山 行 記 録

【平成16年11月6日(土)〜7日(日)/朝日連峰 古寺鉱泉から大朝日岳



晩秋の古寺鉱泉(11月7日)


【メンバー】単独
【山行形態】冬山装備、避難小屋泊
【山域】朝日連峰
【山名と標高】古寺山1,501m、小朝日岳1647m、大朝日岳1870.3mm
【天候】(6日)曇り時々晴れ(7日)曇り時々晴れ
【温泉】西村山郡朝日町「いもがわ温泉」150円
【行程と参考コースタイム】
(6日)古寺鉱泉8:20〜一服清水9:30〜三沢清水10:10〜古寺山10:35〜小朝日岳12:15〜銀玉水12:15-30〜
    大朝日小屋12:50〜大朝日岳〜大朝日小屋(泊)
(7日)大朝日小屋発9:20〜小朝日岳(巻道)〜古寺山10:45-55〜古寺鉱泉12:40

【概要】
今回は冠雪した朝日連峰を見たくて古寺鉱泉に向かった。久しぶりに訪れた駐車場には、マイカーが3台だけで人の気配はなかった。古寺鉱泉の周辺の樹木はほとんど落葉してしまい、登山シーズンは完全に終わりを告げていた。今日の天候はあいにく下り坂で、夜には雨も予想されており、山ではきっと雪になるだろうと思われた。尾根に上がるとサクサクとした落ち葉の踏む音が心地よく響いた。上空には薄雲が広がっていたが、ときどき雲の切れ間からは陽射しが降り注ぎ、冷えていた体が一気に温まった。この時期は樹林帯でも見通しが効くので尾根歩きは楽しい。西の空には黒い雲が近づいていたが、天候が崩れる気配はまだなさそうであった。

古寺山が近くなると小朝日岳や大朝日岳が正面に見えてくる。しかし、予想していた雪景色はどこにも見あたらず、先日降った雪は最近の好天で全部融けてしまったようであった。古寺山山頂では登山者が一人休んでいたが、古寺山までの日帰りだったらしく、私が山頂に登るのと入れ違いに古寺鉱泉に引き返していった。小朝日岳を下ると、今度は熊越付近で御影森山付近に幕営していたというカメラマンとすれ違った。冠雪した朝日連峰を撮影するために東京から遠路はるばるきたものらしかったが、目当ての雪も無く、気落ちしながら下山する途中であった。熊越を過ぎ、銀玉水に向かう頃から少し陽射しが戻ってきた。銀玉水では栃木から来たという夫婦連れが腰をおろして休んでいた。今日は私と同様に小屋泊りのようであったが、二人は初めての朝日連峰にだいぶ疲れている様子だった。銀玉水の水場では4リットルほど水筒に汲んでから小屋に向かった。ザックがずっしりと重くなったが、雪を解かすことも覚悟していただけに、問題なく水を確保できたことに一安心する。銀玉水からは約20分で大朝日避難小屋に到着した。いつのまにか大朝日岳にも秋の陽射しが当たっていた。小屋の2階にあがると先客が一人いた。

私は昼食を済ませてから大朝日岳を往復してくることにした。薄曇りの天候だったが、ときどき雲間から太陽がのぞいたりした。山頂からは祝瓶山がうっすらと見えるだけで、飯豊連峰や月山、鳥海山は見えなかった。それが春霞のような靄のせいなのか、陽射しによるまぶしさのためかはわからなかった。久しぶりに訪れた大朝日岳の山頂だったが、楽しみにしていた雪景色がどこにも見あたらないというのはやはり寂しいものであった。小屋に戻ると、山頂付近で出会った人が一人、早々と二階に上がってきた。声を掛けてみると、その人とは何回か熊越付近で出会ったことのある、鶴岡の佐藤さんだとわかってお互いにびっくりする。佐藤さんは東北のML(メーリングリスト)では有名な人で、鶴岡の天狗のような人である。いずれまたどこかですれ違うかも知れないとは思っていたのだが、こうして今夜、山小屋で一緒になるとは予想もしていなかった。この日の山小屋は、単独行が私を含めて3名、夫婦で登ってきた人が二組の合計7名の泊まりであった。私は佐藤さんと一緒に山の話などをしながら、楽しい夕食のひとときを過ごした。山小屋は予想していたほど冷え込むこともなく、数年前のこの時期にかじかむ手を温めながら夕食をしていた時が懐かしかった。その夜は、ちょうど上空を寒冷前線が通過しているらしく、強風が一晩中吹き荒れた。しかし、予想していた雨は一向に降らずじまいで、当然ながら雪も降ることはなかった。

翌日の朝になっても強風は止まなかった。外にでてみるとガスが吹き荒れていて視界はほとんどなかった。風が強いので、少し時間が経てば快晴の空が広がるかも知れないと期待してみたものの、いくら待っていても荒れ模様は治まらなかった。7時を過ぎると同宿した人たちがあきらめたように小屋を出ていった。佐藤さんは中岳まで足を延ばす予定だったらしかったが、一向に治まらない天候にあきらめて、9時近くになり小屋を発っていった。私は最後まで残っていたのだが、一人去り二人去りして誰もいなくなってしまうと急に寂しくなってしまい、9時半前には小屋をでた。小屋を出るときはまだガスの中だったが、銀玉水への急坂を下る辺りからときどき陽射しが降り注ぐようになり、展望がきくようにようになった。小春日和とはゆかないまでも、気持ちの良い陽射しを浴びながら、稜線歩きがわずかでもできただけ今日はありがたいと思わなければならないようであった。今回は熊越から久しぶりに小朝日岳の巻道を回ってみた。なんとなく不完全燃焼のような2日間だったが、この予定外の巻道が少しアクセントになった気分であった。その後も時々陽射しが戻ったりしたものの、すっきりとは晴れることはなく、大朝日岳はいくらたっても姿を現すことはなかった。古寺山を過ぎるとスカスカとなった樹木の間からは、晩秋に満ちた周囲の山並みが透けて見えた。落ち葉を踏みしめながらのんびりと下っていると、古寺鉱泉から上がってきた登山者、数人が大朝日岳をめざして登っていった。



大朝日岳山頂
祝瓶山がかすかに見える(11月6日)


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