山 行 記 録

【平成16年12月19日(日)/朝日連峰 白兎尾根から長井葉山】



葉山山頂から大朝日岳を望む



【メンバー】単独
【山行形態】冬山装備(ワカン)、日帰り
【山域】朝日連峰
【山名と標高】長井葉山1,210m
【天候】晴れ
【温泉】長井市あやめ温泉「桜湯」300円
【行程と参考コースタイム】
白兎登山口(300m)8:50〜葉山山荘11:30-11:50〜白兎登山口13:20

【概要】
この日は別の山に登るつもりでいったんは自宅を出発したのだが、国道から振り返ると葉山が陽射しを浴びて実に美しく、急遽、予定を変更して、途中から長井に引き返した。12月の葉山は2年ぶりで、今日も葉山森林公園の駐車場には車は1台も見あたらない。今回は2年前よりも10日も遅いのだが、登山口には全く雪はなかった。それでも、山頂付近ではかなりの積雪があるはずなので、ワカンだけはザックに入れて出発した。雪のない急坂をのんびりと登って行くと雪は500m付近からようやく現れる。深くえぐられた登山道には大量の落ち葉が降り積もっており、雪はその上にうっすらと載っている状態であった。

標高が700mを超えると、20cmほどの積雪となり完全な雪道となる。昨日降ったばかりなのだろうか。雪は柔らかく、坪足で歩くにはまだまだ支障はない。踏跡は全く見あたらなく、兎の足跡だけが山頂へと続いていた。上空は冬晴れのような青空が広がり、久しぶりの好天にうれしくなる。見上げると冠雪した葉山の稜線が美しく、眺めていても飽きない風景が広がっていた。1000m付近からはいよいよ積雪が深くなる。2年前は雪が豊富で、さらに堅雪だったためにどこでも歩けたのだが、今回はまだブッシュがほとんど埋まっていないため、夏道を登って行くしかなかった。湿った雪の重みで、両側から枝が軒並み倒れて登山道を塞いでいる箇所が目立つ。もっと雪が多ければ枝も隠れてしまうのだろうが、中途半端な積雪のために通行がかなり難しくなっていた。枝の雪をストックで払い落とし、細い樹木をかきわけたり、踏みつけたりしながら少しずつ進んだ。この付近はまるでヤブ漕ぎのようでもあった。最後の急坂を登ると平坦となり、まもなく草岡からの登山道と合流する。積雪は40〜50cmと多くなり、この辺りではワカンが必要なほどだったが、そのまま坪足で雪道を漕いで行く。葉山山荘まではもうまもなくであった。

葉山山荘は人影もなくひっそりと雪の中に建っていた。小屋の周りには兎の足跡が縦横無尽に散乱していた。今日も無事に登って来れたことに感謝して、さっそく葉山神社に手を合わせる。神社の裏手に回ると、真っ先に冠雪した大朝日岳が目に飛び込んできた。一点の曇りもない神々しいまでの純白さに感激する。また左手の稜線をたどると、白い山頂部分を見せている祝瓶山があった。夏山だと潅木が邪魔をして見えないのだが、今の時期は葉を落としているので白い頭だけがなんとか見えるのである。手前の葉山湿原はまるで田圃のように広い雪原と化していた。展望をひととおり確認したところで山荘に入って昼食をとる。食べながら山小屋の日誌を読んでみると、12月14日のものが最も新しい記録で、12月に入ってからの登山者はほとんどいないようであった。休んでいると白い兎が小屋の前を2匹走り去っていった。急いで写真を撮ろうとカメラを構えて外に飛びだしたものの、もちろん兎の姿はどこにも見えなかった。

20分ほどの休憩を終えたところで下山にとりかかった。まだまだ天候が崩れる様子はなく、まぶしい陽射しが頭上から降り注いでいる。悪天候でもなければ、雪道の下りでは自分の踏跡をたどるだけだから迷う心配もないのでかなり気楽である。今日は誰とも出会わないだろうと思っていたのだが、急坂の取り付き付近でこれから登ろうとする単独行と出会った。少し立ち話をしてみると、私と同じく地元の人であった。そこからはまるでボブスレーのコースのようになった登山道を一気に駆け下りて行く。雪道はまるでスキーのように下れるから早い。標高800m付近の割合平坦なヤセ尾根まで下ると、急に陽射しが陰りだし、振り返ると午前中見せていた稜線の鮮やかさはすでになかった。見上げるといつのまにか空全体に薄雲が広がり始めていた。


白兎尾根から仰ぐ葉山の稜線(1)
手前は勧進代尾根(AM9:53)


白兎尾根から仰ぐ葉山の稜線(2)(AM9:58)



潅木や積雪に閉ざされた登山道(AM11:22)



葉山山荘(AM11:30)


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