山 行 記 録

【平成17年2月6日(日)/St.MARYスキー場〜雁戸山※1176mまで



1176m地点


【メンバー】単独
【山行形態】テレマークスキーによる山行、冬山装備、日帰り
【山域】蔵王連峰
【山名と標高】雁戸山※1176m地点まで
【天候】風雪
【行程と参考コースタイム】
St.MARYスキー場リフト終点11:20〜1176m地点12:50-13:00〜スキー場トップ13:40-14:00〜St.MARYスキー場14:20
  
【概要】
山形県内は強い冬型からくる大荒れの天候が連日治まらず、今日は宮城県のセントメリースキー場に向かった。太平洋側ならばという目論見である。このスキー場は笹谷トンネルを抜け出るとすぐのところにあり、アクセスにはたいへん便利なところだ。到着時間が遅かったこともあり、駐車場は非常に混雑していて、スキー場から少し離れた第3駐車場まで誘導されてしまったが、シャトルバスが頻繁に行き来しているのでそれほど支障はなかった。山形側と違ってスキー場上空は青空だが、蔵王の稜線は雪雲に覆われていて、灰色の空と見分けがつかなくなっている。スキーセンターでリフト券3枚を購入し、すぐにゲレンデにでようとすると、ここで眼鏡のフレームのネジがはずれてしまうというちょっとしたアクシデントが発生した。ネジは紛失してしまい、このままではツアーができなくなりそうだと慌てたが、ザックからスキーの修理道具を出し、針金とテープで応急処置を施して事なきを得る。こんなところでスキーのリペア用具が役に立つとは思わなかった。

セントメリースキー場から雁戸山へは夏道はなく、今回は積雪期だけのルートである。秋にカミさんと登った笹雁新道とは、水無沢を挟んでひとつ南の尾根になる。さらに南西の尾根を回り込むコースもあるようだったが、今日はスキー場のトップからの最短ルートである1176m地点を経由するコースをとることにする。ただし、このコースは出だしで沢にいったんおりてから尾根に登り返す必要がある。リフト終点で準備をしていると地元の人から声をかけられ、その地元氏からは写真を撮ってもらったり、しばらく見送られながらの歩き出しとなった。リフト終点ではさすがに風が強く、稜線は大荒れのようである。ゆけるところまでという気持ちだったが、モチベーションはいまひとつであった。

向かい側の尾根に向かうとすぐに沢へ下りて行く。最近の大雪の影響だろうが、沢からの登り返しはすごいラッセルになっていた。急斜面だけに雪崩が心配な箇所で、慎重にかつ一気に危険地帯を登ってゆく。登り切るとブナ林のなだらかな尾根上に出た。悪天候という事もあるのだろうが、トレースはなく、今日も一人旅が続いた。強風に雪も混じり始めると周囲は一気に薄暗くなってゆく。初めてのコースにきて、一人のラッセルと悪天では無理をしてまで登ろうという気力がなかなか湧いてこない。太平洋側は晴れるかもしれないという期待は今日もむなしくはずれてしまい、天候は悪くなる一方であった

ところどころで大きなケモノの足跡が斜面を横切っていた。まさか熊ではないだろうと思ったが、良く見ると兎の足跡である。大雪のために前足が熊の足跡ほどにも大きくえぐれて、後ろ足が強風でうっすらと消えかかっていたためであった。左手にはうっすらと南尾根が見え隠れしていたが、強風と雪はあいかわらずで、視界がなくなりかけており不安が募ってくる。途中、古くてボロボロになった赤布が2ヶ所にあったが、こんなものでも今日はなんとなくホッとするものがある。
なだらかな尾根とはいえ少し勾配がきつくなるとジグザグに切って登った。

まもなく1176m地点に到着した。ほとんど休まずにここまで1時間30分もかかっている。この先も同じ様な勾配の斜面が続いているようであり、この1176m点はピークではなく単なる通過地点にすぎないようであった。今日の目的である1410mピークまでのまだ半分くらいだったが、今日はここを山頂と決めて引き返すことにした。立ち止まっている間も、風雪は激しくなるばかりで、急いでツェルトを出して頭から被る。取りあえずテルモスから温かい飲み物を腹にいれると、不思議に不安を和らげてくれた。しかし長居は無用だった。汗が引いたのを機に、眼鏡に曇り止めのスプレーをかけ、ツェルトを撤収する。そしてシールをはずして滑降の準備を終えると幾分活力がよみがえってくる。滑って下れるということが安心感をもらたしてくれるようだ。

10分程度の休憩の間に、登ってきたばかりの深いラッセルの跡がほとんど消えていた。滑降を始めると深雪のパウダーが続いたが、雪が深いだけに少し斜度がなくなるとスキーが止まってしまいそうになる。ブナの疎林が広がる尾根はちょっと会津駒ヶ岳を感じさせるようなところだ。快適な斜面だったが、苦労して登ったところもスキーで下ればあっというまで、たちまち沢に下りきってしまった。尾根の向こうにはスキー場があるはずだったが、自分のトレースは見あたらず、沢底からはシールを貼って適当なところから登り返した。雪が深いのでこの登り返しがやけにきつい。斜面を登りきると平坦な尾根を左手にしばらく進み、樹林帯を抜け出るとようやくリフトの支柱が遠くに見えてくる。この地点にきてようやく一休みする気分になり、再びツェルトを被って遅い昼食とした。すでに第3リフトは強風のため止まっており、人影は全くなくなっていた。
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