山 行 記 録

【平成16年5月7日(金)/祓川〜鳥海山】



祓川ヒュッテと鳥海山


【メンバー】2名(妻)
【山行形態】テレマークスキーによる山行、冬山装備、日帰り
【山域】出羽山地
【山名と標高】
鳥海山(七高山2,230m)
【天候】晴れ
【温泉】秋田県由利郡鳥海町「ホテルフォレスタ鳥海」500円
【行程と参考コースタイム】
祓川駐車場9:10〜七ツ釜避難小屋10:45-11:00〜鳥海山(七高山)13:00-13:10〜1870m地点13:25〜祓川15:00
  
【概要】
祓川駐車場は平日のためか車は十数台ほどしか見あたらなかった。しかし天候は澄んだ青空が広がる願ってもないツアー日和である。駐車場からはいつものように愛犬の世話を終えてからなので9時過ぎの出発となった。予報ではかなり気温が高くなるということなので、カミさんは日焼け対策として完全に顔面をガードしている。しかし歩き出してみると風は予想外に冷たく、途中からアウタージャケットまで羽織らなければならなかった。春のザラメ雪はシールにもよく馴染み、登りは快適である。カミさんは少し風邪気味だというので、途中、何回かの休憩をとりながらのんびりと登って行く。積雪は例年よりずっと少ないという印象だ。祓川ヒュッテ周辺の雪はほとんど消えていたし、斜面には所々おおきなクラックが走っていて、例年とは雪の状況が大分違っていた。

五合目の七ツ釜避難小屋には約1時間半で到着した。この小屋もいつもならば雪に埋もれていて利用することはできないのだが、今年は全く問題なく1階の入口から入ることが出来た。風が強く、避難小屋の中で休憩をとっていると若い夫婦連れが入ってきた。七ツ釜避難小屋からはしばらくなだらかな登りが続く。休日でもあれば右手の岩稜帯を坪足の登山者が列をなしているところだが今日は全く見あたらない。順調にシール登高が続いたが、最後の急坂である舎利坂を前にしてカミさんが途中でリタイヤする。無理をする必要もないので、風の弱い場所で待ってもらうことにして私は1人で山頂に向かった。

風が徐々に穏やかになったが勾配はまるで反比例するかのようにきつくなってゆく。舎利坂からは鳥海山が目前だ。途中で休んでいる人達を追い抜いてゆくと、先には誰もいなくなる。山頂直下はかなりの勾配があり、シール登高の限界だったが、最後のひとふんばりと2本のストックに力を込めてみる。しかし結局最後の数メートルはジグザグに登らなければならなかった。外輪山の片隅では先行者が1人だけ食事中であった。七高山で休んでいると鉾立から外輪山を登ってきたという坪足の二人組が加わったが、他に外輪山をみても登山者は見あたらなく、新山にも人の気配が感じられない、今日は静かな鳥海山であった。山頂から見える風景を数枚カメラに納める。今月の2日以来の鳥海山だったが山頂からの展望はどこからみても素晴らしい。眼下には祓川ヒュッテはもちろんのこと、千蛇谷の向こう側には象潟町、外輪山の奥には酒田市街や日本海も見えた。カミさんが待っていると思うとゆっくりはできなかったが、パンを1個食べ、缶酎杯を一気に飲み干してから下山を開始した。

山頂からは広い一枚バーンがどこまでも続いていて、ザラメ雪の滑降は快適そのものである。波打つような雪面も雪が柔らかいからなんの問題なく、一気にカミさんの待つ地点に下ってしまった。約1時間休んでいる間にカミさんは少し元気を取り戻していた。そこからは二人でのんびりと下ってゆく。七ツ釜避難小屋を過ぎ、再びおおきな斜面を下ったところで、私達は遅い昼食をとることにしてザックを下ろした。そこから祓川まではスキーならばいくらもかからないところだ。スキーツアーは登りや滑りだけが目的でもない。こんな無駄とも思われるような道草が山の時間をより豊かなものにしてくれるのだから急いで下る気分にはなれなかった。まもなく雪が解けるに従ってこの鳥海山もあざやかな深緑に包まれるだろう。そう思うとブナの芽吹きを直前に控えたこの時期の残雪の光景がとても愛しくさえ感じてくるようである。春の鳥海山の懐に抱かれての食事やコーヒーは至福の時間であった。心地よい陽射しを浴びながら銀マットに横になると、今まで聞こえなかったウグイスのさえずりがどこからともなく聞こえてきた。



七ツ釜避難小屋から鳥海山をめざす



雲が流れる七高山山頂付近


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