山 行 記 録

【平成16年5月9日(日)/飯豊連峰 石転ビ沢〜北股岳〜北股沢滑降



50度近い急峻な北股沢
左奥には梅花皮岳(手前)と烏帽子岳が聳える


【メンバー】3名(柴田、山中、蒲生)
【山行形態】テレマークスキーによる山行、冬山装備、日帰り
【山域】飯豊連峰
【山名と標高】北股岳 2025m
【天候】曇りのち雨
【温泉】飯豊温泉 梅花皮荘 500円
【行程と参考コースタイム】
飯豊山荘6:40〜雪渓末端8:20〜石転ビノ出合9:10〜梅花皮小屋11:40-12:50〜北股岳13:20-30〜北股沢ノ出合14:00-15〜雪渓末端14:45(645)〜飯豊山荘駐車場16:10  

【概要】
5日に続いて再び石転ビ沢である。柴田氏によると、今回は20通もの誘いのメールを関係者に出したのだが、結局飯豊山荘に集合したのはいつもの3人だけだったというのがなんとも笑える。石転ビ沢はそれだけ厳しい山スキーのコースともいえるのかもしれなかった。昨日は目の覚めるような快晴の空だったのだが、今日は朝から雲行きが怪しかった。どうも私達は天候には恵まれていないと感じたが、暑さにめげるよりはずっと増しだろうと自らを慰める。先日の門内沢は誰も登山者がいなかったが、今日の駐車場の様子からするとすでに何組か登っているようであった。先日と同様に温身平から砂防ダムとスキーを担ぎながら山道を登って行く。うまい水を過ぎると彦右衛門の平の雪渓付近ではだいぶ雪が少なくなっている。門内沢からはたった4日しかたっていないのに雪融けの早さには驚くばかりだ。上つぶて石付近ではムラサキヤシオやタムシバがかなり咲いていた。例によって地竹原付近の雪渓末端からシールを貼る。前回よりは天候も良さそうな気配をみて心が和むようだ。なんとかこの好天が持って欲しいと願いながらのシール登高が続いた。石転ビノ出合の大岩で小休止をとる。近くでは二人組が休憩中で、見上げれば3人ほど雪渓に張り付いているのが見えた。

いつも思うのだが石転ビ沢のスケールには圧倒されるばかりだ。梅花皮小屋は稜線上に見えるのだが標高差にしてまだ約1000メートルもあるのだから水平距離にしたらかなりのものだろう。北股岳までを考えるとさらに200メートルも加えなければならないのだからまだまだ行程は長い。このところの山行続きで疲れが溜まっているのか、今日の雪渓歩きは特につらいものだった。一歩一歩黙々と足を動かすしか稜線にたどり着く方法はなく、10、20・・30と歩数を数えながら少しずつ高度をあげてゆく。ようやく北股沢ノ出合まで登れば最後の急斜面だ。柴田氏と山中氏はスキーアイゼンをつけてのシール登高に切り替え、私は12本爪アイゼンを装着してスキーはロープで引っ張ってゆくことにした。しかし先行者のステップがあるのでアイゼンはいらないほどだった。中ノ島は早くも少しだけ頭を出している。登るにつれて勾配が増したが、それでも今回の石転ビ沢がいつもよりも緩く感じられるのは、先日の門内沢を経験しているからだろう。しかしこの急峻な雪渓をシールで登る二人はさすがにたいしたものだ。まわりの登山者も口こそださないけれどみんな呆気にとられて眺めていた。勾配が緩んでくると梅花皮小屋はもう目の前である。まもなく山中氏、柴田氏が登ってきたところで小屋に入って休憩とする。小屋の中には7〜8人ほどいたが私達は二階でのびのびと休むことにした。

1時間以上の休憩を終えて小屋をでると、今にも雨が降り出しそうな空模様に気分はいまひとつだった。天候は悪化の兆しをみせはじめており新たな登山者は見られなかった。北股岳までは再びスキーを担いで登る。雪渓を登りつめること約30分。この頃から雲行きが一段と怪しくなり、ときどき小雨がぱらつきだしてきた。北股岳の山頂直下までは雪渓はあるものの、さすがに北股沢は急峻で、真下が見えないほどの高度感に足がすくむようだ。二人はこともなげに一気に下って行くが、私は横滑りとキックターンで少し下らなければならなかった。キックターンといっても容易ではないのでクラックで足場を確保してからである。門内沢と同じくらいの斜度なのだが、幾分北股沢の方がきついのかもしれない。少し勾配が緩んだところからはようやくターンも可能となり一気に北股沢ノ出合までゆく。このころになると雨が本格的に降り出してきてしまい途中で雨カッパを着る。周りには登山者の姿は全くなく、ほとんどの人達はすでに下ってしまっていた。ここで私達を追って遅く飯豊山荘を出発したという山形のAさんをしばらく待つことになった。Aさんはスキーを北股沢ノ出合にデポしていて、まもなく梅花皮小屋から下ってくるらしかった。あとで聞いたら飯豊山荘からは3時間30分で登ったというのだから早いものだ。

Aさんが合流するとそこからは4人で再び滑走してゆく。雨は相変わらず降り続いており、のんびりと休憩する気分ではなかったものの、スキーは斜度があるだけによく走った。滑っても滑っても斜面が続くのは先日の門内沢と同様であった。石転ビノ出合までは1200メートル近い標高差を滑走したことになるのである。今日は山スキーの醍醐味を思う存分に味わった一日であった。雪渓末端からはスキーを再び担いで夏道沿いに歩いて行く。ゴアテックスの雨具を着ていたにもかかわらず、古くなったためか防水性能は全くなくなっており、全身が濡れて体は冷え切っていた。まだまだ飯豊山荘までは時間が必要だったが、下山後の温泉だけを励みにしながら下っていった。



地竹原付近を歩く



ようやく石転ビノ出合に到着



梅花皮小屋と石転ビ沢(北股沢から)
見慣れない風景はどこか新鮮であった


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