでの唐獅子避難小屋泊まりだというから、いつもながら彼の強靱な体力には唖然とさせられる。彼は朝食を食べてからゆっくり出発するというので、私は一足早く出発することにした。

見上げるとすでに多くの登山者が斜面に張り付いているのが見えた。坪足組と山スキー組はだいたい半々ぐらいだろうか。気温はまだまだ低く、風も冷たいために雪面はまだ堅く凍っている。一応、アイゼンとピッケルは担いできたが、できれば使わないに越したことはないので、少しでも東斜面に向かって登ってゆくことにする。途中で大きなクラックがあり、雪が切れていたのでそこはスキーを担いだ。登るに従って、雪の表面が凍ったオブラート状態となる。歩く度にシャリシャリと砕け散る音がなぜか心地よい。途中、七ツ釜避難小屋付近を通過。およそ300mほど南側を歩いているので屋根だけが小さく見えるだけだったが、多くの登山者が小屋のまわりで休憩しているようであった。しばらくすると気温も上がり、雪面もいつのまにか柔らかくなっていた。例年だと山頂直下はシール登高の限界を感じさせるのだが、今日は雪の量も多いためか、難なく最後の急坂を登ることができるようであった。

七高山の山頂にはおよそ2時間半で到着した。ピークでは10人前後の登山者でにぎわっていたが、まだ時間が早いためか、新山や千蛇谷を見渡しても人影は見あたらなかった。千蛇谷は先日の鳥越川コースを思い出すところだが、だいぶ雪の量が減って岩肌がかなり露出しており、先週末とは景観がかなり変わっているようであった。しかし風が冷たくてゆっくりと景色を堪能している余裕はなかった。岩陰でしばらく小休止をとったものの、なかなか風は収まらず、写真だけ撮って早々に滑降開始とする。少々風があっても、雲一つない青空が広がっている。見下ろすとまだまだ大勢の人たちが斜面に張り付いているのが見えた。

朝方には心配した雪質も、陽射しと共にザラメ雪に変わっていた。山頂から舎利坂の急斜面を滑って行くと、まもなく山中氏が手を挙げているのが見えた。幕営道具一式が入ったザックはさすがに重そうであった。山中氏と別れるとギヤをハイトップに切り替え、七ツ釜避難小屋に向かって一気に滑降した。自分の足で稼いだ貴重な標高を、惜しげもなく下ってゆくというのも山スキーの醍醐味というものだろう。ザラメ雪は快適のひとことで、今日はスキーの技術もなにもいらない。スキーに身をまかせながら春の風を楽しむばかりである。このままではあっけなくツアーが終わってしまいそうなので、正面に祓川ヒュッテが見えたところで少々早い昼食とする。この付近まで下ってくれば、いつのまにか風はほとんどなくなっていた。鳥海山の麓の山々を眺めていると、これから山頂をめざす人たちが、ときどき目の前を通り過ぎていった。
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