山 行 記 録

【平成16年7月19日(月)/大森コース〜須金岳】



1192m地点に立つ、仮の山頂の標柱


【メンバー】単独
【山行形態】夏山装備、日帰り
【山域】神室山地
【山名と標高】須金岳(すがねだけ)1253
【天候】曇りのち雨
【温泉】鬼首温泉郷 「スパ鬼首の湯」520円
【行程と参考コースタイム】
自宅=(R346,R13,R47,R108経由)=鬼首温泉郷=大森平
 大森平(林道駐車スペース)8:50〜水沢森(七合目)10:05〜仮の山頂10:35〜コース上の最高点(1241m)11:00〜仮の山頂11:25〜水沢森11:45〜駐車スペース12:30

【概要】
宮城県は北西のごく一部で秋田県と接しており、その県境に位置している須金岳は、鬼首温泉郷の北奥に連なる、鬼首カルデラの外輪山の一峰である。麓から見るとまっ平な頂稜を見せているが、この須金岳は登山の標高差が県内でもトップクラスといわれる。ただし山頂への登山道はないので、1192m地点の小湿原に便宜上、仮の山頂標識を設置しているという珍しい山でもある。

国道108号線から林道に入ると、ところどころには濁流が流れ、大きな石がゴロゴロと転がっていた。大雨の名残がまだ荒々しく残る林道を1.5kmほど進み、橋を渡ったところに駐車スペースがあってここに車を停めた。林道を200mほど進んだ右手に登山口の標識があった。杉林の道をしばらく歩くと一合目の標識があり、ここからは急登が続いていた。沢の音がだんだんと遠ざかってゆく。3合目の標識を通過するとすぐに水場のような流れがあり、ここで予備の水筒に水を汲んだ。額や頭からは滝のような汗が流れ続けている。周りにはブナとミズナラが林立し、落ち葉が多く積もる登山道はクッションもあって歩きやすい道だ。登山口までの荒れた林道とは対照的であった。まもなく稜線に出ると展望が少し効くようになり、久しぶりの好天にうれしさがこみ上げてくる。最近の天候の悪さには気が滅入っていたので、気分まで明るくなるようであった。正面右手には須金岳の山頂らしき稜線が木立の間からチラチラと見えていた。

尾根道を歩いているとヒグラシが森の中から絶え間なく聞こえた。樹林帯にもかかわらず風が不思議なほど流れていて、気持ちの良い稜線歩きだ。五合目からは少し下り、登り返すと再び急坂となった。上空を見ると薄雲が少しずつ広がりはじめており、天候は早くも下り坂のようであった。駐車場から歩き出して1時間15分、ようやく標高1018mの水沢森のピークに着く。約600m近い標高差を一気に登ってきたことになる。山頂を示す標識もないが少し下ったところに七合目の標柱が立っていた。ここからはさらに30mほど下って登り返すと八合目であった。左手からは真っ黒い雨雲が近づいていた。九合目までくればもうひと踏ん張りだ。一合目から予想外の急坂が続き、かなり疲れていた。ようやくたどり着いたところは本当の山頂ではなく、1192m地点の仮の山頂であった。ここは小さな湿地帯となっているが周りは潅木に囲まれていて展望はなかった。先に進むとまもなく上空が薄暗くなり雨が降りだした。しかし驟雨のようでもありすぐに止んだ。さらに灌木のトンネルのような道を歩いてゆくと突然見晴らしのよい場所に飛び出した。ここは猪ノ倉沢の源頭部で、右手には荒雄岳方面の展望が一気に開ける場所であった。そして平坦な稜線がかなり先まで続いていて、稜線上の少し小高いところが本物の須金岳の山頂のようであった。須金岳への登山道はないということだったが、コース上の最高点である1241mまでは足を延ばしてみることにする。この区間は小さいながらも高層湿原があるところだったが、花の時期はとっくに終わっていてゴゼンタチバナが少し残っている程度であった。1241mのピークまで距離は結構あって仮の山頂からは30分近くかかった。しかしピークを過ぎると道は下りはじめてしまい、右にカーブしながら大きく下って行く。ガイドブックの通り須金岳の山頂にはやはり登山道は通っていないのだ。しかたがないので途中で引き返すことにした。

小雨が時々降ってくるもののまだ天候はかろうじて持っていた。道ばたに腰をおろして水を飲みチョコレートを2個食べる。薄曇りだったが昨日までの天候から比べれば展望があるだけでありがたい。天候の心配さえなければしばらく荒雄岳方面の展望を楽しみながらのんびりとしていたい場所であった。仮の山頂へは早足で歩いて往復50分ほどで戻った。9合目付近を下っていると登山者が一人登ってくる。今日初めて出会う登山者であった。2合目を通過する付近から急に雨足が強くなり、杉林を抜けだして林道に飛び出す頃には土砂降りとなっていた。国道に出るまでの林道の通過が不安になり、後かたづけもそこそこにして登山口から立ち去ることにした。


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