山 行 記 録

平成17年4月17日(日)/吾妻連峰 デコ平〜二十日平〜西吾妻】



強風と濃霧の西吾妻山頂


【メンバー】単独
【山行形態】テレマークスキーによる山行、冬山装備、日帰り
【山域】吾妻連峰
【山名と標高】西吾妻山2035m
【天候】晴れのち雪(山頂は風雪、吹雪)
【行程と参考コースタイム】
グランデコスキー場8:10〜中ノ沢渡渉地点8:55〜二十日平〜1548m10:00〜西吾妻山12:00〜二十日平〜グランデコスキー場13:10

【概要】
久しぶりの二十日平ツアーということで裏磐梯に向かった。今日は高気圧に覆われるというので、昨日からの好天が望めるだろうと思っていた。ところが、グランデコスキー場に着いてみると、強風のためにゴンドラの運行を見合わせており、リフトも9時30分頃からしか動かないという。いつ動き出すかわからないものを1時間以上もただ待っているわけにもゆかず、西吾妻山まではシールで登ってゆくことにした。いわば二十日平のツアーコースを逆にたどるものである。

駐車場の標高は約1000m。山頂までは1000mちょっとの登りとすると昼頃までは到着できるだろうと、ゲレンデの傍らをてくてくと歩き始めた。中ノ沢のスノーブリッジはかなり薄くなっていて、ところどころで口を開けて雪解け水が流れている。もう1週間もすればここの渡渉も難しくなりそうであった。台地にあがってしまうと平坦な二十日平で、美しいダケカンバの疎林が続いた。急坂を上り、1548m地点まで登ったところで小休止をとる。振り返るとすでにゲレンデは遠く離れてしまい、スキー場の建物がなんとか判別できるだけであった。背後の磐梯山にはいつのまにか薄雲がかかり、山頂付近はわからなくなっていた。この付近は斜度がないために、深雪ならばほとんど滑りにならない区間だ。密林のような樹林帯がしばらく続いたが、一方ではこの頃になると上空も薄黒い雲に覆われてしまい、夕暮れのような薄暗さに包まれた。ときどき小雪もちらつき始め、やがて風も強まってくる。標高1900mからは樹林が疎らとなり、風雪はさらに大きな音をたてながらこちらに向かってくるようであった。尾根の右側は中津川へと落ち込んでいる斜面だったが、視界は50mほどしかなく、昨日の中大顛や人形石などは全く見えなかった。急坂を登ると勾配がほとんどなくなり、さらに厳しい風雪に晒されるようになった。こんな状況ではコンパスやGPSしか頼りになるものはない。展望の楽しみもなく、ただ義務感だけで山頂へむかっているようなものであった。山頂到着はちょうど正午で、登り初めてから3時間50分であった。ブリザードのような状況では誰も登ってくる人はなく、そそくさとシールをはずして引き返すことにする。樹林帯に戻り、風の弱い場所を選んで小休止をとることにした。

テルモスからお湯を注いでカップラーメンとお茶を作る。天候さえ良ければ楽しいはずの昼食も、今日の天候ではなんとなくわびしく思えてくるようであった。再び滑降を開始する頃には、雪がさらに激しくなり、真冬並みの吹雪模様となっていた。雪はいくらか湿っぽいところをみると、下界はすでに雨になっているのかもしれなかった。標高1332m地点らしきところを通過すると、斜度が急にゆるやかになり、ふたたび二十日平に飛びだした。この辺りまで下ると雪も小やみになり、ようやく緊張感から解放されて安心感が広がった。少し前からみれば視界もかなり戻っていたが、西吾妻山は厚い雲に閉ざされて、中腹から上は全く見えなくなっていた。

今回は展望の楽しみはなかったものの、初めて二十日平を逆にたどってみて、コースの状況をゆっくりと観察できたことが唯一、収穫のひとつといえるだろうか。偶然とはいえ、自分の足で稼ぐことになった西吾妻山は、いつもの二十日平とは違って、新鮮な感覚を味わった一日でもあった。


inserted by FC2 system