山 行 記 録

【平成16年8月19日(木)/瑞墻山荘〜瑞墻山〜金峰山



瑞墻山山頂


【メンバー】単独
【山行形態】夏山装備、日帰り
【山域】奥秩父
【山名と標高】瑞墻山(みずがきやま)2,230m、金峰山(きんぷさん)2,599m
【天候】晴れ(金峰山山頂は濃霧&強風)
【温泉】増富ラジウム温泉郷「増富の湯」700円
【行程と参考コースタイム】
(18日)長井20:00=R113・R7=日本海東北道、中条IC=(北陸道・上信越道・長野道・中央道経由)須玉IC=(19日)瑞墻山荘着7:00(475km)(途中、車中泊2回)
瑞墻山荘発7:15(1520)〜富士見平7:55〜天鳥川渡渉点8:15〜瑞墻山9:10-30〜天鳥川渡渉点〜富士見平10:20-30〜大日小屋11:10-20〜小川山分岐11:45〜金峰山13:05-20〜大日小屋14:40〜富士見平15:10〜瑞墻山荘15:45
瑞墻山荘=「増富の湯」=信州峠=長野県上川村(スーパーの駐車場にて車中泊)

【概要】
瑞墻山は難読山名の代表格のような山だが、山頂部に岩峰が集まったような独特の姿から、以前は地元で瘤岩として呼ばれていたところ、明治時代に当時の山梨県知事が現在の名前に変更したものだという。また金峰山はその秀麗な山容から秩父の盟主ともいわれており、山頂には五丈岩というシンボル的な突出した岩峰をもつ。瑞墻山と金峰山はともに秩父連山の西に位置し、通常はそれぞれに日帰りの山として登られるか、あるいは瑞墻山と金峰山をつないで山小屋泊りの一泊コースとして登られている。どちらも頂上付近まで深い樹林が覆っているが、山頂からの展望が素晴らしいという山でもある。

増富温泉を過ぎて舗装された林道を進むと、まもなく左手に瑞墻山荘があり、さらに100mほど右奥に入ったところに広い駐車場があった。駐車場は平日のためか車が2台あるだけでひっそりとしていた。駐車場には朝から強い日差しが降り注ぐ。暑くなりそうなので車に日除け対策をして出発する。瑞墻山荘前から右手の樹林帯に入り、緩やかに登って行くと途中で林道を横切る。里宮神社入口の標識から急坂を登るとやがて尾根に出た。まだ本格的な登りでもないのに、ここまででかなりの汗が噴き出している。付近は樹林帯だがミズナラ林の明るい森といった雰囲気が漂っていた。先に登っていた一組の夫婦者を途中で追い越すと、まもなく山小屋の建つ富士見平に着く。すぐ近くにはテントが二張り設営中であった。小屋の手前が水場となっていて、標識に従って少し下ると冷たい湧き水がホースから勢い良く出ている。水筒を一杯にしてさっそく瑞墻山へ向かった。小屋の左手を通って緩やかに上下しながら進むと今度は6、7名の団体に追いついた。瑞墻山荘を6時半に発ってきたという人達だったが、今日の行程は瑞墻山の往復だけのようであった。いったん急斜面を大きく下ると天鳥川の源頭部に降り立った。雨の直後こそ渡渉が困難になりそうな箇所だが、今日はほとんど水流がなく、難なく石伝いに渡って対岸に移った。木の階段を登るとそこからは岩がゴロゴロする沢状の道が続いた。ところどころにある赤いリボンを拾いながら大きな岩を登って行き、瑞墻山の山頂が近くなると巨岩が前方に現れた。この巨岩は大ヤスリ岩と呼ばれる岩峰だったが、基部からは右手を登って行くとようやく稜線に出た。瑞墻山の山頂はもうまもなくだ。右手に進み尾根の左側を卷いてゆくとロープがぶら下がった大きな石があり、この大石を乗り越えて行くとようやく瑞墻山の山頂に到着した。

山頂にはすでに1時間半も休んでいるという夫婦連れがのんびりと休憩中であった。山頂からは展望が抜群で、八ヶ岳や鳳凰山や白峰三山の南アルプスの山並みが取り囲み、富士山が雲の上にひときわ高く浮かんでいる。さらに左手には特異な五丈岩を抱いた金峰山が大きい。山頂にはりっぱな展望盤もあるので、こうした山座の同定は楽しいばかりであった。岩場の山頂に腰を下ろして、夫婦連れとはお互い写真を撮りあったりしながらしばらく休憩をとった。青空の広がる山頂は気持ちが良く、この後の金峰山を予定していなければ、ここで何時間でものんびりとしていたいほどの山頂であった。

瑞墻山の山頂からは50分ほどで富士見平に戻った。富士見平の小屋前では瑞墻山の学級登山らしい多くの小学生達で喧噪を極めていた。金峰山に向かう前に水場まで再び下って水を補給する。瑞墻山へは富士見平小屋の前を通って尾根に出た。大日小屋は登山道から少し下りて行かなければならず立ち寄らないで先に進むことにする。この付近は樹林帯にもかかわらず、涼しい風が吹き抜けていて、この明るい白樺林は絶好のテン場ともいえるような場所だった。再び樹林帯を登り大日岩の基部を回り込むと小川山への分岐に着く。雲行きが怪しくなってきたのはこの辺りからであった。いつのまにか青空は消えて、辺りには濃いガスが漂い始めていた。標高が2300mを超えると登山道は急坂となり、やがて樹林が切れてハイマツのめだつ稜線に飛び出した。ここは砂払いの頭らしく、岩尾根となって左へと続いている。晴れていればこの付近から金峰山の山頂が望めそうだったが、残念ながら視界はほとんどなくなっていた。右手がすっぱりと切れているところは千代の吹き上げと呼ばれる場所らしく、ここはまさしく地名のごとく、恐くなるほどの猛烈なガスが強風に乗って吹き上がっていた。まもなくガスの中から五丈岩が現れる。近くには展望盤もあって、ここも山頂の一角に違いはなかったたが、大きな石を乗り越えさらに高みに登るとようやく三角点や標識が立つ山頂に到着した。山頂からは金峰山小屋への道と大弛峠への縦走路へと続いているがほとんど先が見えなかった。せっかくの展望の山も一面のガスに覆われていては落胆するばかりだったが、ここまで長い行程を歩いてきた達成感をしばし味わった。

岩陰に身を寄せてとりあえず様子を伺っていたが、晴れる兆しもないので、呼吸が落ちついたところで下山することにした。小川山分岐点まで下ってくると、金峰山を覆っていた厚い雲からようやく抜けだし、上空は再び晴れわたった。分岐点でベンチに腰を下ろし、大日岩を眺めながら果物や水分を補給する。二つの山を登り終えてさすがに足は棒のようになっていた。富士見平まで下ると、先ほど出会った小学生達が、ちょうど瑞墻山から下ってきたところで、小屋前で休んでいるところであった。富士見平から瑞墻山荘まではもうひと下りという感じだったが、私はほとほと疲れはててしまい、大休止をとるつもりでザックをおろした。しかし休んでいた小学生達がまもなく下山を始めたためあわててザックを担いだ。疲れているとはいっても100人以上の団体の後を歩くのは避けたかった。私は下りながらも下山後の温泉のことばかりが頭をよぎっていた。今日は二つの山を掛け持ちしたのだが、それぞれに全く別の山を登ったような、激しい疲労を感じていた。



金峰山山頂


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