山 行 記 録

【平成16年7月17日(土)/玉山高原〜氷上山】



やっとたどり着いた、氷上山


【メンバー】単独
【山行形態】夏山装備、日帰り
【山域】北上山地
【山名と標高】氷上山(ひかみさん)874
【天候】曇り時々雨
【温泉】霊泉「玉ノ湯」500円
【行程と参考コースタイム】
玉山高原「玉ノ湯」駐車場14:00〜林道登山口14:13〜一本杉14:30〜五合目14:38〜西の御殿15:00〜祈祷ケ原15:05〜氷上山15:20〜祈祷ケ原〜西の御殿〜一本杉〜駐車場16:10
  
【概要】
氷上山は陸前高田市と大船渡市の境に位置し、山頂付近には東御殿、中御殿、西御殿の三宮が奉られ、農耕や海上の守護神として古くから登拝されてきた信仰の山である。

徳仙丈山を登り終えて、大船渡市に移動しても雨はほとんど降り止むことはなかった。道の駅やコンビニなどで雨が小降りになるのを待ち続ける。午後になるとようやく雨は小康状態となり、竹駒町から玉山高原に向かうと雨は上がっていた。すでに午後2時近くなっており、場合によっては日没の可能性も考慮してヘッドランプを持つ。あとは水と行動食、雨具だけをザックに入れた。午前中の徳仙丈山の時の人気のない林道終点とは違ってこの「玉ノ湯」の駐車場には車も多いので気分的に安心だ。しかし、時間的にはまだそんなに遅くはないとはいえ、日差しがないので辺りは薄暗く、まもなく日が落ちそうな雰囲気が漂っていた。

「玉ノ湯」の旅館を左手に見て、氷上山登山口と書かれた標識から杉林の中へと進んで行く。まもなく林道に出ると道端には同じ様な氷上山登山口の標識が立っていた。広い山道からいったん沢に下りて、さらにこの小沢に沿って登ると水場のある一本杉に着く。水はパイプから勢い良く流れ出ていて、飲むと冷たい水であった。まわりはガスが立ちこめていて視界はほとんどなかった。ところどころ笹薮や草薮が登山道に覆い被さっていて、薄暗いだけにコースがよくわからない。この氷上山は東北百名山とはいえ、あまり歩かれてはいないようである。濃霧に加えて小雨が降りだしたため途中で雨具を着る。山腹を横切ってジグザグに登るとやっと五合目の標識が現れた。かなり早足で登ってきただけに、まだ五合目だとわかってがっかりする。そこからは割合に平坦で道幅も広い山道がダラダラと続いた。七合目の標識まで来るともうひと登りだ。そして急坂の直下には「最後の登り」という標識があって、疲れているだけにこんな表示にも少しうれしくなる。しかし、ぐいぐいと登り切ったピークはまだ氷上山の山頂ではなかった。近くの林の中には赤いお堂があるだけで三角点はなく、ガイドブックで確認するとここは西の御殿であった。当然ながら氷上山の山頂だと思っていた私はがっかりだった。「氷上山来迎礼拝碑」と書かれた石碑が岩の上に建てられてあり、ここからは見晴らしが良さそうなところだったが、あいにく濃霧に包まれていて展望は全くなかった。

この西の御殿から大きく下ってゆくと祈祷ケ原だった。左手には避難小屋がガスの中に見え隠れしている。この平坦な草原は晴れていれば快適なキャンプもできそうなところだった。原っぱを抜けると最後の登りとなる。ここも胸までもありそうな草薮が登山道を覆い隠している。ルートがはっきりしなかったが、取りあえず上へ上へと登ってゆく。氷上山には祈祷ケ原から15分ほどの登りでようやく到着した。山頂には三角点や石塔などが立っていた。登り始めてから1時間20分。ほとんど休憩をとっていないことを考えると、ここは意外と長いコースであった。晴れていれば山頂からは北に五葉山や早池峰山の山々、南東の方角には南三陸の水平線も見える筈だったが、今日は捕らえどころのない白い景色がただ一面に広がっているだけであった。すぐ近くを見渡すと木立に隠れて東の御殿が建っている。立ち寄って安全を祈願しながら手を合わせた。下り始めると樹林帯の中はさすがに薄暗く自然と急ぎ足になった。平坦な祈祷ケ原付近は登ってきた時よりもずっと霧が深くなっていた。西の御殿からは一本道なので迷う恐れはないのだが、標識も少ないので、今歩いているところがはたして登ってきた道なのかさえよくわからない。濃霧と雨に加えて暗闇が目前まで迫ってくると不安が募ってくるばかりであった。雨に煙る道をひたすら歩き、一本杉まで下ってくるとようやく安心感が広がった。

「玉ノ湯」駐車場はすでに日没後のような薄暗さに包まれていた。雨具を脱いで車に放り込みそのまま「玉ノ湯」に向かった。山に登ってきたのだというと「玉ノ湯」の女将さんがあきれた顔をしていた。温泉に浸ると冷え切った体もようやく温まり、生き返ったような心地よさに思わず眠くなってしまいそうであった。浴室から出て、玉ノ湯で夕食を頼もうとしたら、宿泊者の夕食時間と重なったため断られ、しばらく休憩室で横になってから陸前高田の道の駅に向かった。道の駅のレストランで海鮮丼を注文し、生ビールを1本飲み干すとすぐに酔いが回って動けなくなってしまった。この夜は車の中で泊まることにして翌日の五葉山に備えて早めに就寝となった。


inserted by FC2 system