山 行 記 録

【平成16年4月3日(土)/いこいの村栗駒から栗駒山】



イワカガミ平への登り
背景は東栗駒山からの稜線


【メンバー】2名(妻)
【山行形態】テレマークスキーによる山行、冬山装備、日帰り
【山域】奥羽山脈中部
【山名と標高】栗駒山 1,627m(※1350m付近で撤退)
【天候】曇りのち雪、濃霧、強風
【温泉】いこいの村栗駒500円
【行程と参考コースタイム】
いこいの村栗駒(830m)9:20〜イワカガミ平(1110m)10:50〜1350m付近11:55〜イワカガミ平避難小屋12:25-13:00〜いこいの村栗駒13:50
  
【概要】
風の強い朝であった。山形は朝から雨模様のため、朝一番の天気予報を見て、東北で一番好天が期待できそうなところと決めたのが今回の栗駒山である。予想通り仙台市あたりから雨は上がりはじめ、栗駒町に入ると快晴の空が広がっていた。麓から眺めると栗駒山の山頂は厚い雲に覆われていたものの、晴れ間が広がるのは時間の問題と思われた。

「いこいの村栗駒」の駐車場に着いてみると、明らかに山スキーのものと思われる車が4台駐車中だったが、みんなは既に出発したあとであった。駐車場には4月の陽射しが降り注いでおり、気温はかなり高くなることを考えて、不要な装備を省いたりしながらザックのパッキングをやり直した。シールを貼り終えると早速「いこいの村栗駒」の裏手から登り始めた。イワカガミ平への道路除雪はようやく始まったばかりで、駐車場の少し先で今日も除雪車が数台稼働中であった。その除雪箇所を過ぎると広い斜面のどこでも登れるようになる。昨夜降ったと思われる雪が10数センチほど積もっており、この柔らかい雪と戯れながらの林間の滑降を考えると、今から心が弾むようであった。気温は高く、青空が広がる春山らしい風景を眺めていると登りのつらさも忘れそうであった。やがてツアーコースを示す番号が書かれた標識がところどころに目に付くようになり、木立の間からは東栗駒山がちらちらと見え隠れするようになった。しかし登るにつれて強い陽射しもだんだんと雲に遮られるようになり気分は徐々に落ち込んでゆく。知らず知らずのうちに暗雲が漂い始めていた。イワカガミ平には約1時間30分ほどで到着した。ふと気が付けば先ほどまでのうららかな景色は陰をひそめてしまっている。辺りは烈風が吹き荒れる厳冬期のような風景へと一変していた。山スキーが久しぶりのカミさんもこの天候の急変にはがっかりしてしまい、晴れるのを待つために少し避難小屋に入って小休止を取ることにした。

期待とは裏腹に天候は良くなるどころかますます悪化するばかりであった。目出帽をかぶり身を固めて小屋を出てみると、強風と共に雪が舞いはじめている。ウインドパック気味の雪面はクラストした雪面へと変わっていた。そんな中、早々と何人かが山スキーでガスの中を下ってくる。みんな悪雪に苦労しているようでターンの度に転けている人もいる。波打つようなアイスバーンはかなり滑りづらいようであった。聞いてみると、風が強すぎて山頂まではとても行けなかったとのことで、みんな途中で引き返して来た人達だった。そんな話を聞くとますます気分は盛り上がらなかったが、それでもゆけるところまで行くことにした。時期はずれのような風雪は予想外に厳しくて、顔もまともに上げられないほどであった。標高1350m付近まで登ると風雪はいよいよ激しさを増した。視界はほとんどなく、完全なホワイトアウトである。とてもこのまま進む気持ちにもなれず途中でツェルトを出したが、しかしそのツェルトも強風に煽られて体といっしょに吹き飛ばされそうになり、10分も経たないうちに撤収しなければならなかった。これ以上無理をするわけにもゆかず、とりあえず避難小屋まで下ることにする。クラストした雪面と新雪の柔らかい部分が交互に現れるのでなるべく新雪を拾いながら下るのだが、こんな悪天候も加わり快適な滑りとはほど遠い状態であった。避難小屋に再び戻ってみると途中すれ違った登山者が何人か休んでいた。私達はラーメンを作って遅い昼食を始めたが、こうして休んでいる間も天候は悪くなる一方であった。小屋の周辺でも雪が降り始めていて、登りでは晴れていたところもすでに見えなくなっていた。今日は午後から晴れるという予報が完全に裏目に出たような日であった。私達は「いこいの村栗駒」の温泉だけを楽しみに雪の降りしきるブナ林を下った。


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