山 行 記 録

【平成17年3月12日(土)/吾妻連峰 天元台〜西吾妻〜若女平〜白布温泉



若女平で初めての休憩をとる


【メンバー】単独
【山行形態】テレマークスキーによる山行、冬山装備、日帰り
【山域】吾妻連峰
【山名と標高】天狗岩2,004m
【天候】風雪
【行程と参考コースタイム】
北望台(リフト終点)発9:20〜カモシカ展望台9:50〜天狗岩10:25〜西吾妻小屋通過10:35〜若女平11:40-12:00〜ヤセ尾根12:20〜白布温泉(若女平登山口)13:10〜駐車場13:20

【概要】
今シーズンは何回か若女平を計画したものの、いずれも悪天候のため中止が続いていた。この週末も強い寒波が日本海側に張り出し、東北地方はどこも大荒れの予報がでている。例によって近県で晴れそうな山を探してもよかったのだが、高曇りのような空を見ていると、もしかしたら午前中ぐらいは天候が持つかもしれないと、半ば祈るような気持ちで天元台に向かった。しかし、小野川温泉を過ぎた辺りから雪が降りだし、天元台では風雪が吹き荒れる始末だった。山の天候に関してはそうそう甘くはなかった。あいかわらず若女平とは相性が悪いなあと思うばかりだったが、とりあえず行けるところまで足を延ばしてみることにして準備を始めた。

北望台からシール登高を開始すると、このところ続いた好天や雨交じりの天候のせいで、今日の雪面はガリガリのアイスバーンであった。それにスキーのトレースがやたらと散乱していて、先日までの深雪がまるでウソのようであった。少しもラッセルすることもなく順調にカモシカ展望台に到着する。ここは中大巓の山頂の一角だけあって樹林帯とは比較にならないほど風が強い。頼りにしてきたGPSにはルートが入っていないというミステークもあり、通常ならば迷わず引き返すところだが、今日は少し無理をしてでも行こうという気持ちになっている。西吾妻小屋までゆければなんとか下れるという思いもあった。地形図を取り出し、西吾妻小屋へ磁石を振る。視界は30〜50m先がうっすらと見えるほどしかない。途中、大凹の中央に立つツアー標識を確認し斜面を登って行く。風雪のため梵天岩がわからなかったが、まもなく大きな岩が現れると、すぐ目の前が天狗岩の神社であった。さらに一直線に進んでゆき、どうにか西吾妻小屋に到着する。今日は小屋に立ち寄らずに、そこからは北寄りに磁石を合わせる。まもなく見覚えのある沢状の地形に入るととりあえず一段落という思いになり、ここでようやくシールを外した。

滑降を開始すると雪が少し柔らかくなる。しかし、幾分滑りやすくなったとはいえ、雪面の凹凸感がほとんどわからず、いたるところで転倒した。記憶にある地形だけが唯一の拠り所だが、天候は悪化をたどるばかりで不安が増すばかりだった。途中で休憩をとる気分にはなれず若女平までは一気に下ることにする。若女平の標高はおよそ1400m。1500m辺りから尾根に上がる機会を伺っていたが、結局トラバース気味にシラビソの中を抜けて行き若女平に出た。ここまで下るとようやく視界が少し広がり、周りの風景にも明るさが戻った。対岸の尾根にはうっすらと天元台らしきものが見えていた。ここのダケカンバの広がる疎林帯はいつ訪れても美しいところで、今日の悪天候が恨めしいばかりである。風が強いのでオオシラビソの根元でツェルトをかぶって小休止をとる。初めての休憩だけに冷たいジュースがおいしい。昼食は今日もカップラーメンであった。

ツェルトを撤収する頃には再び視界がなくなっていた。若女平からはそれほどの距離はないので後半戦というよりは最後の滑降という感じだ。雪質がようやく安定してきたのか、以外と滑降が快適となり、ほどなくヤセ尾根に出た。こんな悪天候で遭難騒ぎを起こしてもいられないので、ヤセ尾根はいつものように安全策をとることにし、スキーは担いで通過する。小尾根の間の杉林を快適に下って行き、最後の急斜面もやはりスキーを担いで下った。林道に出ると有料道路スカイバレーの入り口まではまもなくだ。林道を快適に滑りながら、今日は最悪のコンディションでもなんとか下りきったという小さな満足感に浸った。


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