山 行 記 録

【平成16年6月13日(日)/中束〜光兎山】



ヒメサユリと光兎山
ヨ平戻の頭付近から


【メンバー】単独
【山行形態】夏山装備、日帰り
【山域】朝日連峰周辺
【山名と標高】光兎山(こうさぎさん)966.3m
【天候】曇りのち晴れ
【行程と参考コースタイム】
 
中束登山口10:20(155m)〜笹峰休み場10:35〜干刈分岐10:55〜虚空蔵峰11:15〜観音峰11:30〜水場入口11:36〜雷峰12:05〜姥石12:15〜ヨ平戻の頭〜光兎山山頂12:40-13:15〜ヨ平戻の頭13:36〜雷峰13:47〜水場入口〜観音峰14:10〜虚空蔵峰14:22-27〜干刈分岐14:42〜中束登山口15:10 

【概要】
光兎山はコウサギサンと読み、岩船郡関川村の北方に位置している秀麗な山である。春先になると山頂近くの残雪が、ウサギの形に見えることから付けられたという由来のある光兎山は、途中にはいくつかのピークの登り返しがあり、標高966mと低い割には、昨年登った鷲ガ巣山と同様に侮れない山でもある。展望の山だけに天気の良いときに登ろうとしながら、いつしか先送りになっていたものである。登山口は中束(なかまるけ)林道から少し入った中束口と、そこから2kmほど先の千刈口の二つがあるがガイドブックにしたがって中束口から登ることにした。

天気予報は良かったのだが、宇津トンネルを抜けると小雨が降っていて、次第に雨足が強まっていた。小国町のコンビニでは2時間近くも様子を伺っていたために、登り始めは大分遅くなってしまった。駐車場は5、6台ほどのスペースがあり、すでに3台駐車中だったが人の気配はなかった。登山口で登山届けに記入して早速登り始める。赤松と雑木が多いなだらかな山道だが、雨上がりのために登山道は大分滑りやすくなっている。道ばたにはギンリョウソウが多く目立った。登山口には松食い虫の伐採作業中と張り紙があったが、昨日倒されたばかりの太い赤松の切り株が至る所にあった。途中、夫婦村と書かれた標識があり、まもなくすると千刈分岐に着く。そこからは明瞭な尾根道となり、周囲も徐々にブナ林と変わっていった。登りはじめは蒸し暑くて額や背中から汗が流れ続けた。しかし曇り空ながらも時々日射しが差すようになると、同時に涼しい風も吹き始め、徐々に爽快な登りとなった。

やがて最初のピークである虚空蔵峰に到着する。地形図では奥山と記載されている629m峰である。祠と石灯篭のある山頂は樹林帯の中だったが、一方だけ切り開きがあり、見渡すと関川の盆地が望めた。虚空蔵峰の標識には、観音峰まで500m、雷峰までは1kmとあり、山頂からは急で長い下りがしばらく続いた。登り返すと次のピークの観音峰に着く。山頂はやはり静寂として、奥には木造の祠がひっそりと建っていた。山頂から5分ほど下ると水場の標識があった。右手は思わず吸い込まれそうなほど急峻だが、特に危険と言うほどでもなく歩きやすいところだ。このあたりでは花はわずかにツツジが残っている程度で他には見あたらない。やがてチラホラと左手に光兎山のピークが望めるようになった。涼しい風がしばらく流れると、ブナのざわめきとともに木漏れ日が一斉に煌めいたりした。見通しのあまりない樹林帯を抜けだし、12時5分、雷峰に到着する。ここまでくるとようやく光兎山の全体像が見わたせるようになった。ほとんど休憩もとらずに歩き続けたためか結構疲れを感じていて、ここでザックを下ろして小休止をとることにした。前方にはピラミッド型の光兎山がそびえ立ち、手前にヨ平戻の頭と呼ばれるピークが立ちはだかっている。しかしここまでくれば光兎山まではもうひと踏ん張りである。上空は相変わらず晴れたり曇ったりを繰り返していたが、時々陽射しが差すと気温は一気に高くなった。しかし風が爽やかなので気持ちがよく、汗でびしょぬれだったバンダナは休んでいる間に乾いてしまった。ここで登山者が一人追いついてきて一休みもせずに光兎山へと歩いていった。

雷峰(いかずちみね)からは見晴らしのよい稜線歩きとなった。ここからは驚くほどヒメサユリが咲いていて、それは群落ともいえるほどだった。また色鮮やかなツツジも目立って多く、疲れはじめていた私はこれらの花々に思わず励まされるようだった。ヨ平戻の頭付近では早くも下ってくる6人ほどの登山者とすれ違った。姥石と書かれた標識と大きな石を通過すると最後の直登となった。ロープも何カ所かある急な登りで、ここは結構きついところだ。「駒返」と書かれた岩場を登り切ると勾配はやっと緩やかになり、12時40分、ようやく光兎山の山頂に到着した。山頂には4グループ、8名ほどもいてみんな昼食中のようであった。山頂の中央には鉄製の祠と三角点、標識などがある。山頂からは昨年登った鷲ガ巣山がすぐにわかったが、他には祝瓶山がうっすらと見える程度で、飯豊山や大朝日岳は雲の中であった。西側にも有名無名の山並みが連なっていたが、地元でない悲しさ故ほとんどわからないのが残念だった。さっそく缶ビールを取り出し一人祝杯をあげ、コンビニ弁当を食べながらのんびりと展望を楽しんだ。結局、今日の登山者では私が最後だったらしく、さらに登ってくる人はなさそうであった。

昼食が終われば後は往路を引き返すだけである。しかしいくつもの登り返しを考えると、下るというにはまだほど遠い気分であった。夏空のような快晴を期待したが、上空にはまだまだ雲が多く、すっきりとは晴れることはなかった。山頂からは予想通り怒涛の下りという感じだったが、心配していた登り返しは思ったほどきつくはなかった。途中、時々陽が陰ったりしたが駐車場に戻る頃にはジリジリとした夏の陽射しに変わっていた。


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