山 行 記 録

【平成16年8月3日(火)/こめつが山荘〜森吉山】



ニッコウキスゲと森吉山(
森吉神社付近から)
残念ながら山頂はガスの中


【メンバー】単独
【山行形態】夏山装備、日帰り
【山域】奥羽山脈北部
【山名と標高】森吉山(もりよしざん)1454.2m
【天候】晴れ(山頂は曇り)
【温泉】阿仁前田駅「
クウィンス森吉」450
【行程と参考コースタイム】
こめつが山荘440(790m)〜リフト上部500〜勘助道分岐〜一ノ腰545〜雲嶺峠555〜前岳・森吉神社〜石森分岐〜阿仁避難小屋640〜森吉山山頂700-15〜阿仁山避難小屋730〜石森分岐〜前山・森吉神社745-800〜雲嶺峠813〜(勘助道経由)〜こめつが山荘915
 
【概要】
秋田県のほぼ中央に位置する森吉山は、一ノ腰、前岳、石森などの外輪山に囲まれたアスピーテ型の古い成層火山で、優美な山容をみせる秋田の代表的な山である。山頂からは、白神山地、岩木山、八甲田山、八幡平、岩手山、秋田駒、鳥海山などの北東北の名山や、男鹿半島、日本海などの大パノラマを望めるという。

昨夜は国道105号線沿いの道の駅に車を停めて寝た。翌日は早朝4時に起きすぐに登山口へと向かった。県道309号線を走っていると、辺り一帯は森吉山ダムの建設中で、大きく剥き出しになった山肌や、ダムのために付替えられたりっぱな舗装道路などにはただただ驚くばかりだった。県道の途中から右折して舗装された林道に入り、さらに砂利道を終点までゆくと登山口のこめつが山荘に着いた。こめつが山荘も以前は気軽に泊まれる山小屋だったらしいのだが、現在は管理人は不在の上に、内部も施錠されて避難小屋という感じではなくなっていた。

風がかなり強い朝であった。山荘の前を通ってキャンプ場を横切ってゆくとゲレンデに出る。しばらくこのゲレンデを登って行くのだが、一定の勾配が延々と続くため、結構登りがきつく感じるところだ。駐車場ではまだ有明の月が西の空に浮かんでいたが、リフト上駅を通過する頃には、東の空はすっかり明るくなっていた。高原を吹く朝の風は心地よく、やはり夏山は早出に限るなあと思わずにはいられない。ゲレンデの途中から勘助道に入るとしっとりとした樹林帯の道に心が落ち着いた。まるで飯豊への登路を思わせるような登山道であった。

オオシラビソが目立ち始め、特有の甘い香りが漂いはじめると、一ノ腰への急登となった。登山口から1時間ほどでようやく最初の目標である一ノ腰の山頂に着くと、ここには三角点もあって、森吉山や前岳のよい展望台となっていた。しかし、肝心の森吉山を見上げると中腹から上は厚い雲に覆われ、山頂部は全く見えなかった。森吉山の左手から昇り始めた朝日はすでに眩しいほどだったが、どうも天候は下り坂のようであった。雲嶺峠の分岐点からは一転してなだらかな道となり、ここからは木道歩きが多くなる。この付近は湿地帯も多く、オヤマリンドウやギボウシなどのお花畑になっているところだった。他にはオニユリやミツガシワ、ヤマハハコなどが咲き、この辺りは歩いていて一番楽しいところといえそうである。森吉神社では大きな冠岩を眺めてから山頂へと向かった。石森分岐を過ぎるといったん下りとなる。途中、阿仁避難小屋という新しい山小屋が建っていたが、ここは以前、森吉避難小屋があったところだろうか。中をのぞいてみると宿泊者がいる様子だったが、声は掛けずに山頂へ向かった。

阿仁避難小屋からはますます天候が悪くなった。雲の中に突っ込んだらしく、今にも雨が降り出しそうな気配にはがっかりするばかりだった。先ほどまでの眩しかった朝日は、すっかり雲に遮られてしまっていた。途中、稚児平の平坦地を通過する。名前の通りチングルマが咲く湿地帯だが、花はすでに終わっていた。風とガスの中、露岩地帯を黙々と登り詰めると、ようやく森吉山の山頂に到着した。視界は全くといっていいほどなく、冷たい風が吹き荒れる山頂は、真夏ということが信じられないほどであった。風を避けるために、大きな岩の陰に身を寄せてしばらく待ってみたが、晴れる兆しはなかった。この山頂からの展望がとても楽しみだっただけに残念だったが、これで森吉山を再び登る口実ができたとのだと思うことにした。

阿仁避難小屋を過ぎるとガスから抜け出て再び視界が戻った。しかし、登りの時に降り注いでいた日差しはすでになくなっている。森吉神社まで戻るとやっと食事をとる気分になり、おにぎりと梅酒でのんびりと休憩した。登りでは気付かなかったが森吉神社の東斜面はニッコウキスゲが盛りだった。雲嶺峠からは一ノ腰のコースと別れ、勘助道の巻道を行く。この勘助道は切り開かれて間もないのか、ところどころで歩きづらい箇所が続いた。一ノ腰への直登コースよりはあまり歩かれていないのかも知れなかった。リフト上駅が眼下になった頃、ゲレンデに一時飛び出したが、すぐにまた勘助道に入って行く。日差しが強くなっていただけに樹林帯の方が涼しくて歩きやすかった。途中の水場で汗だらけの顔を洗い、再び歩き出すと、そこからはコメツガ山荘はまもなくであった。山頂からの展望がなかったため、何か忘れ物をしてきたような気分だったが、それでも森吉山の魅力を味わった一日であった。私は林間のキャンプ場でしばらく汗の引くのを待ってから駐車場に下りていった。


こめつが山荘



早朝の森吉神社と冠岩


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