山 行 記 録

【平成16年10月24日()/北蔵王連峰 笹雁新道から雁戸山



紅葉の笹雁新道を歩く(9:35)


【メンバー】2名(妻)
【山行形態】夏山装備、日帰り
【山域】北蔵王連峰
【山名と標高】雁戸山(がんどさん)1,484.6m
【天候】晴れ
【行程と参考コースタイム】
 林道終点9:00(600m)〜砂防堰堤9:50〜1410mピーク12:15〜雁戸山12:30-13:30〜林道終点15:45(往復の行程10.3km)
  
【概要】
雁戸山は北蔵王連峰の盟主として知られている。カミさんとは昨年の夏に一番ポピュラーな笹谷峠から登っているので、今回は初めてのコースである笹雁新道から登ることにした。登山口から雁戸山山頂までの標高差は約900m。笹谷峠コースと比べれば300mも余計に登らなければならないことから、ここは本格的な登山コースともいえそうである。

山形道の笹谷インターを下りて、国道286号線を仙台方面に進むと、まもなく右手に笹雁新道への入り口があった。林道の入口には北蔵王連峰の案内標識が立っていて、ここからおよそ2km奥に入った林道終点が登山口になっていた。登山口には車が3台ほど留まっていて、そのうちの1台の人たちがちょうど登って行くところだったが、大きな篭を背負った姿はどう見てもキノコ採りの人たちであった。宮城側の一番人気のある笹雁新道はさぞかし混み合うだろうかと心配していたのだが、どうもそれほどではなさそうに見えた。

今日は雲一つない快晴の空が広がっていた。昨日の吾妻連峰の風雪模様がまるで嘘のような日本晴れである。この時期は常に秋と冬とが紙一重であることをあらためて感じるような天候の急変ぶりであった。しばらく水無沢の深い渓谷を左手にみながら進むと約1時間で砂防ダムに着く。堰堤まではほとんど標識もなく少し不安になっていたのだが、ここからは「川崎町川崎山岳会」と書かれた標識が何枚か設置されていてようやくホッとするところだ。標識には砂防堰堤から雁戸山までは3.3kmとあり、ここからは本格的な登りが続いた。林間には落ち葉を踏みしめる心地よい音が響く。まもなく尾根に取り付くと見晴らしが急によくなり、振り返るとすっかり秋色を帯びた山並みが眼下に広がっていて、あらためてこの時期の山の美しさに感動する。遠くには栗駒山をはじめ、船形山、泉ガ岳のスカイラインがくっきりと鮮やかで、手前の山並みは大東岳や仙台神室であった。高度が1100mを超えると、周りは低木の潅木帯となった。仙台神室の左手にはトンガリ山が見えてきて、笹谷峠もまもなく見えそうであった。右手の向こうには仙台市の街並みや釜房ダムがみえた。

つづら折りの急坂を登ると今度は休みなしの急登が続くようになった。一定の勾配が延々と続くのでカミさんが少し遅れだしたが、途中、何回か休憩をとりながら1410mのピークをめざした。足元には霜柱がめだちはじめ、登るにつれて風は冷たくなる。笹原の急坂は今日一番のがんばりどころだった。勾配が緩やかになるとまもなく右手からは雁戸山の山頂が現れた。尾根道はやがて右手に直角に折れ、気持ちの良い稜線を進むと、ほどなく1410mピークに着いた。ピークからは迫力ある雁戸山が目前であった。ここでは山頂からあぶれたらしい登山者が一人昼食中で、聞いてみると今日の雁戸山は超がつくほど混雑しており、とても座るところがないとのことだった。

1410mピークからはいったん下って雁戸山までは急坂の登り返しになる。鞍部までは70mほどの下りだったが、疲れた体にはもったいないほどの下りでカミさんはがっかりしている。鞍部付近で山頂から下ってくる夫婦連れとすれ違ったが、二人は私達と同様に笹雁新道から登ってきた人であった。結局、今日このコースを登った人は、全部で3組、5人だけであった。鞍部からは今日一番の急坂となり、最後はカミさんのザックも一緒に担ぎ上げて、山頂には12時30分に着いた。登りはじめて3時間30分。ロングコースだけに予想以上に時間がかかったようであった。

混み合うのを覚悟していたが、大半の登山者は少し前に下ったばかりらしく、山頂には4、5人のグループと単独行が二人ほどしか残っていなかった。笹谷峠側を見下ろすとたくさんの登山者達が「蟻の戸渡り」付近を下っているところだった。私達はほとんど登山者のいなくなった静かな山頂で昼食タイムをとることにした。山頂からは至近距離に聳える熊野岳を始め、飯豊連峰や朝日連峰、月山、鳥海山、そして右手を見れば神室連峰から面白山、大東岳、船形山といった東北の名山が、この雁戸山をぐるっと取り囲んでいた。今日はこの澄み切った秋空と雄大な風景がなによりのご馳走であった。

せっかく苦労して登った山頂なので、時間さえあれば昼寝などもしていたかったが、このコースは下るにも時間がかかりそうななので、いつまでものんびりしてはいられなかった。午後の1時を過ぎると、一人去り、二人去りして、いつのまにか山頂には私達だけが残った。カミさんは山頂に着いたときには、もう一歩も歩けないほど疲れている様子だったが、1時間の休憩を終える頃にはもとの元気を取り戻していた。午後の日差しが少し西に傾きはじめていた。山頂から下り始めると雁戸山は強い逆光にシルエットとなった浮かび上がる。日暮れにはまだ早い時間だったが、1410mピークを過ぎると、まもなく太陽は雁戸山の陰に隠れてしまい、急にまわりの風景が寂しくなった。登山口まではまだまだ遠く、私達は薄暗くなった登山道をひたすら下り続けた。



快晴の空にブナの黄葉がまぶしい(10:00)



仙台神室、大東岳、船形山、泉ガ岳などの山並み
(標高1100m付近 11:00)



雁戸山が目前
(1410mピークから 12:15)


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