山 行 記 録

【平成17年3月6日(日)/坊平高原〜御釜滑降〜熊野岳〜中丸山〜猿倉】



御釜の底を歩く
馬ノ背には雪庇がめだつ


【メンバー】6名(柴田、山中、草薙、荒谷、丹野、蒲生)
【山行形態】テレマークスキーによる山行、冬山装備、日帰り
【山域】蔵王連峰
【山名と標高】熊野岳1841m、中丸山 1562m
【天候】晴れ
【行程と参考コースタイム】
リフト終点8:50〜お田ノ神避難小屋9:10〜馬ノ背9:50〜御釜10:30-40(1550m)〜馬ノ背11:30〜熊野岳山頂12:10-40〜コル13:40〜中丸山14:00〜1246m地点14:40〜猿倉駐車地点15:40(718m)

  
【概要】
今日は熊野岳から中丸山を経て猿倉まで下るツアーコース。今シーズン初めてともいえるような、朝から雲ひとつない快晴の空をみて、みんなの顔には笑顔が溢れている。あまりに天気がよいので、なるべく長いコースを取ることになり、御釜ツアーもプラスした欲張りコースとなった。

猿倉スキー場近くの車道に車2台を置き、坊平高原のライザスキー場へ向かう。スキー場はこの好天に促された人達でゲレンデトップも大賑わいを見せている。山スキーにテレマークスキー、スノーシューに坪足組と、入山する人の装備も多彩だ。さっそくシール登高を開始すると、ラッセルに苦労することもなく、昨日の雁戸山の大雪が信じられないほどである。周りを見渡せば、吾妻連峰や飯豊連峰、朝日連峰など、遮るものがない展望が広がっていた。リフト終点からは約1時間で早々と馬ノ背に到着したが、ここからは今日のメインのひとつである御釜までの滑降である。シールをはずすと早速、夏道沿いに回り込み、適当なところから滑降を開始する。滑ってみると雪質が目まぐるしく変わるため、思わぬところで足をすくわれたりした。みんな至るところで雪と仲良くなっていたが、それでも天候が良いのでそんなことも楽しいばかりである。御釜の内側から見上げると、馬ノ背には巨大な雪庇があって、今にも崩れ落ちそうなのがちょっと気掛かりである。その雪庇が一部崩れており、そのデブリの末端付近は慎重に通過した。途中、スキーを少し担ぎ、御釜の淵からは緩やかに滑って行くと御釜の底にたどり着いた。いつもは馬ノ背から見下ろすばかりの御釜であったが、いざ下ってみると以外と長い行程に驚き、また御釜の底からは岩壁がそそり立ち、そのアルペン的な景観に感激した。当然ながら冬しか歩けない世界だけに、何ともいえない気分に満たされる。それは結構病みつきになりそうなほどの魅力的な景観であった。御釜の中央付近の標高は1550m。馬ノ背から約200m下ってきたことになり、熊野岳までは300mの登り返しが待っている。その登り返しは結構きつく、みんなからは喘ぎ声が洩れていた。

馬ノ背に戻ると大勢の登山者やスキーヤーが行き交っていて、熊野岳まではまるで銀座であった。たった一人で風雪の中を登った時の、厳冬期の蔵王が今では懐かしく、季節はすっかり春になったことを感じさせた。熊野岳の避難小屋でひとり待っていてくれた荒谷氏と合流すると、ちょうど正午ということでしばし昼食休憩。小屋の中にはストーブもあって快適。

30分の休憩を終えると熊野岳山頂へと向かった。昼を過ぎたせいか馬ノ背を行き交う登山者もまばらになっていた。熊野岳山頂からシールを外せば、いよいよ標高差1100mの滑降開始だ。前方に聳える中丸山を眺めながら、下って行くラインを確認する。コースはほとんど尾根沿いに滑降して行くようであった。視界も天候も今日は全く問題はなく、地図さえもいらないようだ。滑り出してみると、初めこそクラストした雪面だったが、ほどなくパウダーとなりみんな思い思いに下って行く。ガリガリの雪面を想像していただけにこの快適な斜面は予想外だった。途中から樹氷原を縫って進み、中丸山へのコルへ着く。この区間はなんとなく若女平を下っているかのような雰囲気が漂っているところだった。シールを貼りながら小休止をとっていると、誰からともなく缶ビールが飛んできた。ここから中丸山までの登り返しはわずかで、見た目以上の時間はかからなかった。

中丸山からは仙人沢をはさんでライザスキー場が目の前だ。ここから見ていると、ゲレンデで滑っている人達が、なんとなく機械仕掛けの人形のようにも見えて、まるで箱庭を眺めているような不思議な光景であった。また、仙人沢の右又沢では、ちょうど西川山岳会の人達がアイスクライミングを楽しんでいるのが小さく見えた。それはまるでヘリコプターから見下ろしているような、鳥瞰図を見ているようであった。

中丸山山頂からはしばらく自然のゲレンデともいえるような斜面の滑降を楽しんだ。雪は適度に深く柔らかく、こんな斜面ならばずっと続いて欲しい、と思えるほどの快適さであった。まもなくコースは樹林帯となったが、途中、何度かの休憩を挟みながら、疎林の中の楽しいツリーランが続いた。滑っても滑っても先が長いと感じていたが、それでも少しずつゴールが近づいていた。まもなく尾根が細くなると樹林も少し混み合ってくる。やがて途中から登山道らしき道形をたどるようになり、樹林の間から県道らしきものが見えてくると終点はまもなくだ。そして蔵王温泉へと通じる舗装道路に飛び出し、今日の長く楽しかったスキーツアーが終了した。


お田ノ神避難小屋付近を歩く



御釜のど真ん中に立つ



御釜から馬ノ背への登り
奥は熊野岳



熊野岳から中丸山を俯瞰
ここから標高差1100mの滑降、ツアーが始まる



中丸山へはパウダーの世界



中丸山への尾根上からライザスキー場上部付近を俯瞰
右又沢でアイスクライミング中の山岳会のメンバーが見えた(赤丸の中央)
氷柱の高さは40mもあるという



中丸山山頂から滑降を開始する


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