山 行 記 録

【平成17年1月15日(土)/蔵王連峰 坊平高原〜刈田岳



風雪の刈田岳山頂


【メンバー】単独
【山行形態】テレマークスキーによる山行、冬山装備、日帰り
【山域】蔵王連峰
【山名と標高】刈田岳1,758m
【天候】曇り時々雪
【行程と参考コースタイム】
蔵王ライザスキー場(第2リフト終点)9:30〜お田ノ神避難小屋10:10〜刈田岳11:30-40〜お田ノ神避難小屋12:10-30〜駐車場13:00
  
【概要】
蔵王ライザスキー場には先月の23日以来である。予定では吾妻連峰の若女平を下るつもりだったが、自宅を出るときには激しい雪が降り続いており、これでは吾妻の稜線は視界不良だろうと考えて、安直だったがコース的に簡単な蔵王へと変更した。南岸低気圧が北上している状況では好天が望めなそうもなかった。

今日の蔵王は朝から不思議な天候であった。決して好天ではないものの、空には高曇りのような明るさがあり、それでいて横殴りの細かい雪が降りしきるので、視界はそれ程よくはなかった。第2リフト乗り場で登山届けを書きながらパトロールの人達に状況を伺うと、今日の入山者はまだ誰もいないとのことで、リフト終点からはトレースは全くなかった。積雪は前回よりもはるかに多く、今日も一人でラッセルかと思うと少し気分が沈んだ。風雪のため最初から目出帽とゴーグルを装着した。シール登高を開始してみると、雪は結構締まっていて、スキーの靴高ほどしか沈まない。少し登るとスキー場の喧噪から逃れて静寂の雪原歩きとなった。樹氷はかなり発達していて、久しぶりの景観に感激する。左手には中丸山がうっすらと見えていたが、これで青空があればなあ、と思うのは無い物ねだりか。エコーラインのガードレールがまだ見えているところを見ると、この時期の積雪としてはまだ60〜70cmほど少ないようであった。

お田ノ神避難小屋を左手に見ながら直進すると、まもなく廃線リフト小屋に到着する。氷詰めになったようなリフト小屋をみているだけで、この付近の風雪の厳しさが伝わってくるようだ。視界はほとんどなかったが、リフトの支柱を目安にしながら、馬ノ背まで足を延ばしてみることにする。さすがに風が強く、斜面は一面のシュカブラであった。支柱が切れて斜度が緩やかになると、まもなく下り始めてしまってあわてた。稜線を越えてお釜に下り始めていたようであった。GPSはこんな悪天候の時の心強い味方だったが、視界が全くないというのはやはり恐いものだ。ここまでくれば山頂まではいくらもない。少し戻ると馬ノ背に立つ標柱が何本かガスの中から現れて、そこからは標柱に導かれながら山頂へと向かった。

刈田岳山頂にも人影はなかった。神社に身を寄せて風を避けたかったが、強烈な風は卷くようにしながら四方八方から吹き込んでくる。せっかくたどり着いたピークだったが、とても休憩できる状況ではなく、写真だけ撮って早々に退却することにした。氷結したお釜や山頂からの展望はまたいつか来るときまでお預けであった。シールをはずして滑降を開始する。滑降といっても馬ノ背はガリガリのアイスバーンなので、ボーゲンで制動しながらリフトをめざした。いつもならば柔らかい雪面や斜面を拾いながら下るところだが、視界がない状況ではそれどころではなく、リフトを見つけてからは支柱の下をダマシダマシ下った。不安に駆られながの下りだったが、お田ノ神避難小屋までくれば一安心である。小屋の窓から入り、ザックを下ろすとようやく人心地がついた。さっそくストーブに火を入れて、凍ったゴーグルや手袋を乾かした。この山小屋ではいつもストーブを利用させてもらっているが、この冬山で暖房のあることがなんとありがたいことか。

お田ノ神避難小屋を出ても天候は相変わらずであった。進路を真西にとり、だんだんと柔らかくなる雪を楽しみながら下って行くと、リフト乗り場が前方に見えてくる。ここまで下ってくると風雪は和らいでいたが、ゲレンデは濃霧に包まれていて、再び視界が無くなりかけていた。
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